第8話 「昭和のベルと、向こう側からの『予告』」
63:名無しさん@ゲーマー:202X/08/04(火) 02:19:15.22 ID:8bitLove
おいおいあの解析班のアセンブラが語彙失って困惑してんぞwwww
現実のラジオアプリ使ってゲームのノイズ打ち消すとか、発想が狂気すぎるwww
64:名無しさん@ゲーマー:202X/08/04(火) 02:19:35.00 ID:RikuMKB
主がボスの核を刺して、巨大な頭がドットになって弾け飛びました!!
核の破壊成功です!!
……でも、ボスの跡地に真っ赤なドット絵の黒電話が出てきて、いまジリリリリって鳴り出しました……!
ここ電線も電話線も繋がってないらしいです……どうして……!?
65:名無しさん@ゲーマー:202X/08/04(火) 02:19:55.12 ID:x8J9aK10
核の撃破おめでとおおお……って、黒電話が鳴ってるってどういうことだよ!?
そこ明治時代の地下蔵だろ!? 電線も繋がってるわけねえじゃねえか!!
66:名無しさん@ゲーマー:202X/08/04(火) 02:20:15.88 ID:8bitLove
ドット絵の黒電話……!?
昭和のレトロゲーで『電話』って言ったら、セーブポイントか……それとも怪異からの不吉な『予告』か!?
67:【解析班】名無しのアセンブラ@ゲーマー:202X/08/04(火) 02:20:45.00 ID:Assembler
落ち着け。第二階層の核の消滅を確認した。
その黒電話は【階層クリア報酬のリザルト端末】兼【第三階層へのアクセスポイント】だ。
スレ主、受話器を取れ。……ただし、絶対に声を先に発するな。相手の言葉を『聴く』だけでいい。
――
ジリリリリリリリリリリッ……!!!!!
明治の地下蔵に、刺すような金属音が鳴り響き続けている。
ボスの巨大な生首が弾け飛んだ石畳の真芯。
そこにポツンと佇む『血のように赤い黒電話』は、現実の物質ではなく、粗いドットのノイズを全身からチカチカと不気味に発していた。
「ひっ……! 陸、電話……? なんでこんなところに……っ!?」
葵が俺の右腕にしっかりとしがみつき、怯えた瞳で赤い受話器を見つめている。
スマホのLEDライトに照らされたその表情は蒼白だが、繋いだ手からは彼女の確かな温もりが伝わっていた。
「大丈夫だ、葵。……ボスを倒した後の『宝箱』みたいなもんだ」
俺は息を整え、ゆっくりと黒電話の前へ膝をついた。
ジリリリリリリリリリリッ……!
震える受話器。
俺はアセンブラの指示通り、口を固く結んだまま、静かに右手で黒色の受話器を持ち上げ、耳へと当てた。
ザザ……ジジジ……ザザッ……
受話器のスピーカーから聞こえてきたのは、耳障りなAMラジオの砂嵐ノイズ。
そして——
『……オ……メ……デ……ト……ウ……』
ノイズの奥から響いたのは、合成音声のような、あるいは年老いた老婆のような、冷たく掠れた女の声だった。
『……旧……家……の……呪……い……を……破……り……し……者……よ……』
『……報……酬……を……授……け……よ……う……』
ピッ!!
頭の中で、澄んだ8bitのレベルアップ効果音が鳴り渡る。
【第二階層『旧家破りの蔵』完全攻略完了!】
【クリア報酬:『ドット還元・部位完全開放』『階層スキル:ノイズ・干渉』を獲得!】
【特別ドロップ:『赤電話のダイヤル鍵』を獲得!】
ドクンッ!! と、身体の奥底から熱いエネルギーが奔流となって全身を駆け巡った。
「くっ……! 身体が……!?」
「陸!? どうしたの!?」
俺の全身の皮膚から、チカチカと紫色のドットノイズが弾けて蒸発していく。
全身の倦怠感が一瞬で吹き飛び、ステータス画面のHP欄が緑色の満タン表示へと一気に回復した。
(身体が軽い……! ダンジョン攻略による完全還元報酬か!!)
だが、受話器からの声はそれだけでは終わらなかった。
『……フ……フ……フ……』
不気味な失笑。
『……だ……が……喜……ぶ……の……は……ま……だ……早……い……』
『……次……な……る……階……層……は……お……前……た……ち……の……『日常』……の……中……に……開……く……』
『……『第……三……階……層』……は……『真……夜……中……の……通……学……路』……』
『……明……日……の……夜……十……二……時……開……門……』
ザザッ……プツンッ……!!
