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嘘告白で俺を笑い者にした幼馴染、翌日には学園一の美少女が俺の彼女になっていた  作者: simamu


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4/7

俺の彼女は、学園一の美少女でし

翌朝。


目を覚ました俺は、しばらく天井を見つめていた。


昨日の出来事が、頭の中から離れない。


小鳥遊美月。


十年間、ずっと好きだった幼馴染。


その彼女から告白されて、嬉しくて、夢みたいで。


けれど、あれは罰ゲームだった。


俺の気持ちも、十年間の想いも、全部笑いものにされた。


「……はは」


乾いた笑いが漏れた。


思い出すだけで、胸が苦しくなる。


それでも、昨日のことを考えるたびに、もう一つの記憶が浮かんできた。


白瀬雪乃。


学園一の美少女で、誰もが憧れる女の子。


そんな彼女が、俺に言ってくれた。


『私は、あなたが好きです』


『今度は私が、湊くんを幸せにしたい』


昨日、俺が一番つらかったとき、雪乃は隣にいてくれた。


無理に励ますことも、忘れろと言うこともなく、ただ俺の話を聞いてくれた。


「……俺、どうしたいんだろう」


美月を好きだった気持ちが、一日で消えるわけじゃない。


だけど、だからといって、これから先もずっと過去に縛られていたいわけでもない。


俺はゆっくりと起き上がった。


雪乃の告白に、ちゃんと答えたい。


逃げずに、自分の気持ちと向き合いたかった。


⸻


学校に着くと、教室の空気はどこか重かった。


俺が教室に入った瞬間、何人かの視線がこちらに向く。


昨日の動画のことが、まだ話題になっているのだろう。


聞こえてくる小声に、思わず足が止まりそうになる。


けれど、俺は何も言わず、自分の席へ向かった。


「……湊」


声をかけてきたのは、佐藤健太だった。


いつもは明るい健太が、今日は真剣な顔をしている。


「昨日は、ごめん」


「……え?」


「お前が傷ついてるのに、俺、何もできなかった。周りの空気に流されて、ちゃんと声をかけられなかったんだ」


健太は申し訳なさそうに頭を下げた。


「本当に悪かった」


俺は少し驚いた。


昨日のことを、健太も気にしてくれていたらしい。


「……謝ってくれて、ありがとう」


「許してくれるのか?」


「すぐに全部忘れられるわけじゃないけど……謝ってくれたことは嬉しいよ」


健太は、少しだけほっとしたように息を吐いた。


その後、水野葵も俺のところへやってきた。


「湊くん、私もごめんね」


「葵?」


「昨日、あんなことになっていたのに、何も言えなかった。動画が広まっていることも知っていたのに……」


葵は、ぎゅっと手を握りしめた。


「本当は、止めるべきだったと思う」


「……うん」


「ごめんなさい」


「ありがとう。もう大丈夫、とはまだ言えないけど……」


俺は少しだけ笑った。


「そうやって言ってくれるだけでも、救われるよ」


「……うん」


葵は安心したように頷いた。


そのときだった。


「ねえ、いつまでその空気続けるつもり?」


教室に響いた声。


顔を上げると、小鳥遊美月と橘莉子が立っていた。


美月は、少し面倒くさそうな顔をしている。


莉子に至っては、最初から不機嫌そうだった。


「……何の話?」


俺が尋ねると、莉子は呆れたように肩をすくめた。


「何の話って、昨日のことに決まってるじゃん。いつまで引きずってるの?」


「たかが罰ゲームでしょ?」


美月も、軽い調子で言った。


「そんなに大ごとにすることじゃないじゃん。私、昨日も悪かったって思ってるし」


「……悪かったって?」


思わず聞き返した。


美月は少しだけ視線を逸らした。


「だから、冗談だったの。あんなことになると思わなかっただけ」


「……動画のことは?」


俺が尋ねると、美月は答えに詰まった。


代わりに莉子が口を開く。


「動画を撮ったのは大輝でしょ? 美月に言われても困るんだけど」


その言葉に、俺は莉子を見た。


「……お前が罰ゲームを考えたんじゃないのか?」


一瞬、莉子の表情が変わった。


けれど、すぐに鼻で笑う。


「だから何? 別に、湊を本気で傷つけようと思ったわけじゃないし」


「……っ」


「そもそも、告白が罰ゲームだったくらいで、いつまでも落ち込んでる方もどうかと思うけど」


教室が静まり返った。


莉子は、さらに言葉を続けた。


「もう湊には関わらない方がいいよ。面倒くさいし。こっちだって、いつまでも気を遣うの嫌なんだけど」


……本気で言っているのか。


俺がどれだけ傷ついたのか、分かっていないのか。


いや、違う。


分かっていて、どうでもいいと思っているのかもしれない。


そのとき、健太が立ち上がった。


「……おい、いい加減にしろよ」


莉子が振り向く。


「は? 何?」


「自分たちが何をしたか、分かってんのか?」


健太の声は、いつになく厳しかった。


「罰ゲームの告白を仕組んで、相手が本気になったら笑って、動画まで広めて。それで傷ついた湊が悪いっていうのか?」


「動画を広めたのは大輝でしょ!」


莉子が声を荒らげる。


「俺は、罰ゲームを考えたのがお前だって話をしてるんだよ」


「……っ」


今度は葵も口を開いた。


「冗談なら、人を傷つけてもいいの?」


「……」


「湊くんが本気だったこと、知ってたんじゃないの?」


美月は、何も答えなかった。


その沈黙が、何よりも答えのように思えた。


周囲のクラスメイトたちも、二人を見る目を変え始めていた。


昨日まで笑っていた人たちの中にも、今になって自分たちが何を笑っていたのか、考え始めた人がいる。


