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勇者の盾は、もう要らず。  作者: あんころもち
第四歴 勇者の盾、その外出。
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第十五話

 本来ならここで人数バラけて聞き込み調査といきたいところだが、しかしそれは、特にこんな土地勘無いところじゃちょっと……安全を考えると、無い、かな。


 いくら魔族ったって、複数人に囲まれてしまえば、どうしても抵抗できない場面が出てくる……いや、そりゃ魔を使えば抵抗できるだろうが、それだと人死にが出かねない。なにせ威力が威力だからな、抵抗というにはあまりに過剰すぎる。


 もしそうなってしまえば、こんな大きな町だ、きっと至るところに憲兵が配置されていて、例えそいつらから逃げ切れたとしても、もうこの町で肩で風切って歩く、なんて堂々はできなくなっちまうだろう。それ以前に魔族だともバレかねないし。


 一応、道中で言い聞かせてはいるが……でも……アラゴさんはともかく、他の二人は……色々経験とか足りてないから、とっさだとついうっかりやっちまいそうだよな。特に少年なんてこないだまで、ほら……人憎しだったから。


 そうなると、ここは……なおのこと、ばらばらになるわけにはいかないか。いかないな。うん、いざとなったら俺が体張らないとだし。撃退したり庇ったり。


 よし、そうと決まれば……


「じゃあ、この四人で、きっちりと評判、聞いていきますか!


お前ら、気ぃ入れていくぞ!」


 おおー、と、まるで遠足に来ている子どものような朗らかで、俺たち四人は、そこが町の往来だということも忘れて、少しばかり、意気と拳を振り上げた。


 さて、それじゃあ地道な調査を……なるべく危険が無いように……始めますか!





 聞き込み調査は、思った以上に終始順調だった。


 人当たりの良いアラゴさん、大人受けがいいトルマ少年、上品に気品を振り撒けるマラヤ。主にこの三人のおかげで、聞き込みは瞬く間に、まさに燎原の火の如くすんなりと進み。


 そして昼日中の現在、俺たちは得た情報と、あとはそれぞれの意見を折衷するため、ついでに減った腹を満たすため、とりあえず腰を落ち着けるところを、と、近くの酒場に適当に連れ立って入店し……


 そこで、ちょっとした問題が発生してしまった。


 いや、大したことも、他愛もない、正直俺自身にとっては下らないとすら言いきってよい出来事なのだが、ああもうはっきりと言ってしまおう。


 今、俺たちが直面しているそれとは──


「やあ、そこの君たち! この! 高貴なる僕に、一つ酌でもしてくれないかなぁ!」


 そう。酒場特有の、酔っぱらいによる絡み酒。


 いや、これがさ、俺たち四人まとめて誘われたんならさ、そう面倒にはならなかったと思うんだよ、だってそういう手合いってちょっと付き合ってしこたま酒進めれば勝手に酔い潰れてくれるし、そういうの慣れてるし。


 でも……あの、いかにも貴族のぼっちゃんって感じの青年、明らか俺以外(・・・)と目を合わせて誘ってんだよ。


 つまり、今あいつの目には俺という野暮なおっさんは映っていないわけだ……いや、俺個人としては、絡まれなくて実にありがたいのだが……


「ああ゛ん? なによあんた、こっちは今から楽しい楽しい食事会なんだから、絡むならどっか別のとこでやってくれる?」


「そうだぞ。大体貴様、恐らく身なりからそれなりに地位が高い家柄なのだろうが、ふん、こんなところで酔っぱらっているくらいだ、どうせ大した中身ではあるまい。


精々、その、かっくらっている安酒に見合う程度の低俗だろうよ」


 と、まあ、このように、せっかくいい気分で楽しく飯食いながらわいわい宿決めってところにこうして絡まれたもんだから、若者二人の怒りのボルテージがだいぶ溜まってしまっている。


 しかも、なんだ、こいつら、目の前の彼が俺を見てすらいないことにも腹を立てているらしく、特に少年なんかはさっきから、護身用に持ってきた背の槍に手を置きかけている。まさに一触即発、といった雰囲気だ、だいぶまずい。

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