第7話 「桜本番」
第7話 「桜本番」
今年もやってきた……。 あのシーズンがっ!
もうすでにルナと2号は準備体操を始めている!
ルナ「イッチ! ニッ! サンッ! シッ ♡」
2号「ニィ! ニィ! サンッ! シッ ☆」
吉野の山に桜が咲き乱れている。
人々はバスに乗り、電車に乗り、この吉野の里を訪れる。
そう、桜シーズン到来なのだ!
客A「すいませーん!1人で1泊2日で!」
客B「デイキャンプ4人で!」
客C「5人で連泊したいでーす!」
世はまさに、大キャンプブームであるっ!
キャンピース☆(ひろ)
早朝。
カフェーー
この日のために、ルナはいつもの10倍のパンを焼いていた。
4号「えっ……すご……」
5号「こ、これ全部焼いたの……?」
にこっ。
ルナ「おまえら~出航よ~♡」
ガチャ…。 カラン…。
3人「いらっしゃいませー!!」
正午。
温泉ーー
温泉も大忙し。
2号は温泉の開店から料理を作りっぱなし。
ジュウーーーッ。
トントントントンッ…!
2号「……出来ましたー!」
料理を配膳しながら、温泉の受付までこなす6号。
6号「マ、マジで予想以上なんですけどぉー!」
あたふた…。
家の庭ーー
みんなが忙しく働く中――
ひろはキャンプ場を眺めながら座っていた。
ひろ「…………」
8号「ひろは暇そうだなw」
ひろ「うるせー、昼休憩だよw」
ひろ「……それに、キャンプは来た人が自分で楽しむもんだろ?」
8号「カフェと温泉はすごい人だけどね」
ひろ「なら今日だけでもカフェ手伝ってやれば? ルナも喜ぶぞー」
8号「……うーん」
8号「7号も、たまこも寝てんじゃん」
7号「……スー」
たまこ「……スー」
ひろ「7号はちゃんと朝、狩りしてるからいーのw」
8号「……でも俺、なんもできねーし……」
8号「…………」
ガヤガヤ…… ガヤガヤ……
わあわあ……。
……トンットンッ。
7号「………!」
むくっ。
すとすとすとっ……
ひろ「ん?」
キャンプサイトーー
トントントントンッ!
トントントントンッ!
客「……あれ? おかしいな~…全然ペグが刺さらへん……」
7号「…………」
7号「……かして」
ひろ「あっ。テントに付いてたハンマーじゃ大変なんで、ウチのハンマー持ってきま――」
どんっ!!!
客「!!!」
ひろ「!!!」
7号「……これでだいじょうぶ」
くるっ。
7号「……ないすてんと」
さっさっさっさっ……
ひろ「……1つしかペグ刺さってないけどね……」
客「あばばばばばばばば」
トコトコ…
8号「ん?」
客「おっ、いつも元気な嬢ちゃん!」
8号「あっ! おじさんやっほー、今日キャンプきてたんだ」
キョロキョロ…
客「おい……これ」
包み紙に入ったチョコレートが2つ。
8号「え! いいの!?」
客「おう! そんかしよ……ルナちゃんとひろには内緒だぞ」
8号「うん! わかったっ!」
タッタッ……。
8号「おじさんありがとー!!」
客「おうおう……」
サーーーッ……。 サワサワ…。
男は咲き乱れる桜を見上げる。
客「今年も綺麗に咲いたなあ……」
客「おう。ひろ」
ひろ「うおっ、来てたのかよw 言ってくれりゃあいいのに…」
客「ルナちゃんには受付の時に挨拶したぞ」
ひろ「もう腰平気なの?」
客「この年になるとなあ……どこもかしこもボロボロよ。あっはっは!」
客「まあ……段々よ」
ひろ「そっかw」
8号「…………」
客「あのーもしかして、ここのキャンプ場の人ですか?」
8号「……はい」
客「受付しようと思ったんですけど……カフェに人が多すぎて……」
8号「…………」
カフェーー
4号「い、いらっしゃいませ~」
(ど、どんだけ来るのよぉー)
5号「か、かしこまりました~」
(マ、マジで止まらない!)
ルナ「はい!焼き立てパン10個ですね~♪」
(¥¥¥¥)
キャンプ客「すみませーん!チェックインしたいんですけど~!」
4号・5号「は、はーい。……お待ちくださいませぇ~」
ガチャ。
カラン……。
タッタッタッ……。
8号「……すーっ」
8号「はい、3名様1泊2日ですねー。 ありがとーございまーす」
4号・5号「!!!」
ルナ「わあ♪」
ルナ「8号ちゃん、キャンプの受付は任したわよ~!」
8号「あい」
午後2時。
ルナ「だいぶ落ち着いたわね~¥」
4号「はぁー……疲れたぁ……」
5号「アリガトウゴザイマシタ…アリガトウゴザイマシタ……」
ルナ「もうこっちは私1人でも大丈夫」
ルナ「2人ともお昼ごはん食べてから、温泉の方手伝ってあげれそう?」
4号「ま…まだ……お…おんせん……」
5号「ワカリマシタ…ワカリマシタ……」
8号「……ルナも買い物、行ってきていいよ。……俺見とく」
8号「あと……おまえら。 ……コレ」
サッ…。
4号「……ん?なにー?」
5号「……ナンデスカ…ナニヨウデショウカ……?」
8号「ほい」
4号「……お」 5号「……oh」
4号「あっ!チョコじゃん!やったあー」
5号「わあーおいしそー!」
8号「やるよ。 もらったやつだけど」
客「すいませーん!今から2名キャンプいけますか?」
タッタッタッ…。
8号「はーい!大丈夫でーす!」
ルナ「8号ちゃん」
8号「?」
ルナ「ありがと」
8号「うんw」
午後4時。
仕事が一段落して、カフェに入ってくるひろ。
ガチャ。 カラン…。
ドカドカドカ…。
8号「……なにー?」
ひろ「やるじゃんw」
8号「……ひろは暇そうだなw」
ひろ「うるせーw」
8号「ははっw」
ひろ「……なあ」
8号「……んー?」
ひろ「終わったら釣りでも行くか?w」
8号「うんっ!」
夕方。
近所の川ーー
ポチャッ…。
しーーーーーん。
ひろ「……いっつも釣れん」
ひろ「あっ、そうだ」
ひょいっ。
どさっ。
8号「うわっ!」
ひろ「それオヤジから丸ごとパクっといたw」
8号「…………」
8号「……これ」
袋にはチョコレートがいっぱい入っている。
ひろ「貰っとけw俺のじゃねーけどなw ルナ達には内緒だぞw」
8号「…………」
パクッ。
8号「……うめぇー」
満開の桜が川面に映り、淡いピンクの光が8号を包む。
8号はその場にごろんと大の字になり、ふぅーっと息を吐く。
春の風が、満足げな8号の髪をふわりと揺らした。
その頃 ルナは……。
ルナ「うひょー♡ おセレブですわぁー¥¥¥」
3号「……ここで……さわがないで……ください……」




