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13、因果応報?

orz 構成みすで前後編…

 ◆ 因果応報



 ── 地球に帰りたいと泣きついたキョウカは、リコたちと接触し、地球への「扉」を開いてもらうのだが ──






 しかし今度は、護符の力とツカサのスキルが完全に発動していた。彼女の悪意が、因果応報の法則によって自分自身に跳ね返ろうとしていた。


「リコ!」


 オーデンが駆け寄り、倒れかかるリコをしっかりと抱き支えた。彼の腕は強く確りとリコを抱きしめて離さない。


 キョウカが驚く間もなく、光が爆発した。


 護符から放たれた銀色の光と、「聖女」から溢れる金色の光が交じり合い、世界樹の周りを渦巻いた。「扉」が激しく歪み、予定されていた地球への道筋からは完全に大きく外れていた。地球側の神の姿も完全に見えなくなっていた。


「やめて!」


 キョウカの声は恐怖に震えていた。


「本当は地球になんか帰りたくないの! ここに! 異世界にいさせて ── 私だって幸せになりたかっただけなのに!」


 キョウカの叫び声は本音を露わにしていた。彼女の目には、初めて本物の恐怖が浮かんでいた。


「ああああっ!」


 彼女の驚きの叫び声が響く中、歪んだ「扉」が突然大きく口を開いた。護符の力 —— 因果応報の加護が完全に発動し、キョウカ自身が放った悪意が、彼女自身に返ってきたのだ。


 光の渦がキョウカを飲み込んだ。


 彼女は抵抗しようと手を伸ばしたが、無駄だった。光が彼女の体を包み込み、引きずり込んでいく。


「助けて! リコさん! カプチエークさん! ごめんなさい! 本当にごめ ——」


 キョウカの体が光の渦に飲み込まれていく。彼女は必死に抵抗しようとしたが、護符の力と「聖女」の力が発動した今、もはや手遅れである。


 彼女の声は「扉」に吸い込まれ、次第に遠のいていった。


 ツカサはキョウカの消えていく姿を見つめ、紅の瞳に複雑な感情を浮かべた。悲しみ、怒り、諦め、そしてある種の憐れみ —— すべてが混ざり合っていた。


 光の扉が最後の激しい輝きを放ち、そして ——


 突然、収縮した。


 キョウカの最後の叫び声が空間に響き渡り、やがて完全に消えた。「扉」の座標は完全に狂い、予定されていた地球への道筋から大きく外れていた。


 光の渦は静かに閉じ、扉も次第に収縮し、やがて一点の光となって消えていった。






 世界樹の根元には、何もなくなった。


 キョウカの姿も、扉の痕跡も、すべてが消えていた。


 静寂が戻った。


 光が完全に収まった時、世界樹の下に残されたのは神様以外には、三人だけしかいない。


 世界樹の下には、リコとオーデンとツカサだけが残されていたのである。


 月明かりが三人を優しく照らし、長い影を地面に落としていた。


 創成女神が深い悲しみをたたえた目で、扉が消えた場所を見つめている。


 リコはオーデンの腕の中で震えていた。彼女の目から、一筋、また一筋と涙がこぼれ落ちた。それは悲しみの涙でもあり、怒りの涙でもあり、すべてが終わったという解放の涙でもあった。


