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嘘告白で俺を笑い者にした幼馴染、翌日には学園一の美少女が俺の彼女になっていた  作者: simamu


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2/8

それ、罰ゲームだから

翌朝。


目覚ましが鳴るよりも早く、俺は目を覚ました。


カーテンの隙間から差し込む朝日を見つめながら、自然と頬が緩む。


昨日の出来事を思い出したからだ。


――美月が、俺に告白してくれた。


十年間、ずっと好きだった幼馴染。


一緒に登校して、くだらない話をして、時には喧嘩もして。


いつか、この関係が変わればいい。


そんな願いを、何度も胸の中で繰り返してきた。


そして昨日、ついにその願いが叶った。


『湊のことが、ずっと好きだったんだ』


あの言葉を思い出すだけで、胸が熱くなる。


今日は何を話そう。


手を繋いでもいいのだろうか。


学校では、今まで通りに接するべきなのか。それとも、恋人らしく振る舞ったほうがいいのだろうか。


考えれば考えるほど、落ち着かなくなる。


「……やばい。楽しみすぎる」


思わず声が漏れた。


俺は制服に着替えると、いつもより早く家を出た。


昨日までと同じ通学路なのに、世界が少しだけ違って見えた。


今日からは、美月のことを幼馴染ではなく、彼女として見られる。


そう思うだけで、足取りは軽かった。


このときの俺は、まだ何も知らなかった。


昨日の告白が、俺にとってどれほど大切なものだったのか。


そして、美月にとってはどれほど軽い出来事だったのか。


その違いを、思い知らされることになるなんて。


*


教室に入ると、いつも通りの光景が広がっていた。


「昨日の課題、やった?」


「やってねえ。あとで見せて」


「お前、毎回それじゃん!」


笑い声が響き、何人かの生徒がスマホを見ながら盛り上がっている。


俺はそんな教室を見渡しながら、美月の姿を探した。


いた。


窓際の席で、橘莉子や相沢大輝たちと話している。


「美月、おはよう」


声をかけると、美月が振り返った。


「……あ、おはよ」


その表情を見た瞬間、俺は少しだけ不安になった。


昨日、告白してくれたときとは違う。


どこか気まずそうで、俺と目を合わせようとしない。


「どうした? 眠いの?」


「いや、そういうわけじゃないけど……」


美月は頬をかきながら、莉子たちに視線を向けた。


すると、莉子が口元を押さえて笑い始めた。


「ねえ、美月。ちゃんと言いなよ」


「……分かってるって」


何の話だろう。


俺が首を傾げていると、美月は小さく息を吐いた。


そして、俺を見て言った。


「湊。昨日のことなんだけどさ」


「うん?」


「……あれ、罰ゲームだったんだよね」


一瞬、何を言われたのか分からなかった。


「え?」


「だから、昨日の告白。友達と罰ゲームしてて、湊に告白することになっただけ」


美月は、まるで宿題を忘れたことでも説明するような口調だった。


「……は?」


頭の中が真っ白になる。


昨日の笑顔。


震えるほど嬉しかった気持ち。


十年間の想いが報われたと感じた、あの瞬間。


全部が、一気に遠ざかっていく。


「いや、でも……昨日、好きって……」


「だから、罰ゲームだってば」


美月は困ったように笑った。


「まさか本気にするなんて思わなかったんだけど」


その瞬間。


教室の一角から、笑い声が上がった。


「マジで信じてたのかよ!」


相沢大輝がスマホを掲げる。


その隣で橘莉子が、楽しそうに画面を操作していた。


「見てよ、これ!」


画面に映っていたのは、昨日の俺だった。


放課後の校舎裏。


美月から告白され、顔を真っ赤にしながら返事をする俺。


『俺も……ずっと好きだった。十年間、ずっと美月のことが好きだったんだ』


自分の声が、教室に響いた。


