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時根の手記  作者: 時根脱才 


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第7話 小人の仕業?

第7話 小人の仕業?


 昨日。


 散々。


 ミドリへの恨みつらみを書いた。


 ボツ。


 たった二文字で。


 何日も考えたものが使えなくなった。


 いや。


 正確には。


 ミドリが二文字しか言わなかったわけじゃない。


 そのあと。


 ちゃんと理由も説明された。


 そして。


 その理由に。


 俺自身。


 納得してしまった。


 だから。


 余計に腹が立った。


 そんなことを。


 昨日の俺は。


 延々と書いている。


「…………」


 今。


 読み返して。


 少し恥ずかしい。


 手記なんて。


 書くものじゃないかもしれない。


 でも。


 まあ。


 誰にも見せないからいい。


 特に。


 ミドリには。


 絶対に見せない。


     ◇


 さて。


 今日は。


 その続き。


 昨日。


 あのあと。


 俺は本当に仕事へ戻った。


 偉い。


 自分で言うことではない。


 でも。


 漫画家を辞めるだの。


 今日はもう描かないだの。


 散々書いたあとで。


 ちゃんと机に向かった。


 だから。


 少しくらい褒めてもいいと思う。


 問題は。


 そのあとだ。


     ◇


 新しい紙を出した。


 最初から。


 考え直した。


 怪人は残す。


 能力も。


 できるだけ残す。


 でも。


 物語は作り直す。


 ミドリに言われた。


 怪人の能力と。


 主人公が戦う理由。


 そこが。


 うまくつながっていない。


 なら。


 そこから考える。


 なぜ。


 こいつでなければならないのか。


 なぜ。


 この怪人と。


 主人公が戦うのか。


 戦って。


 何が残るのか。


「…………」


 書く。


 消す。


 書く。


 また消す。


 少し進む。


 戻る。


 また書く。


 時計を見る。


「…………」


 見なかったことにした。


 締め切り前の時計は。


 精神衛生上。


 あまり見ないほうがいい。


 たぶん。


     ◇


 それでも。


 少しずつ。


 形にはなってきた。


 前より。


 いい。


 少なくとも。


 そう思う。


 主人公が戦う理由も。


 前より自然だ。


 怪人の能力にも。


 意味が出てきた。


「これなら……」


 いけるかもしれない。


 そう思った。


 そこまでは。


 覚えている。


     ◇


 次に覚えているのは。


 朝だった。


「…………」


 最初。


 何が起きたのか。


 分からなかった。


 首が痛い。


 背中も痛い。


 右腕は。


 完全に痺れていた。


「痛っ……」


 顔を上げる。


 机。


 ノート。


 原稿。


 シャープペン。


 コーヒーカップ。


 そこで。


 ようやく分かった。


「寝たのか、俺」


 机に突っ伏したまま。


 寝てしまったらしい。


 最悪だ。


 身体が。


 ものすごく痛い。


 時計を見る。


 朝。


「…………」


 やってしまった。


 締め切りが近いのに。


 寝た。


 しかも。


 布団ですらない。


 これなら。


 ちゃんと寝たほうが。


 まだよかった。


 そんなことを考えながら。


 昨日の続きを確認した。


「…………あれ?」


 そこで。


 止まった。


     ◇


 書いてある。


 続きが。


「…………」


 昨日。


 俺は。


 どこまで書いた。


 思い出す。


 ここ。


 この場面。


 主人公が。


 怪人と戦う理由を。


 ようやく見つけた。


 そこから。


 次の展開を考えていた。


 はずだ。


 少なくとも。


 俺の記憶では。


 そこで止まっている。


 なのに。


 その先が。


 ある。


 一枚。


 次。


 その次。


「…………」


 最後まで。


 できていた。


     ◇


「俺、書いたのか?」


 誰もいない部屋で。


 聞いた。


 当然。


 誰も答えない。


 読む。


 最初から。


 昨日。


 俺が覚えているところまでは。


 間違いなく。


 俺が書いた。


 その先。


 記憶がない部分。


 読む。


「…………」


 変じゃない。


 むしろ。


 ちゃんとつながっている。


 ミドリに言われた問題も。


 直っている。


 怪人の能力。


 主人公が戦う理由。


