【エピソード 073】 不完全小節でリピートしても、聞いている人には気付かれない。トレモロを、トロンボーンとギターで。ギターのトレモロの指が気持ち悪い。巻き舌や、のどちんこ。口笛のタンギング。
【前書き】
当作品は、楽典をアニメで表現することを目的としています。文字を読んでアニメを想像する手間があります。楽典以外は余談ですので、次々とストーリーが続くジャンルではありません。
なぜ記号だらけの楽譜を見て、音にできるのか?
初心者向け楽譜の謎解きエンターテインメント。
▼ 登場人物
ハル、ミッツ、ステラ、ショージ …… 同じ中学校の生徒。
ヤッ子 …… 理科教師。プライベートでジャズピアノ。
楽譜の読み方「楽典」を、アニメ脚本っぽい形で説明します。
「一方的に教えるのではなく、疑問に応える」「アニメ表現を利用」です。
オリジナル『ガクテン』または『ガクテン♪ソフト版』から、「余計な物語りは不要、要するに音楽の話だけ」の需要に応えた、楽典に特化したものです。
そのため、ドラマチックな「キャラの魅力」「ラブ要素」「ジョーク」は無くなりました。
唐突に音楽の話になる「教育アニメ(エデュテインメント)」となりましたから、ストーリーには違和感があります。
「再放送や、Blu-rayの、長期的な繰り返し需要の視点から、web小説よりも、アニメで説明したい」という気持ちが強いです。
人間ドラマも含めたもの、アニメ化に向けての自由度(情報の取捨選択、話数変更など)は、オリジナル『ガクテン』または『ガクテン♪ソフト版』を、ご覧願います。
ここでは、人間ドラマなどが無く、音楽の情報だけが、連続している。レトロSFの宇宙食のように、味気の無いものです。
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【エピソード 073】 不完全小節でリピートしても、聞いている人には気付かれない。トレモロを、トロンボーンとギターで。ギターのトレモロの指が気持ち悪い。巻き舌や、のどちんこ。口笛のタンギング。
▼ 場面変更
ミッツの家。ミッツの誘いで、ハルとステラが、下校中に来た。
ミッツの部屋に、アップライトピアノがある。
ミッツ。楽譜棚から、楽譜集『ブルグミュラー 25の練習曲』を取り出し、勉強机の椅子に座る。椅子は、斜め後ろ向き。ステラに対しても、斜め向き。
楽譜集から、不完全小節で始まり、不完全小節で終わる曲を探している。
ハル。机の、ブルグミュラーの楽譜集の、開いているところを見る。曲は『9.狩猟』または『12.さようなら』で、不完全小節で始まる曲。
出版社によって、日本語のタイトルが異なる。
ハル。楽譜集を手に取り、あちこちページをめくる。
ミッツ。『9.狩猟』または『12.さようなら』を開いて、机に置く。最初の小節を、指先で叩く。
ハル「おおーっ。確かに、最初と最後の小節は、拍が少ない」画面には見開きの全体を表示。両手の指で、最初と最後の小節を指している。最初と最後の小節の部分だけが拡大され、差し棒で「音価を足したら、1小節分の長さになる」と表示。
ミッツ。ハルが楽譜を凝視しているところで、ステラを手招きする。
ミッツ。机から楽譜集を取り上げて、『14.スティリアの女』を開いて、また机に置く。転調する箇所を指し、ハルに顔を向け、顎と視線で、「ここを見ろ」と促す。
ハルは、リピート記号の箇所の不完全小節を確認している。ステラはその時、最初の小節は普通なのに、最後の小節が不完全小節なのを見付ける。
ステラ「これは、どうなんですか? 足りないです」
ハル「それは、最初の小節と足したら……あれ? そうでもないか」
画面は、楽譜集の見開き全体から、最初と最後の小節部分だけを拡大し、並べる。最初の小節に差し棒で「普通の拍数」、最後の小節に指し棒で「拍が足りない不完全小節」を示す。
ハル「すごい、ステラ。よく見付けるよな」感動してステラを見る。
ステラ。大きく口を開ける笑顔。
ハル「それで、最後からリピートして……」
『14.スティリアの女』だけでなく、『20.タランテラ』も見るのも良い。拍子記号、リピートに挟まれて8分休符だけの箇所(『20.タランテラ』にある)、リピートの開始位置など、チラチラ見る。
ステラ。ハルの視線の動きを、頑張って追おうとする。
画面には、見開きの全体から、いくつかの箇所だけが拡大され、手拍子用の代わりに8分音符が出現し、数字「1」から「6」が添えられる。
ハル「確かに。こんな中途半端に小節が区切られているのに、手拍子が狂うことが無い」
ミッツ。なぜか得意気に。「そうでしょーっ」
ステラ「手拍子が狂う……ですか?」
ハル「これは、8分の6拍子だから、手拍子は、こうなる。1、2、3、4、5、6。1、2、3、4、5、6……」言いながら、指を移動する。指が楽譜をトントンすると、波紋のようなピンクが表示される。