「うわ、十年間だって!」


「本気すぎるだろ!」


「幼馴染に告白されて、完全に舞い上がってんじゃん!」


あちこちから笑い声が聞こえてくる。


俺は、その場から動けなかった。


画面の中の俺は、幸せそうに笑っていた。


これから始まる恋を信じて。


美月と一緒に過ごす未来を夢見て。


何も疑わずに。


「……なんで、それがあるんだよ」


ようやく出た声は、自分でも驚くほど小さかった。


大輝が悪びれもせずに答える。


「俺が撮ったから。面白そうだったし」


「面白そうって……」


「いや、だってお前の反応、すごかったからさ!」


また笑い声が上がった。


教室の後ろでは、動画を見ていた男子が友達の肩を叩いている。


「これ、クラスのグループにも流れてきたぞ」


「マジ? 俺も見た!」


「本人、今どんな気持ちなんだろうな」


ひそひそとした声が、耳に入ってくる。


誰かが笑う。


誰かがスマホを見せ合う。


誰かは気まずそうに目を逸らす。


その中で、佐藤健太は笑いかけた口を途中で閉じた。


動画の中の俺が、あまりにも真剣だったからだ。


一方、水野葵は困惑した表情で周囲を見渡していた。


「……これ、本当に笑っていいことなの?」


その言葉に、近くにいた何人かが黙り込む。


けれど、笑い声はすぐには止まらなかった。


俺は美月を見た。


「……美月。本当に、嘘だったのか?」


最後にもう一度だけ、確かめたかった。


何かの間違いだと言ってほしかった。


昨日の告白だけは、本物だったと言ってほしかった。


けれど。


「うん。嘘だよ」


美月は、あっさりと答えた。


「ごめんね。でも、湊なら笑って許してくれると思ったんだよ」


――湊なら。


その言葉が、胸に突き刺さった。


十年間、一緒にいた。


美月が困っているときは助けた。


落ち込んでいるときは話を聞いた。


誰よりも近くで、誰よりも長く、彼女を大切にしてきたつもりだった。


だからこそ、信じてしまった。


美月が自分を好きだと言ってくれたことを。


けれど、美月にとって俺は。


傷つけても、笑って許してくれる人間だったのだろうか。


「……そっか」


俺は、無理やり笑おうとした。


でも、うまく笑えなかった。


「俺、本当に好きだったんだ」


教室が、少しだけ静かになった。


美月の表情から、笑みが消える。


「……湊?」


「十年間、ずっと……」


もう、それ以上は言えなかった。


声が震えそうだった。


目の奥が熱くなっていた。


ここで泣いたら、きっとまた笑われる。


そう思った俺は、鞄を掴んで教室を出た。


背後から、誰かの声が聞こえた。


「おい、ちょっとやりすぎじゃね?」


「でも、罰ゲームだったんだろ?」


「いや、そういう問題じゃ……」


そんな声も、すぐに遠ざかっていった。


*


廊下を歩きながら、俺は必死に涙を堪えていた。


別に、告白が成功しなかったことだけが悲しいわけじゃない。


美月に好きな人がいないことも、俺を恋愛対象として見ていなかったことも、受け止めるしかないと思う。


でも。


俺が本気で喜んだ姿を、動画に撮られていた。


十年間の想いを打ち明けた言葉を、笑いの種にされた。


それが、何よりも苦しかった。


階段の踊り場まで来ると、俺は足を止めた。


誰もいないことを確認して、壁に背中を預ける。


「……何やってんだろ、俺」


昨日は、あんなに幸せだったのに。


今日になったら、全部が嘘だった。


スマホが震えた。


クラスのグループチャットだった。


画面を開くと、さっきの動画についてのメッセージがいくつも流れていた。


『朝から笑った』


『湊、ガチだったんだな』


『美月もなかなかひどいな』


『いや、撮って拡散したやつもだろ』


さらに、別のグループにも動画が送られているらしい。


山田翔というクラスメイトが、別の友人たちにも動画を転送したというメッセージまで見えた。