 最後の場面。


 全部。


 一つの話になっている。


「…………」


 しかも。


 俺が考えそうな話だった。


     ◇


 字を見る。


 俺の字だ。


 たぶん。


 いや。


 間違いなく。


 俺の字だ。


 普段から。


 そんなに綺麗な字ではない。


 締め切り前になると。


 さらに汚くなる。


 この字も。


 十分。


 汚い。


 俺だ。


 認めたくないけど。


 俺の字だ。


「じゃあ……書いたんだよな」


 それしかない。


 この部屋には。


 俺しかいない。


 玄関の鍵も。


 閉まっていた。


 窓も。


 閉まっている。


 誰かが夜中に入ってきて。


 俺の代わりに。


 漫画の続きを考えて。


 しかも。


 俺の字を真似して書いて。


 何も盗らずに帰った。


 そんなことがあるわけがない。


 だったら。


 俺だ。


 寝る直前まで。


 描いていた。


 疲れすぎて。


 その記憶が。


 抜けている。


 たぶん。


 それだけだ。


     ◇


 そう思って。


 コーヒーを淹れた。


 顔も洗った。


 少し。


 頭が起きた。


 もう一度。


 原稿を読む。


「…………」


 やっぱり。


 覚えていない。


 ここ。


 この台詞。


 俺が考えたのか?


 この展開。


 いつ思いついた?


 分からない。


 でも。


 俺の文章だ。


 俺の話だ。


 誰か別の人間が書いたようには。


 見えない。


「…………夢遊病?」


 ふと。


 そんな言葉が出た。


 寝ながら。


 仕事をした。


 俺。


 そんなことするのか。


 夢遊病について。


 詳しいわけじゃない。


 でも。


 寝たまま歩いたり。


 何かしたりすることがある。


 そんな話は聞いたことがある。


 だったら。


 寝ながら漫画のプロットを書くことも。


「…………あるのか?」


 分からない。


 今度。


 調べよう。


     ◇


 それから。


 もう一つ。


 変なことを思い出した。


 昔。


 読んだ話。


 確か。


 貧しい靴屋だったと思う。


 仕事を残したまま。


 夜。


 眠る。


 すると。


 寝ている間に。


 小人がやってきて。


 仕事を完成させてくれる。


 そんな話。


「…………」


 机を見る。


 完成しているプロット。


 部屋を見る。


 当然。


 誰もいない。


「まさかな」


 笑った。


 小人。


 いるわけがない。


 いたとして。


 なぜ。


 漫画家の仕事を手伝う。


 靴ならまだしも。


 プロットだぞ。


 しかも。


『ビーストギア』を理解していないと。


 続きを書けない。


「…………」


 いや。


 待て。


 そう考えると。


 小人より。


 夢遊病のほうが。


 まだ。


 現実的だ。


 俺が。


 寝ながら。


 自分の漫画を書いた。


 うん。


 そっちだ。


 絶対。


 そっちだ。


     ◇


 ただ。


 一つ。


 困ったことがある。


 完成していた話。


 結構。


 いい。


「…………」


 いや。


 かなり。


 いいかもしれない。


 昨日。


 何時間も悩んでいたところが。


 ちゃんと。


 解決している。


 これなら。


 ミドリにも。


 見せられる。


「…………」


 寝ながら描いた俺。


 起きている俺より。


 優秀なんじゃないだろうか。


 それは。


 それで。


 ものすごく腹が立つ。


     ◇


 今日は。


 ちゃんと布団で寝る。


 さすがに。


 二日続けて机で寝るのは。


 身体にも悪い。


 それに。


 また。


 記憶のない原稿が増えていたら。


 少し。


 怖い。


 たぶん。


 疲れていただけだ。


 締め切り前だった。


 睡眠も足りていなかった。


 だから。


 完成させてから寝たことを。


 覚えていない。


 それだけ。


 そういうことにしておく。


 でも。


 もし。


 今夜。


 枕元に。


 ものすごく小さな靴でも置いてあったら。


 そのときは。


 ちょっと。


 考える。


 まあ。


 ないだろうけど。


※本作は、作者とChatGPT(AI)による合作作品です。物語の企画・原案・設定・構成など、作品の根幹となる部分は作者が制作し、それらの設定や展開、作者からの指示をもとに、ChatGPTが文章作成・文章化を担当しています。作者とAIが相談・調整を重ねながら、一つの作品として制作しています。

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