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第16章 暗躍の影

 ユギルの過去を聞いたエレナは何しにここに来たのか気になっていた。


「実はお前に頼みがあって来たんだ」


『頼み?』


「最近魔物が活発かつ不審な動きをしていると思わないか?」


『そうだね確かにそう思ってたけどユギルが言いたいことがさっきの話で分かったよ』


「ほう」


『カダル王国が魔物を操ってるって言いたいんでしょ?』


「そうだ、俺もあの王国に行って色々調べていたんだが間違いなさそうだ」


『何でそんな事をするの?』


「あの王国はどうやらこの大陸をいやこの世界を征服しようと企んでいる」


『魔物を操つれるようになったから?』


「そうかもしれないな」


『で、頼みって?』


「俺と各地に眠るラーガ一族の力を集めて欲しい、その虹色の結晶石が各地の洞窟あるいは遺跡にあるはずだ、場所もある程度調べておいた」


『さっき話していたところからするとこの虹色の結晶石はサラさんなんだね』


 ネックレスを外してユギルに渡そうとするが手で制された。


「それはお前が持っていてくれ」


『ごめん1つ赤い結晶石を売っちゃったんだけどマズイかな?』


「虹色の結晶石以外はもう意志も持たないただの石だ気にするな、むしろ売って活動資金にした方がためになるだろ?」


『そっかぁそれを聞いて安心したよ』


「返事は明日の夜にまた来るから考えておいてくれ」


『できればドアから入って来てもらえないかな』


「おっとすまんな、そうする」


 微笑むとユギルは消えていった。


 エレナは虹色の結晶石を探す旅に出るつもりなのだが倒壊した孤児院の事を考えると今すぐにとはならなかった。


(明日ユギルと相談してみよう)


 そして次の日エレナは冒険者ギルドに結晶石を売るために訪れたのだが受付に行くとまた奥の部屋に通されていた。


(何で俺だけ……)


 部屋には当然のようにゼンがソファに座っていた。


『あの、何で僕だけこの部屋になるんです?』


「お前はもう少し自分の立場を考えた方がいいぞ」


 ゼンは少し呆れた顔をして言った。


「容姿もそうだがマナで魔物を簡単に葬るマナ使いとも知られているんだ、それだけで十分な有名人だ、それにこの前魔物を倒しこの街を救った事で救世主だの勇者だの言われているんだぞ」


 エレナは目立って行く自分にこの先厄介事に巻き込まれないか不安になる。


「それにお前のことを貴族やら王族の関係者まで聞きにくる始末だ、まだ来たばかりだから分からんと言っているが」


『すいませんお手数をおかけして』


「気にするな、それ以上に貢献してもらってるからな、で、今日は何の用だ?」


『マナの結晶石をまた売りたくて』


「この前のやつはすぐに売れてしまったぞ、結構いい値段で売れてこちらも儲かったわ」


 ゼンは嬉しそうに笑った。


 エレナは虹色以外の2つの結晶石を置くとゼンは手に取りそれを眺めた。


「これまた前と同じくらいの物だな、一応鑑定するから少し待ってろ」


 鑑定が終わりまた各1000万ラナを提示されたのでエレナは売ることにした。


(お金の用意ができるまで時間があるから孤児院の話をしてみようかな)


『あの、腕のいい信頼できる建築関係の人を紹介して欲しいのですがいませんかね?』


「ここに家でも建てるのか?」


『先日の魔物襲撃で孤児院が倒壊してしまったので新しく建てようかと思いまして』


「分かった、ちょっと待ってろ」


 ゼンは職員を呼び出すとサラサラとメモを書いて渡した。



 数分後に職員が来てメモをゼンに苦笑いしながら渡した。


「エレナさんの名前を出したら即答でしたよ」


「だろうな、あいつは大ファンだからな」


 ゼンは職員と会話が終わるとエレナに話しかけた。


「すまないが今からでも大丈夫か?」


『え?』


「すぐにこちらに向うと返事が来たそうだ」


(大丈夫かな何か不安になってきた……)


「建築の技術は保証するし信頼できる奴なんだが……お前にかなり入れ込んでいるらしいな、本当は幾つも依頼が来ていてすぐに会えるはずがないんだがお前の名前を出した途端にこれだからな」


(それを聞くとますます不安になるんだが……)




 ポーラトールで有名な建築家であるリアスは今日も建築依頼をこなしていた。


 その数も多く手が回らないほど忙しい。


「リアスさん冒険者ギルドから連絡が来てます」


(ん? なんだよ今忙しいのに)


「今いないと言っといてくれ」


「出ないと後悔するとも言われてますが」


(後悔? どういう事だ?)


「しょうがねぇなぁ」と思い腰を上げて伝声管に向かう。


「冒険者ギルドが何の用だ? こっちは忙しいんだ」


 いきなりそう切り出すが耳から信じられない言葉が入ってくる。


(なんだと! あの聖女エレナ様が俺を指名しているだと……)


 実はリアスはエレナを見た事がありその日から彼女に崇拝するレベルで惹かれていた。


 その後もクルトの街や先日の魔物退治の活躍を聞く度に彼の中では神様のような存在になっていた。


 リアスはその場で喜びに震えていた。


「すぐにそちらへ向かわせてもらう!」


(あの聖女様の力になりたい……)


 彼はそれしか考えていなかった。


「おいみんな! 聖女エレナ様からの依頼だ! これを最優先でやるぞ!」


「リアスさん流石にそれは……」


 部下の一人が止めようとするが。


「もう手遅れだ、準備するぞ」


 もう一人の部下はそれを制した。


 知っているのだリアスは決して自分の決定を覆す事はないと。




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