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勇者の盾は、もう要らず。  作者: あんころもち
第四歴 勇者の盾、その外出。
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第八話

 あ、それとも、そういう直しができる人、言わば職人やってた村人がいる、とかか? 確かにそれなら……いやでも人が居たって、まず材料となる金属やらが足りてるのか? 


「いえ、残念ながら、ここには装備を新調できるほどの金属は、正直なところまったく存在しません。いや、金属というくくりであれば、兵士たちが置いていった武具があるにはある、のですが……はっきり言って、どれもこれも……」


 なるほど、使い古しで使い回し、わざわざ()潰して使うにしてもそれほど量も無く、それよりだったらまだ着れるやつに回したほうがマシ、と。


「はい……かといって、この近くには鉱山などありませんし、あったとしてもそもそも鋳塊(ちゅうかい)にする技術や設備がありません。ですので、この付近で装備を整えるのは難しい、です……」


 え、じゃあどうやって揃えるんだよ。さすがに無いものは俺、出せないぜ? 神様じゃないんだから。


「はい、ですので、ここは──


行商の方々に付いていって、その先々で買い揃えようかと、そう思っております!」





 確かに考えてみれば、人用の装備を買い上げるなど、そりゃ人里でしかできないわけで。そうなると、そりゃあこの村の唯一外出て金や品物を仕入れてくる行商の人たちに付いていくのがちょうどいいわけで。


 でもさぁ……だからってさあ……


「いや、ぼく人里って初めて行くんですよね……どんなところかな、怖くないかな……」


「慣れればけっこう楽よ、入るのも出るのも。あたしもちょくちょく買い物しにいくけど、それでも全然バレないもの!」


「ですねぇ……ふふ、でも、トルマちゃんはあんまり、変装魔法、上手くないからねえ……もしかしたら捕まっちゃうかもしれないわね」


 ──なんでこの三人と、行商の旅に出ることになるんだよ。


 しかも荷物持ちは俺だけときた。おかげでぎっしり商品とか旅道具が詰まってるでっけえ背嚢(リュック)を背中に負って、今は魔の大陸の玄関口に向かっているところ。あのふわっとした橋が掛かってるあそこな。


 まったく、こんなことになるんなら、うっかり承諾するんじゃなかったぜ……そりゃ俺も装備は、欲しかったけど……けどここまでするほどじゃ……いや、うん、もう出立したんだし、文句はここまでにしておこう……


 ただ、まあ、さすがに行商の人たちも、俺たちに仕事の一切を押し付けることなどせず(まあ当たり前か、素人には荷が重すぎる)、自分たちが行く予定だった近場の町一つだけを担当させてくれた。それにそこへ向かうための地図とか、行商の手順をまとめた手帳の写しとか、その他諸々、必要なものを渡してくれ……いや、本当に至れり尽くせりでありがたいことだ。


「それにしてもラッキーだったわ! ちょうど買いたいものがあったのよねー……ふふ、こういうの、渡りに船ってやつ?」


「ええ。確かに私も、そろそろ砂糖が切れそうでしたので……あとは、トルマちゃんが心配で……」


「なっ、ぼくは一人でも……いいや、確かに遠出はあまりしたことが無かったから、不安では……あったが……」


 くそぅ……あのとき、遠出の理由とか話すんじゃなかったぜ……こいつ少年にお得意の話術仕掛けて半ば無理やり付いてきやがって……いやでも話さないのは不義理だし……


 そのあと少年も許可取るためにアラゴさんに話して……いや、うん、この人はいいや、むしろ付いてきてくれてありがたい……この面子の中じゃ、唯一まともな料理の技能持ってるし……俺だとどうしても、野菜の素焼きとか、そういうのになっちまうからなぁ……


 さて、あいつらが話に夢中なうちに、今回行くことになった町の確認でもしておこうか。どうせこの分だと俺が先導することになりそうだしな。

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