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「熱くないの? その炎ーー」
「熱いけどーー触れるっていうか、燃えない、みたいーー! 」
「ーー対象物以外燃やさない……。紛れも無いな、本物のーー」
「本物の、何? ーーこれ、一体何なのーー!? 」
「慌てなくていい……。天照ーーお前の父親の能力だ。ーーこの世界では存在しないか? 」
「するけど、超能力とかはーー、僕はこんなのーー初めてでっ! 」
「慌てなくて良いと言っただろう? 気を落ち着けろ。冷静になるんだ……。」
「落ち着けってーーあんたのせいだろっ! 」
天成は落ち着きを取り戻していたが、それでもなお体を包む炎は燃えその身に纏うようだった。
「どうしましーーどうかしたんですか? その子たちに何かしました? 天成ーー! 天成くん! その炎ーーどうして!? 炎はあの人に封じていただいていたはず! 」
自動ドアが開き、入って来た教師が冷静さを失った。
「封じーー!? 」
「られていたーー? 」
「封じていたか……。天照がやったんだろ? 無理も無いな、その炎は」
「貴方はーー、! 何故居るのです!? 此処にはーー貴方は居ないはず! 彼方の世界にーー渡っているはずではーー!? 」
「ああ。渡ってーー、来た。」
「ーー『来た』ですか……。なら、お帰りください。ーーもう、私達を巻き込まないでください。」
「巻き込んでいるのは、天照もだろ……。俺だけのせいにするのか? 」
「そうですね、ですが、今は貴方が巻き込んでいるのでしょう? この状況ーー見るからに明らかですよ? 」
「それはーーーーそうだな。確かに、この状況は俺が作り出した……。だが、あいつが望んだことだーー望んだことのはずなんだーー! 」
「望んだ? ーー彼が望んだこと、ですか……。ならば代わりに言います。事をーーこの場を荒らさないでください。あの人は静閑な場を好んでいましたよ。」
「ーーそれも確かだーー、お前はーー? 」
「おや? 判りませんか? 聡明な貴方でも判らないことがあるんですね。」
「似た奴が増えたからなーー、彼奴も言っていただろう? 」
「どの彼奴ですか? 」
「天照のことだ。態とか? 」
「態と? 態々聞きません。」
「そうかーー、蝶々だな? 」
「……。ご明察ですよ。ですが、その呼び方はやめていただけますか? 」
「ああ、そうだったな……。」
「ーー消えた! 」
「消せたっ!? 」
教師たちの会話中も二人は炎を消すことに夢中になっていた。
「消せましたか。ふぅ、ーーもう良いようですよ。」
「みたいだな。」
「あの〜、ーー先生方は、もしかしてわざわざ会話ーー長話していました? 」
「えぇ、その通りです。」
「天照がそうだったからな。」
「……。お二人の会話で? 炎を消していたーーですか? 」
「彼奴は自分の炎くらいコントロール出来る。自分じゃないやつのもだ。」
「そうです。ーーただ、私たちがこうーー言葉を借りますが長話をしていると、よく鎮火していましたからね。」
「成る程。」
「ーー炎は初めてだと言っていたな? 」
「ーーーーはい……。」
「本当に初めてか? 」
「初めてーーです……。」
「ーーその言い方だと判らないな。性格か? 」
「正直に言っていますよ。嘘など無いーーこの子の美点です。」
「先生、『美徳』。」
「いえ、美点で良いのです……。私は長所の話をしたので」
「あ」
「ーー頭良いと、一周回るよね? 」
「それね。俺のいつものこと。だから気にしないでお願い、穴に入りたい……。」
天成の親友でありこのクラスメイトである同級生は、 よく『頭が良くて一周回っている奴』と揶揄されている。
「頭が良いんだから良いじゃん……。」
「それね、お前に言われてもね、」
「僕に言われても何? 」
「割と皮肉……。」
「ーーごめん……。」
「やっぱり天照か。天照だな。ついでにそっちはノアか? 」
「なぜ父の名前をーー? 」
「そちらはノアさんの息子さんですよ。そしてそちらは天照の息子ーー私の息子でもあります。」
「らしいなーー……。お前ら本当に子供つくったんだな。」
「えぇ。ーー何か? 」
「いや、問題がある訳じゃ無い。ただ、感心した。」
「そうですか……。」
「私の息子って? 先生、天成は先生の子だったの!? なら何で今までーー!? 」
「天成くん、斯々然々ですよ。」
「か、かくかくしかじか? 」
「ーーおい、こいつ本当に天照とお前の息子か? 」
「さっきのご自身の言葉、覚えていますか? 」
「…………。失言した。」
「その様ですね。ところでーー」
「? 」
「? 」
「? ーー何だ? 」
「お二人とも、アイスは溶けていませんか? 」
「「あっ!! 」」
炎に加えて長話で、カップに入れられていたアイスはすっかり溶けていた……。
2025.11.6