「……もういいよ」


俺は静かに口を開いた。


「湊……?」


美月がこちらを見る。


「俺は、もうお前たちと今まで通りには接することができない」


「そんな、大げさな……」


「大げさかどうかを決めるのは、お前じゃない」


自分でも驚くくらい、落ち着いた声だった。


「俺がどう感じたかは、俺が決める」


美月は言葉を失った。


莉子は不満そうに顔をしかめたが、周囲の視線に気づいたのか、それ以上何も言わなかった。


二人は結局、自分たちの席へ戻っていった。


けれど、さっきまでのように周囲と笑い合うことはなかった。


そして――。


教室の後ろでは、相沢大輝がスマートフォンを見つめていた。


「……何だよ、これ」


大輝が小さく呟く。


昨日、自分が拡散した動画。


そのことについて、クラスメイトから批判のメッセージが届き始めていたのだ。


ただ一つ変わったことがある。


昨日まで笑っていたクラスメイトたちが、今日からは大輝や莉子を避けるようになり始めたことだった。


⸻


その日の授業は、あまり頭に入ってこなかった。


けれど、朝の出来事を思い出すたびに、俺は一つのことを考えていた。


もう、美月のことで立ち止まり続けるのはやめよう。


十年間の想いは、確かに本物だった。


だからこそ、あんな終わり方をしたことはつらい。


それでも、俺の人生はここで終わるわけじゃない。


俺には、これから先の時間がある。


そして、その時間を一緒に過ごしたいと思える人がいる。


放課後。


俺はスマートフォンを取り出し、雪乃にメッセージを送った。


『今日、少しだけ話せる?』


すぐに既読がついた。


『もちろんです。どうしたの?』


俺は少し迷ってから、返事を打った。


『昨日の返事を、ちゃんと伝えたい』


数秒後。


『……分かりました。待っていますね、湊くん』


そのメッセージを見て、俺は深く息を吐いた。


よし。


ちゃんと伝えよう。


⸻


放課後の校舎裏。


夕日が差し込む静かな場所に、雪乃は立っていた。


銀色の髪が、夕日に照らされて淡く輝いている。


俺に気づくと、雪乃は少し緊張したように微笑んだ。


「……湊くん」


「待たせてごめん」


「ううん。私が早く来ただけだから」


雪乃はそう言ったものの、握りしめた手には力が入っていた。


きっと、不安なのだろう。


昨日、勇気を出して告白してくれた。


その返事を、今から聞こうとしているのだから。


俺は雪乃の前に立った。


「……昨日の返事なんだけど」


「……うん」


「俺、まだ美月のことを完全には忘れられてない」


雪乃の瞳が、わずかに揺れた。


それでも、彼女は黙って聞いてくれた。


「十年間、ずっと好きだったから。簡単に気持ちを切り替えられるわけじゃないんだ」


「……うん」


「でも、昨日、雪乃がそばにいてくれて……すごく救われたんだ」


俺は、雪乃の目を見つめた。


「俺が傷ついていることを否定しないで、無理に忘れろとも言わないで、ただ隣にいてくれた」


「……湊くん」


「だから、俺も雪乃と一緒にいたいって思ったんだ」


雪乃は、息を呑んだ。


俺は一度だけ深呼吸をして、はっきりと伝えた。


「……俺と、付き合ってください」


一瞬、雪乃の表情が止まった。


「……え?」


「俺と、恋人になってほしい」


雪乃の瞳が、大きく見開かれた。


やがて、その目から大粒の涙がこぼれ落ちる。


「……本当に?」


「うん。本当だよ」


「私で……いいの?」


「雪乃がいいんだ」


その瞬間、雪乃は顔をくしゃっとさせて笑った。


「……っ、よかった……!」


彼女は涙を拭いながら、俺の手をぎゅっと握った。


「私……ずっと、湊くんにそう言ってもらいたかったの……」


「雪乃……」


「ありがとう……本当に、ありがとう……!」


その姿を見ていると、俺の胸まで温かくなった。


昨日まで、俺は自分が誰かに大切にされるなんて思えなかった。


けれど、目の前の彼女は、こんなにも嬉しそうに笑ってくれている。


俺の返事を、心から喜んでくれている。


「……これから、よろしくな。雪乃」


「はい……! こちらこそ、よろしくお願いします、湊くん」


雪乃は、俺の手を離さなかった。


それどころか、少しだけ近づいて、そっと腕に触れた。


「……ねえ、湊くん」


「ん?」


「これからは、もっと一緒にいてもいいですか?」


「もちろん」


「一緒に帰ったり、休日にデートしたり……手を繋いだり」


「……うん」


「あと……私のこと、ちゃんと名前で呼んでほしいです」


雪乃は恥ずかしそうに笑った。


俺も少し照れながら答える。


「……雪乃」


「……えへへ」


彼女は、嬉しそうに頬を緩めた。


「もう一回」


「雪乃」


「……もう一回、お願いします」


「何回でも呼ぶよ。雪乃」


「……大好きです、湊くん」


その言葉に、俺の顔まで熱くなった。


「……俺も、これから雪乃のことを大切にするよ」


雪乃は、俺の手を両手で包み込んだ。


「……約束ですよ?」


「約束」


俺たちは小指を絡めた。


夕日が、二人の影を長く伸ばしていく。


この先、何が起こるのかは分からない。


美月たちのことも、拡散された動画のことも、まだ解決していない。


だけど、今だけは。


雪乃と一緒にいられることを、素直に嬉しいと思えた。


「……帰ろうか、雪乃」


「はい。湊くん」


俺たちは手を繋いで、校舎を後にした。


こうして俺は、学園一の美少女と恋人になった。


――ただし、そのことをまだ学校の誰も知らない。

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