↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
6/8

❈6❈


― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―











空を飛ぼうーー、


父さんみたいに。











― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―












地面を蹴るーー体は思うより重く、広げた羽ーー翼をはためかせて、僕は飛び上がった。













― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―




❈6❈



「さぁ、もうすぐ着くわよーーーーーーほら。いらっしゃい。ーーあら? 二人ね? 」


魔女が誰かに話す様に言った。そして異世界へやって来た二人を覗いて首を傾げた。

召喚したのはこの魔女だ。しかし、それは天成だけのはずだった。


「そちらは? 」


「と、友達です! 」


「親友! ーーあ、親友って分かるかなぁ……? 友達の上のーー」


「My best friend……。」


「マイ、ベスト、フレンドです! 」


「って先生!! 」


「たち! ーーあ〜、二人共付いて来たんだ? 来てくれたんだ? 」


「ついでに父さんもーー父親も居るけど? 」


親友の父親ーーノアさんが自らついでにと言った。


「ついでに父さん。」


親友は父親の言葉を復唱した。


「うん。ーーまぁ、ーー『ついで』で良いかな……。」


「ひいーーふうーーみいーー、あら、五人? 良いわ、大丈夫。面倒見てあげる。」


「『一二三ひふみ』? もしかして、日本文化に詳しい? 」


魔女は目を見つめながら深くゆっくりと数回頷いた。


「まずはーーそうね? 自己紹介から始めましょうか……。私は魔女。ーー白い魔女と呼ばれているわ。」


「この白い魔女ーーさまは、お前を一度召喚しようとした事がある。」


「良いの。この子であって、この子ではないーーあの子は天照、この子は天成。合ってるわね? 」


白い魔女様と呼ばれた魔女は、確認を取るように天成たちの顔を一人ずつ見た。


「ーーええ、合っている様ですよ。自覚は無いようですが……。こちらも、そうだと思いましたので。」


「こちらーー? あら、貴方。貴方はーー月読かしら? 」


「そうです。」


「合っていたわね……。貴方たちは呼んでいないのだけれどーー? 」


ジロリと、冷ややかの少し手前くらいの雰囲気で魔女は教師たちに言うと、教師と背の高い男は怯んだ。


「ーー……。失礼ですが、今世、この二人は私の教え子ーー生徒なのです。手荒にはーー、どうか、丁重に扱ってください。」


「丁重にーー、そうね? それはーー貴方たち次第かしら? 」


今度は天成たち二人を見て『貴方たち』と魔女は言った。


「品定めされるかもしれない……。」


「(馬鹿、天成! ーーもうされてる! )」


二人は震え上がりそうになりながらも、どこか懐かしく暖かい気がする白い魔女の視線に動揺し、困惑した。


「品定めーーそれも良いかもしれない……。けどまずは、あぁ! もうっ! 鬱陶しいっ!! しつこいわねぇ……。 」


「「? 」」


何かを振り払う様にくうを手で大袈裟に払う魔女の姿にその場の全員が『?』(クエスチョンマーク)を浮かべた。


「ーーあぁ、それは天照の式ですよ。術式のーー」


「そうね、ーーその様ね……。あの子のじゃあ、私じゃ解けないーーかもしれないわ。援軍を呼びましょう、あの人をーー……。」


パァン、と頭上で星が弾けた。まるでゲームの効果音とグラフィックの様に。見上げれば、居酒屋の天井があったそこはいつの間にか満天の星空になっていた。


「タイミングの良い……。来ましたよ、あの方が。」


「そうね。いつも良いタイミングなの。」


「奇を衒ってーーいるのはそっちだな? 機を見計らっているんだ。いつもな。」


「申し訳ありませんが、私が先に呼びましたよ。生徒に手を出されてはーー私では二人を守るには力不足と理解していますので。」


「良い理解ね。ーーそう、あの子とセットでなければ私には敵わない……。そうかしら? 本気を出してみない? 蝶々。」


「月読の方がまだ良いですよ。その名前で私を呼称するのはやめていただきたい……。」


「ーーやめとけ? 悪い癖だ。引っ掻き回すのが。」


「楽しいのよねぇ〜、引っ掻き回すのが。」


「人を引っ掻き回すのが楽しいなんて、本当に魔女……。」


「そうーーだね……。」


「褒め言葉として受け取っておくわ? 二回目からはそう取らないから気をつけてね? 」


「(魔女ーー……。)」


「(魔女だ……。)」


『まさに魔女だ』と身内全員に思われながら、魔女は小さな咳払いの後に、にっこりと微笑んだ。ーーが、取り繕うのには既に遅く、天成と天成の親友は内心震え上がり、顔が青褪めていた。


