The Steal Bride of Evil God 69
エリザはイギリスからの情報提供を受けて、リッチモンド氏を人質に死焔が豪華客船で虐殺を行うかも知れず、アヴァロン、幽玄舎、陰陽省と連携を図り事態に動いている事を伝えた。
「じゃあ、テロ組織撲滅の為にすでに動いているんですか。状況は?」
葵が尋ねると令二が答えた。言われてみれば早苗と紅葉も任務でどこかに行くと言っていたのを思い出す。
「芳しくないね。通信が遮断された状況にあった所を見ると分断された環境の中に居る。僕等は呪術捜査官だ。通信がしたいんだけど可能かな」
「無理だね。ここは花音のアーカイヴ・システムの中。次元を繋いでいるのはあの場所と船の中、そして私の屋敷の中だけさ」
「なら、千鶴は一旦屋敷から出て本部と連絡を取るしかないか」
「心配だけど、私一足先に戻ってるわ令二」
「そんな笑顔で言われてもね⋯⋯次元だけ開けて通信は出来ないかな」
「やってみよう」
千鶴の表情がムンクの叫びのそれになる。
「気になった事があるんだけど、葵君の刀は何?」
「そうね、白状しなさい」
「そう言えば最後、俺に力貸してくれたよな」
摩子、洵、晃が口を出す。最後に手甲を出現させたのは葵に他ならない。
「実は俺も詳しくは知らないんだ。昔御先祖様が使ってた護神刀で⋯⋯何度か紅桜の心の女の子と金髪に蒼い目をした外国人が語りかけてきて神殺しの刀だってのはさっき聞いたんだけどさ。親父が言うには魔術術式が組み込まれてるらしくて」
「⋯⋯何言ってんだ?」
「妖刀って感じで刀に心が宿ってるって事かな。葵が前に言ってた付喪神って奴?」
「それで合ってると思う」
「へー⋯⋯刀の妖怪なんだ」
「金髪に蒼い目⋯⋯まさか」
エリザが懐かしい面影に思い当たる。
手に持った瞬間から、紅桜が持つ技と前の使い手の技術が脳裏にインプットされる。新しい技が思い浮かぶ事もある。
「その二人に聞いたの?」
「そう、戦ってる最中に急にな」
「ちょっと待ってて」
携帯をタップすると召喚の魔法陣が浮び上り、一匹の気品のある雌猫が机上に出現した。
「あら、摩子ったらコレは一体どういう状況?今日は楽しい旅行に行くと出て行ったのに」
『猫が喋った』と全員驚く。
「クロエ、お願い。この刀に組み込まれた魔術術式が何なのか知りたいの」
「ふーん。まぁ良いわ、机に置いて頂戴」
葵が紅桜を机に置いて、黒猫が魔術で解析し始める。
直後にクロエは摩子が見たこともない表情を見せた後
目が飛び出る程大きくなって嗚咽を漏らした。
「おげええええええっ!!あっ⋯⋯あんた何でこんな物!おえええええええ!」
「どうしたの、クロエ!大丈夫?」
背中をさすって摩子の側へ寄る。
「どうしたもこうしたもないわよ!照合したら魔術師における禁忌とされた術式なんだけど!?神を殺す為に作られしロンギヌスの術式!?こんな危険な物がどうして存在しているの!しかも分かったのはまだ一部。他にも“術式の拡張と更新が続いてる”なんてどういう事なのよ!」
「そんなおっかない術式だったのか。いや、確かにあの時も綾乃の力を吸収してたな」
魔女の館の一件を思い出す。
「使い方も効果も知らないのに使ってるわけ?」
信じられないと洵が引いた目を見せる。
「少し、その刀を見せて貰えないかな。多分知人の物で見覚えがある」
エリザが葵にお願いすると、席を立って彼女の前まで歩いて刀を手渡した。
「ああ、確かに橘継守ーーー君の御先祖の物に違いない」
次の瞬間、その場の葵、エリザ、晃、摩子、心菜、智也、花音が見覚えの無い世界に唖然とした。林と池があり先程までいた場所とは異なる。
「やあ、エリザ。久しぶりだね」
「アルフレッド⋯⋯」
葵が先程言っていた少年と女の子が目の前に立っていた。




