第三十三話
とすると……どうするかなー……どうするか……「……あの」ん?
「あの。ライトさま。少々お時間よろしいでしょうか?」
お? おう、別に大丈夫だよ、つーかむしろ暇を潰す方法を考えて暇を潰していたところだったから、むしろ有り余ってる。
「そうですか……それなら……少しだけ、相談したいことが……」
え、なに、相談? 俺ちょっとそういう、若いやつらが悩むような問題には、ちょっとばかし疎いから、その、うまくは答えられないかもしれんが……
「ああ、いえ、そういう、心情的なそれではなく……ううん、いや、そうなのかもしれませんが……」
そこで、少年は、少しだけ口をもごもご動かし、何度か言うことをためらっている様子だったが、しかし腹を据えたのか、よし、と、これもやはり口の中で意気込むと、
「その……あの、ぼく、ぼくは……
どうやったら、もっと、強くなれるでしょうか……」
おお……まっとうな質問きたな……しかもけっこう王道の、まさに悩める若人って感じのやつ。
けど、これは……どう答えたもんかな。というか、どうしたほうが彼のためになるか……うーん……あ、
「その前に、一つだけ質問をさせてくれ。
──“強さ”とは、一体どういうものなのだと思う?」
先に彼の意見を聞けばいいじゃん。そうすればどうにか話のきっかけ程度は掴めるだろうし。
「強さ。ですか……そう、ですね……」
お、悩んでる悩んでる。いいぞ、じっくり考えていてくれ。そもそも俺だって“強さ”なんて具体性にかけるあやふやで不確かな存在に、そうばしっとした定義なんて持っているわけじゃないんだ、せめて考える時間が無いと、自分の中の意見すらまとまらない。
しかし、少年もそんなことで悩むんだなぁ……別に今のまま、きちんと訓練と、あと実戦……は、ちょっと今の時代だと無理か。無理だな。精々魔物くらいか。とりあえずそうやって積み重ねていけば、ちゃんと強くなれると思うんだが。魔族って寿命すっげぇ長いし。
というかですね、俺、どちらかというと“ズル”してる側に入るから、あんまりこの武力振り回すの申し訳無いんだよな……いや、自慢したくないかって言われたら、そりゃ違うけどぉ……だって俺の力だしぃ……
「そう、ですね。ぼくも、そうぱっとは思い付きませんでしたが……やはり、単純に、”相対するものを、力ずくでねじ伏せられる、武力”でしょうか? ……浅慮で申し訳無いのですが……」
いや。この年頃なら、それが当たり前だよな。ましてこうして、騎士家系の男の子に生まれたのなら、まず強さと言えば圧倒的な武力一択になるだろうし。
間違いではない。確かにそれも強さの一つ。大抵の英雄が大抵持ってる、相手に自分という存在をわからせる、この世でもっとも単純でわかりやすい、暴力という物差し。
けれどそれだけではない、というと少しばかり陳腐だが、まあそれは先達が後輩に送る常套句みたいな感覚で許してもらいたい。何事もわかりやすいのが一番だ。行為も言葉もな。




