第二十話
ここにいるべきじゃない。ここに自分の居場所は無い。ふと、以前にそう思ったことを、思い出す。
正直。それは未だ変わっていない。例え、ただ余生を送るだけの、ただの灰燼になった今でも、こんな、まるで日だまりのような場所に、自分はふさわしくないのだ。
いや。いや。ことここに至って、そんなカッコつけた言い方はよそう──俺が。俺自身が、いたくないんだ。いたたまれないんだ。
見ているだけで、辛い。ましてそこに入りなどすれば、まるで、もうなにも残っていないはずの身体に、心に、焼けつくようななにかが、幾度も幾重にも走り続ける。
原因は、わかっている。わかっていて、それでも、それでも、振りきれない。それぐらい、後ろ暗くて、ちなまぐさい道を歩んできた。しかも、ほかならぬ自分の意思で。
そうしなければならなかった。生きるためにはしかたなかった。そんな下らない言いわけ《なぐさめ》など、口にもしないし思うことだってしない。そんな恥知らずを平気な顔で言い放てるほど、俺の顔は分厚くない。
だからこそ、こんな、こんな平和は。太平は。俺にとって……俺には……
……。…………。いや。よそう。これは、この思いは、今の状況にふさわしくない。せっかくの隠居暮らしだってのに、いちいちこう、自分の過去なんぞに振り回されるのは、なんというか、情けない。
……うん、だったら、まずは、この後ろめたさを解消……とまではいかなくても、少しでも頭から離れるように、この暮らしを満喫しなくちゃ、だ。
で、さしあたっては。
「おーう、こらこら、そんな慌てて取りまくるんじゃねえよガキども! 別にこんなん、材料がありゃいっくらでも作れんだ!
おら、注文がありゃ聞いてやるから──欲しいやつ、言ってみろ!」
この、きらきらしている一杯の笑顔たちに──楽しいオモチャを作ってやるとするか!




