第12話 「生温いホールから」
109:名無しさん@ゲーマー:202X/08/04(火) 24:10:45.12 ID:x8J9aK10
『真夜中の下校放送』……!? 音で脳をバグらせてくる怪異とか聞いてねえぞ!!
おいスレ主、耳塞ぐって言っても手で塞いだら両手塞がって戦えねえだろ!!
110:名無しさん@ゲーマー:202X/08/04(火) 24:11:20.00 ID:8bitLove
暗闇はスケルトンハックで完封したけど、音波攻撃はどうすんだよ!?
音波で脳バグらされたら一発でノックアウトだぞ!!
111:名無しさん@ゲーマー:202X/08/04(火) 24:12:05.00 ID:AoiAOI99
葵です! 陸が出発する直前に自室の押し入れから『防音のイヤーマフ』と古い『ステレオヘッドホン』を発見しました!
私の持ってる『安らぎの護符羽織』のノイズ耐性生地を切り取ってヘッドホンのイヤーパッドに巻きつけて、陸のスマホのイヤホンジャックと直結させました!!
音波攻撃を逆位相のノイズで打ち消す【物理ノイキャン】の完成です!!
112:【解析班】名無しのアセンブラ@ゲーマー:202X/08/04(火) 24:12:40.00 ID:Assembler
ま じ か よ 葵 さ ん !?
自室の防音具と護符アイテムを合成して『物理ノイズキャンセリング』を作成しただと!?
完璧だ! これで『真夜中の下校放送』の音波デバフは完全に無効化される!!
――
深夜24時15分。旧地下雨水幹線。
ザザ……ザー……ッ……。
湿ったコンクリートの匂いと、生ぬるいカビの蒸気が立ち込める漆黒の地下通路。
本来なら一寸先も見えない極限の暗闇の中——俺の視界は、眩いばかりの『黄金色』に包まれていた。
首にかけたスマホの画面、そして視界の端にチラつく自室からの転送映像。
葵によって、地下通路の壁も、角の曲がり角も、すべてが金色のワイヤーフレームとして立体描画されている。
「ハッ……丸見えだぜ」
曲がり角の影。
暗闇に紛れて背後から襲いかかろうと、爪を立てて息を潜めている二頭身の怪異——『影潜みの校内暴力少年』が二体。
奴らの頭上には、自室の画面から転送されてくる黄色い『索敵視線アイコン』がくっきりと浮かび上がっていた。
「視線は右……背後はガラ空きだな」
壁のワイヤーフレームをすり抜け、俺は音もなく奴らの死角へ滑り込む。
暗闇の中で必死に爪を立て、「いつ獲物が通るか」とワクワクしながら待ち伏せしている可哀想なバケモノども。
——自分たちの真後ろに、俺が立っていることすら気づかずに。
「お前らの『隠れんぼ』、自室のファミコン画面で全バレ済みなんだわ」
「スキル——『ノイズ・干渉』」
ドォォォンッ!!
「ギャ!?!?」
不意打ちを狙っていたはずの怪異が、逆に背後からの赤銅色の衝撃波を喰らって目玉を飛び出させた!
闇の中でコソコソ隠れていたバケモノどもが、理由も分からず一瞬でドットの塵となって爆散する。
シュガァァァンッ!!
【不意打ちの一撃! 40ダメージ!】
【『影潜みの校内暴力少年』×2 を撃破】
「陸、すごい! 自室の画面で敵アイコンが2体即死したよ!!」
耳元を覆うヘッドホンから、葵のハキハキとした澄んだ声が直接脳内に届く。
「葵の透過ナビが完璧すぎるからな。このまま最短ルートでボスの部屋まで駆け抜けるぞ!」
「うん! そのまま直進して、突き当たりの鉄扉を抜けると巨大な水溜まりの広場……ボスの部屋だよ!」
コンクリートの床を踏み鳴らし、俺は迷いなく地下通路を疾走した。
113:名無しさん@ゲーマー:202X/08/04(火) 24:15:00.00 ID:AoiAOI99
画面上の敵の視界アイコンを避けて、主が背後から不意打ち!!
【画像:ワイヤーフレーム画面上で敵アイコン2体が背後からの攻撃で消滅する瞬間】
隠れてた雑魚敵2体、ワンパン撃破しました! ボスの部屋へ向かいます!!
114:名無しさん@ゲーマー:202X/08/04(火) 24:15:30.00 ID:x8J9aK10
うおおおお不意打ち狙ってた雑魚怪異が逆に背後からワンパン撃破されたwwww
敵の視界アイコン見ながら背後取るとかどこのステルスゲーマーだよ!!
115:名無しさん@ゲーマー:202X/08/04(火) 24:16:10.00 ID:8bitLove
自室のファミコン画面が完璧なレーダーになってるから迷いが一切ねえ!
暗闇の心霊スポットを観光名所みたいに爆走してて草!!
――
キィィィィィン……ッ!!
地下排水路の最奥——唐突に開ける広大な円形ホール。
錆びついた巨大な鉄扉を蹴り開けた瞬間、頭上のスピーカー群から狂気を孕んだハウリング音が鳴り響いた。
ザー……ジジジッ……
『生徒の皆さんに、お知らせします。本日の下校時刻は、すでに……終了……しました……』
『まだ校内に残っている不良生徒は……直ちに……解体しなさい……』
ホールの天井に無数に絡みつく、血濡れた黒い放送コード。
その中心に吊り下げられていたのは、旧型の学校用トランペットスピーカーがいくつも無秩序に癒合した、巨大な音響怪異だった。
【深層ボス反応検知:『真夜中の下校放送』】
【特殊能力:『狂騒音波』】
ゴオォォォォォンッ!!