俺はスマホの画面を消した。


もう、見たくなかった。


誰かを好きになることが、こんなに惨めなことだなんて思わなかった。


「……もう、いいや」


小さく呟く。


「もう、美月のことは諦めよう」


十年間、好きだった。


それだけは、嘘じゃない。


でも、その十年間に縛られ続ける必要はないはずだ。


そう思わなければ、立ち上がれそうになかった。


*


「……朝比奈くん?」


不意に、声がした。


顔を上げると、階段の上に一人の女子生徒が立っていた。


白銀の髪。


透き通るような青い瞳。


整った顔立ちに、すらりとしたスタイル。


校内で彼女を知らない生徒は、ほとんどいない。


白瀬雪乃。


成績優秀、容姿端麗。


誰に対しても礼儀正しく、先生からの信頼も厚い。


学園一の美少女と呼ばれる女子だった。


そんな彼女が、どうしてここにいるのだろう。


俺は慌てて目元を拭った。


「白瀬さん……。ごめん、こんなところで」


「謝らなくていいよ」


雪乃はゆっくりと階段を下りてきた。


そして、俺の顔を見つめる。


「……泣いていたの?」


「いや、これは……」


「無理して笑わなくてもいいんだよ」


その言葉を聞いた瞬間、堪えていたものが揺らいだ。


教室では、誰も俺の気持ちを聞いてくれなかった。


面白がる人がいて、困惑する人がいて、見て見ぬふりをする人がいた。


でも、彼女は違った。


俺が泣いていることを、笑わなかった。


「……ちょっと、失恋しただけだから」


どうにか笑おうとすると、雪乃は悲しそうに眉を下げた。


「そっか……」


それ以上、無理に聞き出そうとはしなかった。


ただ、俺の隣に立ってくれた。


しばらく、二人で黙っていた。


やがて雪乃が、静かな声で尋ねた。


「ねえ、朝比奈くん。少しだけ、私の話を聞いてくれる?」


「……俺でいいの?」


「うん。あなたがいいの」


彼女は、まっすぐに俺を見つめた。


その瞳は、普段の教室で見かける完璧な彼女とは少し違っていた。


どこか不安そうで。


それでも、何かを決意したような瞳だった。


「私ね……ずっと、あなたに伝えたいことがあったの」


「俺に?」


「うん」


雪乃は小さく頷いた。


そして、ほんの少しだけ頬を赤くする。


「今日、あなたが傷ついているのを見て……もう、黙っていられないって思った」


胸が、わずかに跳ねた。


「白瀬さん……?」


「今すぐじゃなくてもいい。すぐに信じてくれなくてもいいから」


彼女は、一度だけ深呼吸した。


「私の気持ちを、聞いてほしいの」


その声は、少し震えていた。


俺は黙って頷いた。


雪乃は、ほっとしたように微笑む。


「ありがとう、朝比奈くん」


窓から差し込む朝の光が、彼女の銀色の髪を淡く照らしていた。


その姿は、まるで絵画のように綺麗だった。


そして俺は、まだ知らなかった。


彼女がどれほど長い間、俺を想い続けてきたのか。


俺が忘れていた、ある雨の日の出来事を。


そして、この出会いが俺の人生を大きく変えていくことを。


――嘘の恋が終わった日。


俺は、本物の恋の始まりに出会った。


第3話『学園一の美少女は、ずっと俺が好きだった』へ続く。


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第2話も最後まで読んでいただき、ありがとうございます!(๑•̀ㅂ•́)و✧✨

嘘の告白によって傷ついた湊。

そんな彼の前に現れた、学園一の美少女・雪乃。

果たして、雪乃が湊に伝えたいこととは……?(〃▽〃)

ここから始まる二人の恋の行方を、ぜひ見守ってください!✨

第3話もぜひお楽しみに!

面白いと思っていただけたら、作品フォロー・☆☆☆評価・いいねをしていただけると嬉しいです!(´▽`)

これからも応援よろしくお願いします!m(_ _)m

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