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番外編 受け継がれた血

 100年前のボードル遺跡近くにて……



「クレイ様! ここは私達が食い止めます早く遺跡へ!」


「はあ! はあ!」


 護衛の村人から逃されたラーガ一族の族長の次女であるクレイは一生懸命にある場所に向かって走っていた。


(あの遺跡に行かなくちゃ……)


 ラーガ一族の村が襲われる前、クレイとサラは父親に呼ばれて言われたのだった。


「使命を果たす時だ」


 それを聞いたクレイはもうどうでもいいと投げやりな気持ちになっていた。


(あーあ来ちゃったか……まあいいかどうせいつかなる運命だったし)


 クレイは使命を聞いた時から生きる事の意味を見出せなかった。



 クレイは今夢中で遺跡に向かって走っていた、後ろには追手が迫っている状況でクレイは怒りが込み上げていた。


(何で私がこうならなきゃいけないの? そもそも何故私たちラーガ一族が命を狙われなければならないの? 私達が何をしたっていうの? 勝手に怖がって敵視して……ほっといてよ‼︎)


「いたぞ!捕らえろ!」


 クレイを追ってきた男達が徐々に距離を近づけていくとクレイは逃げられないと思い焦っていた。


「キャア!!」


 そして崖から足を滑らせ落ちてしまったのだった。




「大丈夫かい?」


「……」


「あなた、目が覚めたみたいだけど反応がないみたい」


「酷い怪我をしていたからね、もう大丈夫だよ、しばらくここで傷が癒えるまでいなさい」


 クレイは優しそうな顔の男と女を見ていた。


(ここは? 私は誰? 何かやる事があったはずだけど思い出せない……)


 しばらく経ったがクレイの記憶は戻らなかった。


「この子は記憶を失ってしまったみたいだな」


「そんな! 可哀想に……」


「よし私達で引き取ろう! 親が見つかるまでここで暮らしなさい」


「そうね! それがいいわ」


 クレイはその日からここでメイドとして働くようになった。


 それから10年の月日が流れたが結局記憶は戻る事はなかった。


 しかしクレイはもう思い出さなくてもよくなっていた。


 クレイを助けた夫婦は優しくクレイを自分の子供と同じ扱いをしておりクレイは幸せだった。


 そして夫婦の息子フリックスと結婚式を挙げ人生最大の幸せを手に入れたのだった。


 その後子供も産まれ家族仲良く暮らしていた。


 更に時間が流れクレイがこの家に来て50年が経っていた。


 孫も産まれ相変わらず幸せな毎日を過ごしていたがそれは突然の事だった。


 ある日の記憶が戻ったのだ。


(私はラーガ一族の長の娘クレイあの日私はボードル遺跡に行かなくてはならなかった……そして力をこの身を結晶石に変えて未来に託す使命があった……)


 しかしクレイは今この家族を残して行く事が出来なかった。


 そしてクレイは夫のフリックスと息子のカイトに打ち明ける事にした。


 最初は戸惑っていたが夫と息子は受け入れた。


 クレイは死ぬ前に結晶石になる事を決めそれを息子に託す事にしたのだった、いつか虹色の結晶石を集める人が現れるのを願って。


 そして80歳を過ぎ寿命が尽きる日がきた。


 ベッドの上で家族に身守られている中クレイは思う。


(サラ姉さんはまだ若くして結晶石になったのかな? それともあの男の人と駆け落ちしたのかな……いや、しないわ、サラ姉さんは覚悟をしていた。それに比べて私は記憶が無かったとしても一人の女性としてこんなに幸せな人生を送ってしまった)


 クレイは周りの悲しい表情をする家族を見ると薄れゆく意識の中、姉との再会を願いその身を結晶石に変えその生涯を閉じた。


(サラ姉さんは怒るかな? 許してくれるかな……また会えたらいいな)


 クレイは息子にマナの術と共に結晶石を代々家宝として託したのだった。






 それから時が流れ……


(まだか……落ち着かん)


「アシュレイよ落ち着かんか」


「しかしカイトお爺さま」


 ガチャ!


「カイト様、アシュレイ様生まれました!」


 ドアを開けるとベッドに赤ちゃんを抱いた女性がいる。


 女性はアシュレイを見ると微笑み赤ちゃんを見せる。


「あなた、女の子です……」


「おお、よくやったメアリナ」


 娘を見ると安らかな寝顔ですやすやと眠っていた。


「可愛いな、君に似て美人になるぞ!」


「あなたったら」


 大きな声を出してしまったのか、赤ちゃんは起きて泣き始めた。


 メアリナがあやしているのをアシュレイは微笑みながら見ていると。


(ん?)


 娘の身体中からマナが溢れていた。


(凄い量のマナだ……この子は将来偉大なマナ使いになるぞ! だが、この力を子供の頃から持つのは危険ではないか……)


 アシュレイは生まれたばかりの娘に術をかけた。


「あなた、この子の名前はどうしますか?」


「……ああ、君が決めた名前にしよう」


 メアリナは嬉しそうに泣き止みすやすやと眠る娘の名前を呼んだ。


「セリア……あなたの名前よ」




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