「キシャアアアアアアアアアッ!!」
スピーカーの巨大な開口部が真っ赤に発光し、指向性の衝撃音波が目に見える『赤黒色の波形ドット』となって全方位へ叩きつけられた!
空気そのものが激しく振動し、周囲のコンクリート壁がメキメキと亀裂を刻む!
「来やがったな……音波攻撃ッ!!」
俺は両足を踏み張り、耳元のヘッドホンを押し当てた。
ヴィィィィン……ッ!!
その瞬間、葵が羽織の生地を組み込んで作成した『逆位相ノイズ』が起動!
赤黒色の音波デバフが俺の頭部に届いた直後、ヘッドホンから発せられる赤銅色のノイズ光と相殺し合い、爽快な電子の弾ける音を立てて消滅した!
ピッ、ピッ……
【エリア異常無効化:『ノイズキャンセリング』成功】
【『狂騒音波』による混乱・麻痺判定:完全シャットアウト】
「……音波ガ、効イテ……ナイ……!?」
初撃から放った必殺の一撃を完封され、巨大なスピーカー群が狂ったようにギギギと異音を立てて震える。
俺はヘッドホンに軽く指先を添え、ニヤリと凶悪に唇を吊り上げた。
「物理ノイズキャンセリング——自室の防音具と護符の二重防護だ。お前の耳ざわりな騒音なんざ、1デシベルも届かねえよ」
呆然と立ち尽くす(?)ボスの前で、俺はナイフの刃先を優雅に一閃させる。
「残念だったな。うちの相棒は世界一優秀なんだよッ!!」
「陸! いま敵のスピーカーが開いて音波を放った直後! 画面の右下に『クーリング』が表示されたよ!!」
自室のブラウン管を凝視する葵の、鋭い合図が飛ぶ!
『敵のメインスピーカー内部のコア、無敵判定が消えた! あと1.2秒!!』
「1.2秒なんて十分すぎんだよなぁぁぁッ!!」
俺は全力の踏み込みで濡れた床を蹴り、水しぶきを上げながらボスの真下へ跳躍!
自室のゲーム画面の1フレーム判定と、俺の手元のラジオナイフが完全同期!
勝手に技名を叫びながら再び跳躍する。
「スキル——『ノイズ・干渉』・フルドライブッ!!」
ドォォォォォンッ!!
赤銅色の閃光と化したラジオナイフが、ボスの開いたメインスピーカーの奥へ一直線に突き刺さった!
ドドドスゥゥゥンッ!!
【会心の一撃! 240ダメージ!(ジャストフレーム&コア直撃)】
「ギャアアアアアアアアアアアッ!?」
ホール全体を揺るがす絶叫!
巨大なスピーカー群が次々とショートを起こし、激しい火花と無数の8bitドットとなって弾け散っていく!
116:名無しさん@ゲーマー:202X/08/04(火) 24:18:00.00 ID:AoiAOI99
ノイキャンで敵の音波攻撃を完全シャットアウト!!
コアの隙に240ダメージの一撃叩き込みましたあぁぁぁ!!
【画像:画面上の巨大スピーカーアイコンが爆発して『240 ダメージ』が出てる瞬間】
深層ボス撃破です!! 地下の赤ノイズも消えました!!
117:名無しさん@ゲーマー:202X/08/04(火) 24:18:20.00 ID:x8J9aK10
うおおおおお音波完全無効化からの240ダメージ一撃叩き込みキタァァァァァ!!
音波ボスを自作ノイズキャンセラーで完封するとかまた神回すぎるだろ!!
118:名無しさん@ゲーマー:202X/08/04(火) 24:19:00.12 ID:8bitLove
自室オペレーター葵×現場アタッカー主、マジで反則級の強さだな!!
119:【解析班】名無しのアセンブラ@ゲーマー:202X/08/04(火) 24:19:40.00 ID:Assembler
見事だ二人とも! 深層ボスの撃破を確認!
これで第3階層『真夜中の通学路』の完全攻略——。
互換機の画面……ボスのドットが弾けた跡地から、更なる『異常シリアルコード』が浮かんでくるぞ……!
――
ザザザ……ピキピキピキッ!!
ボスの巨大スピーカーが砕け散り、静寂が戻った地下ホール。
その空間の真ん中に、ぽつんと浮かび上がっていたのは——黄金色に発光する一通の『ドット絵の古い手紙』だった。
ピッ……
【アイテム獲得:『1987年の差出人不明の手紙』】
【隠しテキスト解禁:『助けて。私はまだ、カセットの中に閉じ込められている——』】
ピッ……ピピピ……。
スマホのスピーカー越しに、自室のブラウン管から漏れ出す「悲しげなオルゴール調の8bitBGM」が聞こえてきた。
『陸……っ! モニターの黒い画面の真ん中に、黄色いワンピースを着たドット絵の小さな女の子が……手を振って助けを求めてる……!』
葵の声が息をのむように震える。
『画面の横に、ドット文字で名前が出たよ……『1987年8月15日 行方不明・七瀬葵(7歳)』……えっ……!? わたしと……同じ名前……!?』
「なっ……!?」
——第三章 攻略・生還完了!
―― 第四章へ続く。
【ステータス】(第3章・完全攻略直後)
・プレイヤー:真壁 陸
・HP:[全部位:100(健全)]
・所持スキル:[ノイズ・干渉 Lv.1(CT残り:22秒)]
・装備:[呪導のラジオナイフ(耐久:5/15)] [防護型ヘッドホン(ノイズ耐性+25)]
・獲得アイテム:『1987年の差出人不明の手紙(隠しシナリオキー)』
・現在のミッション:【自室拠点へ生還し、カセット内部に囚われた『1987年の行方不明者』のデータを解析せよ】