画面には、楽譜の最初の拍子記号と、3小節分。ハルが数える声に従い、音符の近くに数字が出現する。楽譜の、ピアノの指番号は、手拍子の数字と紛らわしいので、表示しない。
ステラ。途中から、ハルに合わせて音符を順に指で辿る。ハルの声に合わせて「1、2、3、4、5、6」と言う。
ハル「そして、ここ。中途半端なのに、ちゃんと、6まで数えてから、1になる。1、2、3、4、5、6……」リピート箇所がいくつかある。全部のリピート箇所を辿る。
飛び戻るときは「1、2、3、4、5……6」のように、注意喚起しながら「6」に行く。
ハル。楽譜棚から、シリーズ物の「ピアノ名曲全集」を数冊、机に置き、目次を見て、『結婚行進曲』を探す。
ハル「あ、ほんとだ。最初の小節は、ちゃんと4拍ある。最後の小節も。それから、区切りの小節線もある。さっきの、ギター編曲した楽譜と、同じところと、違うところがある」
ミッツ。ピアノを開けて、『結婚行進曲』のページを開いたまま楽譜台に置き、演奏する。ちょっと間違ったりする。
ハル「演奏が終わって、すぐで悪いけど、ここの所、どうやって弾いたんだ?」Aメロの終わり、左手の交替の箇所を指す。
ミッツ「これは、音の交替で、えーっと、その前に「トレモロ」の説明がいいかな?」
ハル「トレモロ?」
ミッツ「同じ音の連打。音符をたくさん書く代わりに、省略した書き方」楽譜。上段に全音符に線1本、下段に8分音符の連打。上段に全音符に線2本、下段に16分音符の連打。
ハル「ああ、符桁の数と同じ本数の、太い線を書くのか。少し斜めの、太い線だな」
ミッツ「そう。4分音符に付けることもできるの」楽譜。4分音符でドのトレモロ、ミのトレモロ、ドミの重音のトレモロ。
ミッツ「こんな風に」
ミッツ「『エリーゼのために』だって、トレモロの表記にできるよ」楽譜。『エリーゼのために』(ベートーベン)の、左手連打の箇所。
ミッツ「小節の途中で、使う音が変わったら、こんな書き方」楽譜『エリーゼのために』(ベートーベン)。
ステラ「トロンボーンでもあった。トゥクトゥクトゥクって、舌の先と根元の両方で」ここでのセリフの発音は、子音の「tktktk」だけで、発声はしない。
ハル「タンギングってやつか?」
ステラ「そっ(そう)」
ミッツ「リコーダーのタンギング?」背景に、小学校での縦笛の授業。先生が「「フーフー」ではなく、舌を使います。「タンギング」と言います」と言っている。
ハル「「舌」は英語で「タング」だから「タンギング」」
ステラ「そっ。でも、細かく刻むには、舌だけじゃ間に合わないから、舌の付け根も使って、tktktkって」
ミッツ。たどたどしく、舌先だけで。「トゥトゥトゥトゥ……」
ミッツ。舌先と、舌の根を交互に。「tktktk……。ほんとだ、速くできる」
ステラ「楽器は、口の外側にあるから、「トゥ」でも「ク」でも、同じように鳴るの。でも、口笛は、口の中が楽器だから、「トゥ」を使うと、変になるよ」吹いてみる。
ハル「それって、トム・ソーヤの、「口笛の特別な吹き方」ってやつか?」
ステラ「うーん、トム・ソーヤは読んでいないから、わからない」
ミッツ。タンギングで口笛を吹いている。セリフの邪魔にならないように、これまで音量は小さかったが、大音量になり、ハルの耳の近くに寄り、うるさくなる。
ハル。ミッツの顔を押して、遠ざける。
ハル「テレビでは、もっと細かいのもやってたな。いや、細かいのはフルートだったかな?」
ステラ「ああ、それは巻き舌。こうやって吹くの」巻き舌をする。
ミッツ「あ、上手!」
ハル「俺は巻き舌ができないから、こうやって誤魔化す」裏声のような声で、のどちんこを揺らす。
ステラ「口蓋垂(こうがいすい)ですね」
ミッツ「?」
ハル「鳴らしているのは、のどちんこだ」
ステラ。音階を歌う。「ドーレーミー」ここで、「レ」だけ巻き舌。ステラは、第10話で、イタリア語の音名の「レ」の巻き舌を練習した。
ハル「「レ」だけ、巻き舌なんだよな」
ミッツ「え? そうなの?」
ステラ「ギターでも、あるんですよね」
ハル「クラシックギターのトレモロは、こんな感じ」弾く真似。
ミッツ。ハルの指の動きを見て。「うわっ、気持ち悪い」
ハル「気持ち悪いって言うな!」
ミッツ「ピアノでトレモロは、こんな弾き方をするよ」1つの鍵盤を、複数の指で、ややゆっくりの連打。「さっきのハルがやった、ギターの弾き方に似てるね」
次回は …… 【エピソード 074】 2分音符に符桁がある、音の交替。トリルやターンの開始の2種類。トリルやターンに臨時記号。「ダダダダ……」ではなく「ぐちゃぐちゃ」演奏。
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