The Steal Bride of Evil God 70
一瞬でエリザの表情が川の様に流れ変わる。先ずは目に涙を溜めて涙を零し、それから涙を拭っては鬼の形相を見せる。
「アル、何であの時一人で向かった!一人で勝てる相手じゃないって分かってたのに!」
「勝てる算段はあったんだよ。計算外の事があって返り討ちになったけど。代わりに敵討ちしてくれたみたいだしね。あれから、何年も経過したのにカノンに準備しているのをみると嗅覚は衰えてないな。カノンに惑星毎滅ぼす力を与えるなんてやり過ぎもいいとこだよ」
呆れた口調でエリザを褒める。
「あんたは一体⋯⋯」
葵が近づくと、アルフレッドは葵、摩子、晃、智也、心菜、花音の地面に魔法陣のサークルを出現させ、空中に彼等を浮遊させる。
「何なんだ一体!」
「私達をどうするつもり?」
「葵君と仲の良い魂の絆を持つ君達に、『桜花神滅』で得た力を共有する術式をスムーズに行使するのにどうしても君達自身の魂の情報が必要でね。使った直後の消耗を抑える為に少し大人しくして欲しいな。代わりに質問には答えよう。僕の名前はアルフレッド ロウ セルグリアム かつて神を滅ぼす槍を作りし一族の末裔だ」
摩子だけがその名前に反応する。
「セルグリアム⋯⋯確かクロエに禁忌の魔法を行使する危険な一族って魔法世界の歴史に名前を刻まれているあの?」
「その通り。一族は皆天才を輩出し、それ故に祖の中に神に近づいた者が現れ世界を我が物とする輩が現れた。当時の魔術師と教会と大魔導師が組んで祖を封印した。それを⋯⋯封印から何百年も経過し、幼かった僕が封印を解いてしまった。あいつは殺人を繰り返しながらこの世界に渡る手段を整える為に蛮行を繰り返しこの日本へと渡った」
「⋯⋯あの件には私の妹も関わってるわ」
世界が急に暗くなり、海から船がやってくるイメージが出現する。
「奴はまだこの世界に脅威として依然その魂を残している。僕はこの刀に宿ったアルフレッドという人間だった者の心残りであり残滓でしかない。けれどこの術式に心を込めたからこそ君達に力を貸してあげられる」
「ん!」
一人の幼い子供がぷんぷん怒っている。
「ごめんごめん。この子は紅桜。妖刀の心だよ。葵君が継守の技が使えるように、僕の術式を扱える様にサポートしてくれてる。今回の一件が解決したら鍛冶師に見てもらってくれないかな。それと研いで貰えると喜ぶと思う」
「ん!」
「さぁ、イメージして。自分がどう強く在りたいか」
今度は柔らかく笑みを浮かべる。
「綾乃ちゃんと葵君の前世については教えないのかい」
「困惑するだけじゃないかな。それに⋯出会って恋して、ちゃんと魂に思いが刻まれてる。言うのは野暮ってものだよ」
「あんた、あの子に未練ないのかい」
「死ぬ前にちゃんと振られてるんでね。それはないかな」
「スッキリした顔で葵君を見られる訳だ」
時間の経過と共に魂の解析が終わり、地面へと着地した。
「君達が“どう強く成りたいか”願望に沿った恩恵が得られると思う。気をつけて、奴との邂逅が近づいている」
一瞬で、エリザ達は元の異空間の中のテーブルと椅子に意識が戻る。エリザは持った刀に一言何か言いたくなったが喉の奥に引っ込め
「悪かったね、刀を返すよ。あいつに毎年送った分の花束と線香と交通費を請求したくなってきた」
「ええ、何か本当にすみません」
葵も急に精神を引っ張られて混乱している全員に申し訳なさそうに席に戻った。




