第11話 「24時00分、開門」
97:名無しさん@ゲーマー:202X/08/04(火) 24:01:30.45 ID:x8J9aK10
おいアセンブラ……! 『深層データ』が読み込まれ始めてるってどういうことだ!?
先行侵食の怪異は倒したはずだろ!? 主は無事に部屋へ戻れてんのか!?
98:名無しさん@ゲーマー:202X/08/04(火) 24:02:10.12 ID:AoiAOI99
葵です! 主が無事に自室に戻ってきました!!
二人で部屋の鍵を締めて互換機の前にいます!
でも……24時を跨いだ瞬間にモニターの画面が真っ黒に変色して、BGMも不気味なノイズ混じりの重低音に変わっちゃいました……!
ドット絵のマップが『通学路』から『地下通路』みたいな不気味な階層へ書き換わり始めてます……!
99:名無しさん@ゲーマー:202X/08/04(火) 24:02:55.00 ID:8bitLove
24時を跨いだ瞬間にBGMが変わったとか……。
さっきまでのピコピコ音と違って、重低音のノイズが響いてるとか不穏すぎるだろ!!
100:【解析班】名無しのアセンブラ@ゲーマー:202X/08/04(火) 24:03:40.00 ID:Assembler
スレ主、葵さん、生還お見事だ。
だが、ここからが本番の第3階層攻略だ。さっき倒した信号機のボスは、言わば『門番』に過ぎない。
24:00の正規開門によって、カセットの内部から『真のプログラム』が解禁されたぞ!
――
深夜二十四時五分。陸の自室。
「ふぅ……間一髪だったな」
俺は首にかけたタオルで汗を拭いながら、デスク前のパイプ椅子へ深く腰掛けた。
手元には、先ほどのボス撃破時に獲得した金属製のキーアイテム——『歩道橋の歩行許可証』が鈍い光を放っている。
「陸、お茶淹れたよ。ほんと……無事でよかった……っ」
「ありがとな、葵。ナビ完璧だったぞ」
葵から手渡された温かい緑茶を一口飲み、喉を潤す。
だが、安らぎの時間は一瞬で打ち破られた。
ザザザ……ジジジジジッ……!!
デスクの上に置かれたFC互換機。
そのスロットに挿さった『赤電話のダイヤル鍵』が、カチカチと誰も触れていないのに自律回転を始めた。
繋がれているブラウン管モニターの画面が、赤銅色から一転して『漆黒』に塗り潰され波状の縞模様が覆い被さっていく。
『タイトル:かえりみち ——第三階層:【裏・通学路】データロード完了——』
ピ……ピ……ピピピ……
スピーカーから流れ出すのは、心臓の鼓動を狂わせるような重低音の不協和音。
黒で塗り潰されたモニターの上に、白いドット絵で『新たな進行ルート』が描写されていく。
「市役所から駅前への大通り……その『地下』か!?」
葵がモニターを覗き込み、息をのむ。
「うん……大通りの下を通ってる、旧地下雨水幹線……! 私たち、昔小学生の時に『探検』しようとして先生に怒られた場所……!」
「あそこがダンジョンの『深層』に設定されてやがるのか……」
モニターのドット絵マップの上で、白い点滅を繰り返すアイコン。
地下排水路の最奥——閉ざされた鉄扉の奥に、怪しく蠢くドット絵の巨大な存在が静かに鎮座していた。
【ミッション更新:『第3階層:裏・通学路』の深層へ潜入し、核心の怪異を撃破せよ】
【推奨プレイヤーレベル:Lv.5以上】
【特殊環境:『完全暗闇(ライト系スキル・アイテム必須)』】
「完全暗闇……ライトが必要ってわけか」
俺はポケットからスマホを取り出し、自室の棚に置いてある懐中電灯と、ラジオナイフの刃先を交互に見比べた。
「葵、自室のファミコン画面の状態はどうだ?」
「待って、いま確認する……! あっ、画面の隅に『コマンド入力欄』が追加されてる!」
葵がブラウン管のフレームを指差す。
黒い画面の左下に、まるでPCのプロンプト画面のような小さな点滅カーソルが浮かんでいた。
「これ……さっき手に入れた『歩道橋の歩行許可証』のシリアルコードを入力したら、何か起きるかも……!」
101:名無しさん@ゲーマー:202X/08/04(火) 24:06:15.00 ID:x8J9aK10
え?もしかして俺、主たちの近所かも?まじかあぁ……
「旧地下雨水幹線」ってたぶんあの放置されてる地下通路だろ!?
あそこ街灯も一切なくてマジで真っ暗闇の心霊スポットじゃねえか!!
102:名無しさん@ゲーマー:202X/08/04(火) 24:07:00.12 ID:8bitLove
完全暗闇環境とかエグすぎるだろ!
視界奪われた状態で怪異に襲われたら一発で終わりだぞ……!!
