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勇者の盾は、もう要らず。  作者: あんころもち
第四歴 勇者の盾、その外出。
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第三十九話

「……まじん(・・・)、か」


 間の人(・・・)、と書いて間人。人のかたちをした、人と限りなく近い、けれど人とは決定的になにかが違う、人となにかの(・・・・・)まじりもの(・・・・・)


 それは例えば獣。例えば幻想。例えば自然。例えば人工。他にも様々な要素が、様々なかたちで融合・成立してしまっている、けれどどうやってかは未だに不明な、……ここ最近で現れてきた新種の人種。


 そう。そいつらは、あくまでそういったよくわからないものがよくわからないままにくっついて、そのまま生命としての体を成している、なんだか本当によくわからない種族。いや種族って呼んでいいのかもわからんけど。だって発見された個体数って百もいってないし。


「間人、ですか……ドワーフやエルフ、それからウェアビーストなどとは違うんですか?」


 ああ、そこ疑問だよな。確かに人のかたちをした別種族なら、そういった“古くからの隣人(オールド・フレイム)”のほうが分かりやすい。想像もつきやすいしな。


 けど、ちがう(・・ ・・・)。あいつらはまだ、言いかたはあれだが、発生した(生まれた)経緯がはっきりしていて、しかもその原理もきちんとあらかた判明していて、そんで生態やら社会やらも大抵理解できている。


 でも、間人はそうじゃない。あいつらはまず、根幹がそもそも人間なんだ。つまり元々は純度十割の真人間だったのが、そこによくわからないなにかが起きて、別の要素が入り交じってしまった……だからこそ、これも言いかたあれだが、ぶっちゃけよくわからない謎すぎる存在なんだよ。


 そんでそいつらの一番の特徴って言えば、必ず複数の要素が突っ込まれてるってとこ。つまり犬とか鳥とか、果てには妖精とか、本来両立し得ないであろうものも、なぜか(・・・)混交して成立してしまっているんだ。それこそ、まるで大理石の、あのぐちゃっとした紋様みてーにな。


 だもんでけっこう蔑視するやつもいて、特に貴族や“古くからの隣人”とかがそうなんだが、そいつらからはこう呼ばれている──まるで出来損ないの絵画(マーブル・カンバス)のようだ、ってな。


「出来損ないの絵画、ですか……それはまた、なんとも……」


 ああ、ひでー言われようだよな。俺も初めて聞いたときはそう思ったわ。別にあいつら、そんな横暴を働いてるわけじゃないし、むしろ迫害されてきたからどちらかと言えば比較的気は大人しい人種だ。目立つことを嫌うし。


 あ、言っとくけど、決してこいつらの前でさっきの蔑称言うんじゃないぞ。知り合いに一人いて、そいつはほかのことは大抵流したり聞いたりしてくれるとてもいいやつだったんだが……それを目の前で、冗談のつもりで口にした途端、こちらを全能力をもって殺しに来やがったから。


 いやあんときはけっこうヒヤッとした。だってそいつの一要素に竜種入ってんだもん、危うく怪我するところだった。しなかったけど。


「なるほど。それほどまでに屈辱的な、まさしく仇名(・・)というわけですか……確かに、ぼくも魔族のことをバカにされたら、少しばかり抑えられなくなるやも……いえ、堪えるべきなら堪えますが……」


 普段おとなしい分、キレるとすさまじく怖い。迫害されてはいるが、別に弱いってわけじゃないしな。そもそもあれだけ混じって、それらを自在に扱える時点で、もうけっこうな脅威だし。

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