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勇者の盾は、もう要らず。  作者: あんころもち
第四歴 勇者の盾、その外出。
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第三十三話

 とすると……どうするかなー……どうするか……「……あの」ん?


「あの。ライトさま。少々お時間よろしいでしょうか?」


 お? おう、別に大丈夫だよ、つーかむしろ暇を潰す方法を考えて暇を潰していたところだったから、むしろ有り余ってる。


「そうですか……それなら……少しだけ、相談したいことが……」


 え、なに、相談? 俺ちょっとそういう、若いやつらが悩むような問題には、ちょっとばかし疎いから、その、うまくは答えられないかもしれんが……


「ああ、いえ、そういう、心情的なそれではなく……ううん、いや、そうなのかもしれませんが……」


 そこで、少年は、少しだけ口をもごもご動かし、何度か言うことをためらっている様子だったが、しかし腹を据えたのか、よし、と、これもやはり口の中で意気込むと、


「その……あの、ぼく、ぼくは……


どうやったら、もっと、強くなれるでしょうか……」


 おお……まっとうな質問きたな……しかもけっこう王道の、まさに悩める若人(わこうど)って感じのやつ。


 けど、これは……どう答えたもんかな。というか、どうしたほうが彼のためになるか……うーん……あ、


「その前に、一つだけ質問をさせてくれ。


──“強さ”とは、一体どういうものなのだと思う?」


 先に彼の意見を聞けばいいじゃん。そうすればどうにか話のきっかけ程度は掴めるだろうし。


「強さ。ですか……そう、ですね……」


 お、悩んでる悩んでる。いいぞ、じっくり考えていてくれ。そもそも俺だって“強さ”なんて具体性にかけるあやふやで不確かな存在に、そうばしっとした定義なんて持っているわけじゃないんだ、せめて考える時間が無いと、自分の中の意見すらまとまらない。


 しかし、少年もそんなことで悩むんだなぁ……別に今のまま、きちんと訓練と、あと実戦……は、ちょっと今の時代だと無理か。無理だな。精々魔物くらいか。とりあえずそうやって積み重ねていけば、ちゃんと強くなれると思うんだが。魔族って寿命すっげぇ長いし。


 というかですね、俺、どちらかというと“ズル”してる(カテゴリ)に入るから、あんまりこの武力振り回すの申し訳無いんだよな……いや、自慢したくないかって言われたら、そりゃ違うけどぉ……だって俺の力だしぃ……


「そう、ですね。ぼくも、そうぱっとは思い付きませんでしたが……やはり、単純に、”相対するものを、力ずくでねじ伏せられる、武力”でしょうか? ……浅慮で申し訳無いのですが……」


 いや。この年頃なら、それが当たり前だよな。ましてこうして、騎士家系の男の子に生まれたのなら、まず強さと言えば圧倒的な武力一択になるだろうし。


 間違いではない。確かにそれも強さの一つ。大抵の英雄が大抵持ってる、相手に自分という存在をわからせる、この世でもっとも単純でわかりやすい、暴力という物差し。


 けれどそれだけではない、というと少しばかり陳腐だが、まあそれは先達が後輩に送る常套句(テンプレ)みたいな感覚で許してもらいたい。何事もわかりやすいのが一番だ。行為も言葉もな。

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