冷酷な予告を残し、ノイズと共に回線が切れた。
直後、目の前にあった赤い黒電話が、サーッと黒いドットの塵となって空気中に溶けるように消滅していった。
「……消えた……?」
葵が目を丸くして呟く。
「ああ。……だが、しっかり置いて行きやがったな」
消滅した黒電話の跡地。
石畳の上に、血のように赤い『ダイヤル式の小さな鍵』がコロンと転がっていた。
【貴重品:『赤電話のダイヤル鍵』を入手しました】
【効果:特定の『ノイズ空間』を解放・施錠するキーアイテム】
「陸、受話器で何て言われたの……?」
葵が心配そうに俺の顔を覗き込んでくる。
「……明日、第三階層が開くってさ。場所は『真夜中の通学路』だそうだ」
「通学路……!? 私たちが毎日通ってる、あの道が……!?」
葵の顔が強張る。
「大丈夫だ。……俺たちが強くなれば、どんな階層が来ようとハックして生きて帰れる」
俺は拾い上げた『赤電話のダイヤル鍵』をポケットに放り込むと、葵の頭をポンと優しく叩いた。
そして、胸元で伏せられていた葵のスマホを持ち上げ、爆速でスレへと状況を打ち込んだ。
68:名無しさん@ゲーマー:202X/08/04(火) 02:23:10.00 ID:RikuMKB
スレ主です。電話切れました!
アセンブラの言う通りリザルト端末でした!
『階層スキル:ノイズ・干渉』と『赤電話のダイヤル鍵』をGETして、HPも完全全回復です!
ただ、電話の主から『明日の夜12時に第3階層:真夜中の通学路が開く』って予告されました……!
69:名無しさん@ゲーマー:202X/08/04(火) 02:23:40.12 ID:x8J9aK10
うおおおおお完勝きたあああああ!!!
階層スキルGET&完全回復おめでとおおおお!!
70:名無しさん@ゲーマー:202X/08/04(火) 02:24:05.55 ID:8bitLove
通学路がダンジョン化とか、侵食スピード早すぎだろ!!
日常空間が侵食され始めてんじゃねえか!!
71:【解析班】名無しのアセンブラ@ゲーマー:202X/08/04(火) 02:24:35.00 ID:Assembler
見事な攻略だったスレ主。……『ノイズ・干渉』のスキル獲得は大きい。
これでナイフなしでも、一定範囲の電子ノイズを任意でジャミングできるはずだ。
脱出制限時間にはまだ余裕がある。まずは蔵から脱出し、葵さんを家に送り届けて休め。
明日からの『第三階層』は、これまでとは比べ物にならない『広域侵食』になる。
72:名無しさん@ゲーマー:202X/08/04(火) 02:25:20.00 ID:RikuMKB
>>71 了解です!ありがとうございます!
蔵を出て、これから主の部屋まで戻って生還確定させます!
友達も一緒です。部屋に着いたらまた書き込みます!
73:名無しさん@ゲーマー:202X/08/04(火) 02:26:20.30 ID:x8J9aK10
うおおい!? こんな深夜2時半に女の子をそのまま自室に連れ込むのかよスレ主wwww
まあ今の外の状況考えたら一緒の部屋にいるのが一番安全だけどよ!!
74:名無しさん@ゲーマー:202X/08/04(火) 02:26:40.55 ID:8bitLove
気をつけて部屋まで戻れよ!! 自室の扉閉めるまでがレイドだからな!!
――
「よし……アセンブラたちの言う通り、俺の部屋に帰還するぞ」
俺はスマホを葵に返すと、彼女の手を固く握り直した。
「うんっ! 陸の部屋まで一緒に行く!」
葵は少し頬を赤らめつつも、力を込めて俺の手を握り返してくる。
俺たちは暗闇の石階段を駆け上がり、不気味な冷気が満ちていた地下深層を後にした。
土蔵の重い鉄扉を押し開けると、湿った夜風と共に、竹林を照らす青白い月光が俺たちの足元を静かに照らし出す。
「ここで油断したらゲームオーバーだ。急ぐぞ」
「うん!」
竹林の小径を抜け、母屋の裏口から静かに家の中へと滑り込む。
息を殺して階段を駆け上がり——二階にある俺の自室の扉を叩き開け、葵と一緒に中へと飛び込んだ!
バタンッ!! とドアを閉める。
見慣れた俺の部屋。
デスクの上で、1987年製のレトロゲーム互換機が静かに青いパイロットランプを点灯させていた。
俺たちの足が自室の畳を踏みしめ、拠点の空気に包まれたその瞬間——
視界の端で、透き通った8bitのファンファーレが鳴り響いた!
ピッ……ピッ……ピロリーンッ!!
【拠点への帰還を確認】
【ミッション『旧家破りの蔵』完全生還成功!】
【獲得経験値・全パラメータ・所有アイテムを固定しました】
「はぁ……はぁ……っ! 帰って……これた……!」
葵が安堵の息を吐き、俺の腕に寄りかかるように力を抜いた。
深夜二時半。
自室の静寂の中で、俺たちは固く手を繋いだまま、無傷で『完全なる現実』へと戻ってきたのだった。
——第2章【旧家破りの蔵】完全攻略・生還完了。
——第3章【真夜中の通学路】編へ続く。
【ステータス】(第二階層クリア・現実帰還時)
・プレイヤー:真壁 陸
・HP:[全部位:100(完全健全)]
・所持スキル:[ノイズ・干渉 Lv.1]
・装備:[呪導のラジオナイフ(耐久:8/15)] [安らぎの護符羽織(葵装着/ノイズ耐性+10)]
・所持貴重品:[赤電話のダイヤル鍵]
・次のミッション:【明日24:00『第三階層:真夜中の通学路』の侵食を阻止せよ】