「ーー……。青褪めていても良いの。構わないわ。だけど、話は聞いて頂戴。私のお話。」


二人は顔を見合わせた。見合わせたお互いの顔は確かに青褪めていて、二人は身を寄せ合った。


「! ーー仲良しなんだな……。それでは、間にーー蝶々様を挟めないのでは? 」


「お二人の間には挟まりませんよ。互いを思い合うーー確かなご友情です。」


「愛情には変わる? 」


「一生親友。安心して。」


「ありがとう! 」


「ボーイズ・ラブだか、何だかには? ならねぇんだな? 」


「ならねぇんです。」


「なりませんよ。貴方方が妙な事をしなければ。」


「『妙な事を』ーー? それは楽しそうねぇ! 」


「魔女様、お戯れはーー……。」


「ーーよして欲しいかしら? だけど、楽しそうよねぇ? 」


「……。話が逸れてんだな? 」


「そうだった、そうだったわ。」


「ーー先生、焦ってる? 」


「焦りますよ。あの魔女の前では……。」


「誰もが、な……。」


気の引けている様子の教師の言葉の後に、今まで黙っていた背の高い男が付け足すように呟いた。


「ーーその人は味方? 強いみたいだけど……。」


「天成くんの言う通り、強い。味方ですよ。」


「味方か? 魔女の味方じゃないのか? 」


「敵対しなければ……。」


「ーーーーどちら様? ですか? 」


「ーーあぁ、名乗ってなかったな? 俺は斉天大聖だ。」


「斉天!? 」


「大聖!? 」


「ーー孫悟空じゃん。」


「孫悟空なの? 」


天成の親友が自分の父親に聞くと父親含めて天成以外の全員が頷いた。


「斉天大聖を知ってるな? なら魔女の正体はーー分かるか? 」


「え、いや、まさかーー……。」


「そのまさかじゃないの? 」


「牛魔王のお嫁さんのーー! 」


「違う。」


「それは私ですね。」


「ねぇ、先生の正体が怖い……。」


「そう? 牛魔王のお嫁さん、可愛い人だと思うよ? 旦那さんの色々に嫉妬して怒ってくれてーー」


「ーー後でーー帰ってからしよう、その話。今はこっちで手一杯。」


「オーケー。」


「え、じゃあ誰? 」


「私は昔ーー大昔には、その斉天大聖のーー師匠だった。分かるかしら? 」


「は!? え!? 何で!? 」


「師匠って天竺への道を先導したあのーーあの人ですよね!? 」


「三蔵法師! 」


「ええ、そうーーその三蔵法師……。けれど今は魔女。分かるかしら? ーー分からないわね。私でも、何故魔女になったのか……。」


「海外で魔女にされたんですよ。ちなみに私、月読は牛魔王の嫁とされ処刑されました。海外でなく此方に近い方で。」


「日本には近かったわねぇ? あら? でも海外じゃなかったかしら。」


「海外でしたか? 」


「ーー法術とかって……。」


「あぁ、そっか、分かった。分かっちゃった……。ファンタジーだと魔女じゃん……。うわぁ、盲点……。」


「私の存在はもっとファンタジーですよ。謎という意味で。」


「え? 」


「先生が? どんな謎? 」


「実は牛魔王もその嫁も一人の人物でした。後に天照が牛魔王の様に振る舞いましたがーー振る舞い、そこに居る自身の息子、斉天大聖に退けられましたが。」


「倒したーーはずよね? 」


「倒されたのは私です。 」


「成る程。」


「えっ!? 互いに庇い合った!? 」


「庇い合ってあのストーリー? 」


西遊記は現在でも有名な物語だ。


「懐かしいわねぇ、牛乳うしちちちゃん? 」


「先生は牛乳ぎゅうにゅうじゃないです。」


「まな板さんはご機嫌麗しいご様子ですね。」


「あらどうも。私も若い時は」


「あちらの話は長くなります、ここから出ますよ天成」


「僕らも出よう。聞いていられないし。」


「え? あ、はい……。」


「そうーー今ここで西遊記の続きをしても良いのだけれど? 」


「嫌ですよ二度も倒されるのは。」


「ーーうしちち……。」


「うん、帰ってから先生たちには沢山質問しよう? 今は考えちゃ駄目だよ……。」


「あぁ、そいつが『ウシチチ』胸に取り付けていた頃の話は俺がしてやる。あっちに行ったらーーお前らの世界に帰ったらな。」


「よろしくお願いします……。気になる……。」


「先生、女だったの? 」


「天成君、それはあちらで。帰ったらにしましょう。」


「はい……。」


「逃さないーー! 」


「魔女らしさが前面ですよ? ーーさて天成君、取り急ぎ発動していただきたい能力があります。」


「能力?? 」


「はい。天照の能力です。」


「天照さんの能力ってーーあの炎? 」


「そうです。私がその炎のエネルギーを変換して転送ーーお二人を元の世界へ戻します。」


「他の人たちは? 」


「ご自身たちで何とかしていただきましょう。」


「先生は? 」


「私も私自身で。ーー急いでください。厄介なのが来そうですーー! 」


「うわぁ……。確かにあれ、厄介そう……。」

2025.12.13

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。