❈3❈
「弁償してあげてくださいよ。」
「ーー二人分か? 」
「一人でいいですーー僕は頼む前だったので……。でも、」
「このお店で注文するのは、やめておいた方が良いかも……。」
「他の店舗にーー皆さん、お腹の空き具合はどうです? 私はお腹が空きましたがーー空いているようですね、ではデザートにアイスのある飲食店に行きましょう。」
「この時間からだとーー」
「居酒屋はやめろよ? 」
「出たな、他校教師……。」
「父さんって何で呼んでくれないの? 」
「……。」
「(ノアさん、また無視されてる……。)」
「ーー父さんのこと無視してるんじゃなくて、存在として見えてないし、聞こえないだけ。」
「それを無視って言うんじゃないかな……。」
「あ、そっか。無視だった! 」
「それも一周回って、ですか? 」
「他校に行ったからで〜とか、反抗期だからで〜とか、そんな理由じゃないから。」
「たぶんその二つが理由です……。親友としての理解で」
「やっぱりか! やっぱりそうだったか〜……。」
「……。ピアニーさん、息子さんの方がノアで良いようです。合っていましたよ、貴方の方が。」
「だろ? 」
「何で気づくのーー? 」
「勘だな。」
「勘とーーまぁ、長い付き合いですからね、私達も……。」
「で、貴方は何方様なんですか? 」
「いやっ、俺は、えっとーー……。」
「誰か判った。」
「判りましたか? 後で教えてください。ーー天成くん、」
「ーーはい? 」
「その言い方、私か天照にーーいえ、私たち二人に似ていますね。似ていますよ……。では、貴方の父について、これから私が話す話を聞いていただけますか? 」
「! ーーはい……。えぇっと、ーー他のお客さんとかが、居ない場所でなら……。」
「居酒屋が良いか。」
「そうかも。」
「居酒屋ならーーそれでしかも身内はどうだ? 」
「あぁ、ありましたね。彼処なら権力もあるーーいざとなれば」
「に、握り潰すのかな〜? 」
「えぇ。握り潰していただきましょう。」
「ここ、来たことある……。」
「あるわね〜? 晩御飯はいつもここ。貴方のお家みたいな場所。これはーー今日の晩御飯! 」
「いっただっきま〜す! 」
『召し上がれ〜』
「手を洗ったかしら? 歯を磨くのは食べてからで良いわ。だけど、待って! 手を合わせていない人がいたわ? 」
「怖いなーー、いや、厳しいな……。頂きます。」
「怖くても、厳しくても良いの。私は教えなければならない立場なの。分かってくれるかしら? 」
「ーーヒュウ、」
「姐さん今日も」
「なぁに? ーー何かしら? 」
「いえ、別に……。」
「お美しいですってー! 」
「あら? それは、ありがとう。」
「ねぇ、今日のご飯が入らない……。」
「お腹アイスで一杯? 」
「あんまり食べられなかったからかもしれない……。」
「アイス食べたい時に他のものは入らないね……。」
「あら? 夜御飯、アイス? アイスは何があったかしらーー姉さん、姉さ〜ん、」
「アイスあるかしら? あたしも姉さんよ? 貴方達が呼んでいる姐さんの姉。」
「だからそんな不思議そうな目は向けないで頂戴ね? 」
「アイスありましたか? 」
「あったあった! 色々……。こっちに来れる〜? 」
「動けないから見て来て? 」
「OK。」
「何か言って〜食べたいの、多分何でもあるよ」
「え〜? じゃあチョコとバニラとイチゴと抹茶」
「見事にーー全部ある。」
「すごい。」
「あの子が帰って来た時に? 」
「そうそう。帰って来ないかしら? あの子たち……。」
「貴方には言っておきますが、私が天成の父であること、あの方々には伝えない方が良いですよ。」
「先生ーー? 何かあるんだ……。」
「僕言ってきましたけど? 」
「それはいつーー? 」
「今アイス見に行ってついでに」
「か、帰ります……。」
「待った!! 」
「ーーーー何も聞かない。」
「良いの? あの子の居場所も? 」
「それは平気、大丈夫。聞いているから。あの子からではないけれど、あの子の親しかったお友達から。」
「そう? ーーなら私も聞かないわ。だから居て頂戴? 」
「ーーーーーーはい。私もアイスを頂いても? 良いですかーー? 」
「何味? 」
「取り敢えずーーあるのを全部で……。」
「アイス全味ね? 分かったわ。天成、手伝って頂戴。」
「は〜い。」
「天成ちゃん、私がやるから良いわよ? 」
「お姉さんは他の注文もーー増えてますから、お願いします……。」
「あらっ! 本当! ーーよろしく。お願いするわ。」
「はい。」
「あ〜、俺も全味っ! 」
「OK。」
「決まってるのね〜、返事の仕方が。それぞれ。あの子と一緒。」
「姐さん、酔ってます? 」
「さっき飲んでたわ。」
「姐さぁ〜ん! 」
「飲んで接客する姐さんがいる飲み屋……。」
「スレスレだな。」
2025.11.13




