The Steal Bride of Evil God 71
アルフレッドは綾乃の前世である妖狐の夏蓮に惚れていた。最初こそ彼女と継守の仲を微笑ましく見ていたが、靡かない彼が辛く当たる事もあり次第にアルフレッドは彼女に恋慕の情を抱いた。結果までは知り得なかったが、振られていたとはエリザも知らなかった。
「それで葵君、さっきの人誰?」
「俺も詳しくは⋯⋯」
自然とエリザに視線が集まる。
「知り合いの形見に、知り合いの亡霊が刀の妖怪と一緒に形見に宿ってたなんてお笑い草でしかないね。安心して良いよ、悪い奴じゃないのは保証する。生前刀に込めたロンギヌスの術式を拡張してたみたいだ。より強く、実践的に活用出来る様に君達の魂と術式を結び付けて。桜花神滅と言ってたかな?あれを君達全員同時に展開する様にバージョンアップしたんだろうね」
「手甲を出してくれた時みたいに俺達を強化してくれるのか。ありがてえ!」
晃が思い出した様に言及すると、クロエが術式に摩子との繋がりが出来たと聞いて目が死んでいる。
「何、皆して変な事言ってて怖いんだけど⋯⋯」
洵と呪術捜査官二人が困惑している。
「洵さん会ってないから⋯⋯」
「葵への好感度が低かったか⋯⋯」
「好感度?⋯⋯あり得ない事言わないでくれる?」
智也と心菜が残念そうに言うと洵の目が鋭くなる。
軽く洵にも心菜が説明した。
「すでにおっかない刀持ちだし、こいつには要らないって」
神刀天羽々斬を持つ彼女には不要な力だろう。
「そうね、要らないし寧ろ余計な術式に組み込まれなくて良かったわ」
「それより、時間は?結構経過した気がするんだけど」
「まだ10分。急いで腹拵えを、花音はやらなくて良いからね」
エリザが指示するとメイドが急いで、軽食をテーブルに並べていく。すでに作られていたらしい。
「食べながら聞いて欲しい。会場の状況は君達の仲間が会場中央に現れた祭壇の様な所に寝かされている。王禅と呼ばれた司祭が一人、それと悪魔が二匹。そして彼等の配下である死焔達が居る」
令二は会場に残して置いた影の目を移動させながら全体を映像で見せる。テーブルには黒い瞳の影があり、その瞳に向こうの映像が映っている。
「どうしたって短期決戦になる。綾乃ちゃんの救出を最優先にしたい所だけど」
「そうね、あの女の子⋯⋯神美って子は綾乃みたいな力を宿している。綾乃の協力は必須だわ」
「僕達から言えるのは、君達の首輪の広域呪術式を構築した奴だ。そいつを倒せば首輪が消えるかも知れない」
「それに呪術に利用された人達の魂や肉体が戻ってむるかも」
令二と千鶴がそう言うと、人狼3人の目に光が宿る。
「⋯⋯⋯兄貴が戻ってくる?」
「可能性があるってだけど零じゃない」
「良かったな晃」
「ああ、俄然やる気が出てきた」
「さっきまでヘタれてた癖に良く言うよ」
「煩いな!」
緊張のある中で談笑する。
軽食を10分で済ませ、支度を整えるのに10分。
全員の準備が済んだ所で、花音がアーカイヴシステムを起動させる。
「綾乃を救出して、とっととバカンスの続きよ皆」
摩子の真剣な目に頷く。
「綾乃に舐めた事をした連中は鏖殺する」
「愚痴はもう言わねぇ!俺は足掻くだけだ!」
「微力ながら協力するよ」
「私も」
「私も全力を尽くします」
「行こう、全部終わらせて皆で帰ろう」
葵が締め括ると、覚悟を以て全員次元の穴の中へと突入した。