「キョウカさんは……どこへ……」


 彼女の声はかすれ、言葉にならない嗚咽が漏れた。


 ツカサがそっと近づき、リコの肩に手を置いた。その手は温かく、精霊としての優しさに満ちていた。


 「因果応報の護符が完全に発動したんだ……」


 ツカサの声も震えていた。


 「彼女の悪意が、自分自身に返ってしまったんだよ。『扉』の座標が狂い、彼女は予定されていた場所には行けなかった……」


 彼女もまた、この結末を望んでいたわけではない。


 「彼女が向かった先は……地球でもなければ、この世界のどこかでもない。まったく別の次元の狭間……あるいは、彼女自身の心が作り出した牢獄かもしれない」


 オーデンはリコをしっかりと抱きしめ、低く深い声で言った。


「もう扉は閉じられた。創成女神様の力で、二度と開かれることはないのだろうな」


 オーデンの金色の瞳には、複雑な光が宿っていた。


「これで……其方は永遠にこの世界に留まることになるな。地球への帰還の道は、失われたのだから」


 オーデンの声には、複雑な感情が込められていた。悲しみ、安堵、そしてある種の決意。


 リコは顔を上げ、オーデンを見つめた。涙で曇った彼女の目には、深い悲しみと、新たな決意、そしてどこか諦めに似た覚悟が映っていた。


「はい……陛下」


 彼女の声はかすれていたが、確かな意志に満ちていた。


「私は……ここに残ります。ツカサとともに、この世界で生きていきます。もう逃げません。この世界で、私に与えられた役割を果たすことにします」


 彼女はツカサの方を見て、小さくうなずいた。


 ツカサも微笑みで応えた。


 二人の間に流れるのは、言葉を超えた深い絆だけ。


 オーデンの目がわずかに見開かれた。そして次第に、深い安堵と喜びの色に変わっていった。彼は深く息を吸い、ゆっくりと吐き出した。


「……良かった……ならば……我は、これからも其方を守り続けよう。帝国の獅子皇帝として……」


 その言葉に、リコの頬にわずかな赤みが差した。彼女はうつむき、そっとうなずいた。


 しかし、オーデンの胸の内は、こと恋愛に関しては本当に臆病だったのである。護符を渡した時は、リコへの好意だけの勢いでプロポーズしてしまった感もあったが、未だリコから返事がないことで自信がなかったのだから。


 満月の光が、世界樹と、その下に立つ三人を優しく包み込んだ。


 銀色の光は、悲しみを包み込み、葉々のざわめきが、まるで新しい始まりを祝福するかのように響いている。


 創成女神の姿が微かに輝き、次第に薄れていった。女神は最後に、深い悲しみをたたえた目で、扉が消えた場所を見つめていた。


(「扉」は閉じられました)


 創成女神の声が微かに響いてきた。


(二度と開かれることはないでしょう。これで、無理やり召喚される地球の人間はもういません)


 その声には、計り知れない哀しみが込められていた。


(ですが代償は大き過ぎたようですね)


 女神の姿が完全に消える寸前、最後の言葉が響き渡る。


(一人の少女が、自分自身の選択の結果、未知の世界に迷い込んでしまったのですから……)







 静寂が世界樹の下に戻ってきた。


 風の音だけが、葉をそっと揺らしている。


 オーデンはゆっくりとリコを解放したが、彼女の手をしっかりと握りしめたままでいる。


「帰ろう」


 オーデンの声は優しかった。


「夜も更けた。明日からは……新たな日々が始まる」


 リコはうなずいた。彼女はツカサを見つめ、精霊の友人が悲しげに微笑み返すのを見た。


 三人は肩を並べて、世界樹の下を去ることにした。


 彼らの背後の空には、満月が静かに輝き続けているだけ……






 *****






 その夜、誰も知らない異次元の狭間に、一人の少女が目を覚ました。


 最初に感じたのは、冷たい石の感触だけ。


 キョウカはゆっくりと目を開け、周囲を見渡して見た。


 そこは灰色の空、荒れ果てた大地、形の定まらない奇妙にねじくれた岩がどこまでも広がり、奇妙な形をした星座が瞬き渦巻いている場所のようだ。


 キョウカはゆっくりと立ち上がった。


 彼女の体はあちこちが痛んだが、大きな怪我はないみたいだ。


 制服に似せた服は、ほつれて破れた箇所がある上ほこりで汚れ、髪は乱れてはいたが。


 彼女は周囲を見回すと、次第に恐怖が込み上げてくるのを感じた。


 ここは地球でもない。


 サンディ帝国でもない。


 ムーン王国でもない ――


 ―― 全く未知の世界のようだ。


「ここは……どこ?」


 キョウカの声は、虚無の中に消えていった。


 彼女の周りには誰もおらず、応えるものは何もないようだ。


 ただ、遠くで何かが囁くような音が聞こえてくる気がするだけ。


 彼女は立ち上がり、周りを見回した。


 どこまでも続く灰色の荒野。


 空には月も太陽もなく、ただ薄明かりが漂っている。


「誰か……誰かいないの?」


 彼女の声は次第に恐怖に震え始めた。


 この場所が、彼女自身の選択の結果であることに、ようやく気づき始めたからだ。


「戻りたい……本当の世界に戻りたいよう……」


 キョウカは膝を抱え、その場にうずくまった。彼女の肩が震え、やがて嗚咽が漏れ始めた。


 しかし、この狭間に響くのは彼女の泣き声だけのようだ。


 誰も助けに来ない。


 誰も彼女の声を聞いてくれるものはいない。


 因果応報 ——


 —— 彼女が蒔いた種は、彼女自身に返ってきただけなのだから。





 *****


orz …でもやっと、予定通りのこの場面までたどり着けた…

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