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EPISODE 35.5

「ところで峰恵さんはどうしてるんでしょう」


生還した冒険者アイドルさんは冒険社広報部と大喧嘩をして雲隠れした。生きるか死ぬかの思いでグロック19を撃ち続け、地上に戻ったとたん、アルバムリリースが決まりましたよと笑顔で言われたのだから誰だって怒る。美智子もそう思ったし、夫も同意見だ。


「今川くんも鈴木くんも、工場長が引退してもそんな顔してなかったよね」

「それとこれとは話が別です。俺たちは本気で応援してたんですよ」


そんなこと言ってもね。どこに行ったか誰も知らないそうだから私には言葉が見つからない。


「意気消沈してミスが出ないといいね。ロス率の集計が楽しみよ」


お姉さんがにっこり笑うと工場組は震え上がって逃げ出した。


「工場の現場に社長が入ってるみたいです」

「工場の課長をやってた時期があるのよ。機械の操作も工程も知ってるから手の足りないところを手伝ってんの。なんとかなるでしょう」


竹山さんのその後の様子は社長から聞いた。前社長と富士登山に行く予定。元気じゃん。



「フリーターは今はどうしてんの」

「哲夫さんはですね、ゴブリン村の調査の後はまた常装っていう制服姿で防衛庁に通ってます。いろんな会議に呼ばれて質問に答える仕事なんだって」

「やっと就職したんだ。ダンジョンは卒業だね」


それは本人にもわからない。国会で議論されている冒険3法の改正がどう転ぶかが見えていない。野党の案を丸呑みするんじゃないかというのが夫の見立てだ。それでも与党は損をしないから。



ダンジョンが鳴動している。そして会社の仕事も激動している。社長の息子さんは今年、免許を取得して冒険者になる。冒険者学校には先輩後輩の絆のようなものはなく夫にとっては他人でしかないらしい。それでもどんな冒険者になるのかなとは気にしていた。


年が明けて、私はふたり目の妊娠を告げられた。


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