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勇者の盾は、もう要らず。  作者: あんころもち
第四歴 勇者の盾、その外出。
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第三十七話

「いえ、でも、苦労はありましたが、それでも、なんていうのか……楽しかった(・・・・・)んです。


そういう、武芸以外のなにかを、こうやって学んでいくのが」


 晴れやかに。ほんの少しだけはにかんで、そのまま歯を見せて笑う彼は、昨日の、ただ強さだけを指標としていたそれとは、まるで別人のようであり。


 うーん、いい顔になったなぁ……こう、焦りってか、あちこちに生き急いでるような力みがどことなく入っていたのが、今は解れている、というか、力が抜けて色々程よくなっている。


 これなら今しばらくは、そう心配することも無いだろう。いやはや、子供の成長は素直で早いねぇ……


「強さは一つじゃなくていい。ですので。もっと、自分の中になにがあるか。なにができるのか。なにを強さと呼ぶべきなのか。


まずは自分の可能性とやら、これからは、色んなことを、色んなように試して、もっともっと探っていきたい、と、そう思っています」


 ああ、それがいい。そうしたほうがいい。色んなことに挑み、戦えるのは、そんでそれらが失敗しても、全部に全部取り返しがつけられるのは、若者だけの特権だからな──いやぁ、若いってのは、それだけで素晴らしいねえ……おっさん眩しいよ、それこそ、色んな意味で。


 よーし、おっさんちょっとはりきっちゃおうかな! なんっつーか、こんな若々しさ見せつけられたら、こう、自分までそうなった感じがして、ついついはしゃぎたくなるってか……ふふふ、いやぁ、まだ俺も、心だけなら若いねぇ……身体はけっこう、動かなくなってきてるが。


 さあ、それじゃ警備頑張りますか「──ちょっと! はなしてよぉ!」おっ、早速荒事の気配!


 どぉれ、ここはまたまた調子に乗っちゃったおっさんが、野暮なお客を懇切丁寧に送り返してや……あれ、うちの店平和じゃん……むしろ大繁盛してんじゃん……じゃあさっきの声はどこから──お。


 なんだ、よくよく見れば、この大通りから外れた、というか建物と建物の隙間にある、例の、人を無理矢理連れ込むのにちょうどいい裏道(アレ)。ちょっと離れたその入り口に、複数の、粗野って言葉をかたちにしたような男どもに引っ張り込まれそうになってる、こっちとは関係無いほかの誰かじゃないか……じゃあ別に助ける義理は無いな、面倒があってもいけねえ、無視しよ。


「や、やー! ちょ、ちょっと、ちょっと誰か、だれかたすけてえぇ!!」


「こっの、てめ、てめえ、大人しく……くそ、意外と力あるな……大人しくこっち来いっての、んぐぐ……」


 おお、あの人数……えっと大体五人くらいか、それぐらいの男性相手に、なんと、被誘拐者、けっこうがっつり抗っている。具体的には代表格であろう、一番に身体がでっかい男に引かれてるのに、両手とはいえたかがわずかに引きずられるだけで済んでる。すごいな、声からして幼い誰かだろうに、あそこまで拮抗するとは。


 うーん、関わらないとは決めたが、けっこう興味が湧いてきたな……いや、別に向かって助け出すほどじゃないけど。今の俺、別に正義の英雄さまってわけじゃないし……昔だったら、まあともかく。


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