103:【解析班】名無しのアセンブラ@ゲーマー:202X/08/04(火) 24:07:45.00 ID:Assembler
葵さん、そのコマンド入力欄に『歩行許可証』の裏面に刻まれているナンバーを入力しろ!
それは単なる鍵ではない。互換機の新たな『デバッグモード』を起動するプロテクト解除コードだ!
――
「アセンブラの指示通りだ、葵! コードを読み上げてくれ!」
「読み上げるより、私が打ったほうが早い……! 陸は装備の確認に専念して!!」
葵は『PASS-1987-0804』の文字列を目にした瞬間、迷いなくFCコントローラーの十字キーとA・Bボタンへ指を滑らせた。
カタカタカタカタッ……!
市役所の窓口業務とデータ入力で毎日鍛え上げられている、公務員ならではの正確無比な爆速タイピング。
手元を一瞬も見ることなく、一打の入力ミスすらなく打ち込まれる暗号コード。
カチ、カチ、カチ……ピッ!
『コマンド認識:【デバッグ・照明ON】有効』
ピカァァァァンッ!!
ブラウン管モニターが激しい黄金色の光を放ち、黒かった地下マップ全体がワイヤーフレームの透視表示へと変化した!
「えっ……地下通路の壁の裏まで、全部スケルトンで透けて見えるようになった……!?」
葵が目を輝かせる。
『陸! 画面越しに地下通路の障害物と、敵の配置が全部丸見えになったよ! 暗闇の中に潜んでる敵の『隠密判定』を、自室の画面側で全部無効化できる!!』
「ハッ……『ダンジョンの暗闇仕様』を、自室の互換機で丸ごとデバッグ(照明ON)したってわけか」
暗闇に乗じて不意打ちを狙おうと、息をひそめて潜んでいる怪異ども。
だが、俺のスマホには、奴らの生息位置や視線すらも黄色いワイヤーフレームでリアルタイムに完全可視化されている。
俺はラジオナイフを指先で一回転させ、凶悪な笑みを口元に浮かべた。
「暗闇でコソコソ隠れてるバケモノどもを、上空の『神視点』で一方的に狩り尽くす……」
「ハハッ! どっちが怪異だか分っかんねえなッ!!」
俺は部屋の扉を開け、再び夜の暗闇へと足を踏み出そうとした。
「葵、自室のオペレートは任せた。地下のボスまで一気に最短ルートで駆け抜けるぞ!」
「了解! 陸のスマホにリアルタイムで透過マップを転送し続ける! 絶対に無事で帰ってきてね!!」
104:名無しさん@ゲーマー:202X/08/04(火) 24:08:20.00 ID:AoiAOI99
アセンブラさんありがとう!! パスワード入力したらブラウン管が光りました!!
【画像:画面の真っ黒な地下マップが金色のワイヤーフレームに変わった瞬間】
画面上の地下通路が全部透けて、暗闇に潜んでる敵の場所が丸見えになりました!!
現場の主のスマホにリアルタイムで透過マップ転送します!!
105:名無しさん@ゲーマー:202X/08/04(火) 24:08:50.00 ID:x8J9aK10
マ マ マ マ ジ で ス ケ ル ト ン 描 画 に な っ て て 草 ァ !!
なんだよこの金色のワイヤーフレーム!? 暗闇のダンジョンが全自動で丸裸にされてんじゃねえか!!
106:名無しさん@ゲーマー:202X/08/04(火) 24:09:15.22 ID:8bitLove
1987年のファミコンでワイヤーフレームの3D透過とかマジコンがすぎて草!!
暗闇で不意打ち狙ってる地下の怪異たち、自分たちが丸見えになってることも知らずに待ち伏せしてんの可哀想すぎて草!
107:名無しさん@ゲーマー:202X/08/04(火) 24:09:40.00 ID:AoiAOI99
主がナイフ持って地下雨水幹線の入口に突入しました!
画面上の敵アイコンの『視線』を避けて、背後から接近する最短ルートをナビルートで引いて送ってます!!
108:【解析班】名無しのアセンブラ@ゲーマー:202X/08/04(火) 24:10:10.00 ID:Assembler
気をつけろスレ主。地下深層のボス反応……そいつの名前は『真夜中の下校放送』。
音でバグらせてくる系の強力な怪異だ。耳を塞ぐ準備をして突入しろ!!
――深層地下アタック、開始!
――続く。
【ステータス】(第3章・深層地下突入時)
・プレイヤー:真壁 陸
・HP:[全部位:100(健全)]
・所持スキル:[ノイズ・干渉 Lv.1(CT残り:0秒/使用可能)]
・装備:[呪導のラジオナイフ(耐久:6/15)] [安らぎの護符羽織(葵装着/ノイズ耐性+10)]
・特殊状態:【デバッグ・照明ハック(自室画面で暗闇透過&ステルス敵を常時可視化)】
・現在のミッション:【旧地下雨水幹線へ突入し、深層ボス『真夜中の下校放送』を撃破せよ】




