【エピソード 071】 コードネームの「G/Am」は、アッパー・ストラクチャ。サクランボのような音符。音のモアレ模様で調律と、テルミン。
【前書き】
当作品は、楽典をアニメで表現することを目的としています。文字を読んでアニメを想像する手間があります。楽典以外は余談ですので、次々とストーリーが続くジャンルではありません。
なぜ記号だらけの楽譜を見て、音にできるのか?
初心者向け楽譜の謎解きエンターテインメント。
▼ 登場人物
ハル、ミッツ、ステラ、ショージ …… 同じ中学校の生徒。
ヤッ子 …… 理科教師。プライベートでジャズピアノ。
楽譜の読み方「楽典」を、アニメ脚本っぽい形で説明します。
「一方的に教えるのではなく、疑問に応える」「アニメ表現を利用」です。
オリジナル『ガクテン』または『ガクテン♪ソフト版』から、「余計な物語りは不要、要するに音楽の話だけ」の需要に応えた、楽典に特化したものです。
そのため、ドラマチックな「キャラの魅力」「ラブ要素」「ジョーク」は無くなりました。
唐突に音楽の話になる「教育アニメ(エデュテインメント)」となりましたから、ストーリーには違和感があります。
「再放送や、Blu-rayの、長期的な繰り返し需要の視点から、web小説よりも、アニメで説明したい」という気持ちが強いです。
人間ドラマも含めたもの、アニメ化に向けての自由度(情報の取捨選択、話数変更など)は、オリジナル『ガクテン』または『ガクテン♪ソフト版』を、ご覧願います。
ここでは、人間ドラマなどが無く、音楽の情報だけが、連続している。レトロSFの宇宙食のように、味気の無いものです。
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【エピソード 071】 コードネームの「G/Am」は、アッパー・ストラクチャ。サクランボのような音符。音のモアレ模様で調律と、テルミン。
ハル「ヤッ子先生、これって、間違いですか?」楽譜集の、別な曲を開く。「G/Am」とある。「これ、ベース音がAmっておかしいですよね。父が言っていたのですが、ベース音は単音ですから」
ヤッ子「ああ、これは「アッパー・ストラクチャ」だな」
ヤッ子。黒板に、手書きの五線で、ト音記号、玉の積み上げ「ド、ミ、ソ、シ、レ、ファ、ラ」を書く。下の3つに「三和音」、上の3つに「テンション」と添える。
ヤッ子「上の3つか4つが、テンションだ。下から4番目は、人によって、テンションと呼ぶか呼ばないかが変わる」
ヤッ子「そして、これらの玉のそれぞれに、♯や♭を付けるが」さっきの楽譜の玉を「ド、ミ♭、ソ、シ♭、レ、ファ、ラ」にする。
ヤッ子「うーん、これをどうやって、コードネームで表現するか……」わざとらしく、親指で額の端を掻き、悩んだ表現。
ハル「だから、数字の前に、♭とか書くんでしょ」背景に、「EM7♭13」など、いくつか思い描く。
ここで、「M7」の別な書き方「maj7」を紹介をしても良い。
ヤッ子「その場合、すぐに読み解くのが面倒だ。そこで考えられたのが、テンション部分だけを独立したコードのように書くのだ」
ヤッ子「これを、「Cm7」と、その上に「Dm」が乗っていると考えると、こう表現できる」黒板に、上下の分数の形、分母に「Cm7」、分子に「Dm」と書く。
ヤッ子「または、「Cm」の上に「B♭M7」が乗っているなら、こう表現できる」黒板に、分母に「Cm」、分子に「B♭M7」と書く。
ステラ「どっちでもいいんですか?」
ヤッ子「どっちの表現もあるので、どっちが正しいということは言えない」
ハル「また、これだ。ヤッ子先生はいつも、どっちも正しいと言いますね」
ヤッ子「そうだな。うんざりするが、みんながそれぞれに工夫しているので、否定はしないように」
ショージ「あれ? そしたら、「D/A」なら……」背景に、上下の分数の形。「……「A」はベース音か、コードなのか、区別できない」
ハル「長和音、メジャーコードは、音名の後に何も付けないから、混乱の元になるんですね」背景に、4種類のコードネーム。「長和音」「メジャーコード」と、漢字とカタカナを併記。
ヤッ子「そうなんだ。ベースを表すのか、アッパー・ストラクチャなのかの区別のために、この書き方の区別を使うこともある」黒板の「D on A」と「D Bass A」を指す。
ショージ「そうか、「D on A」ならアッパー・ストラクチャの意味ですね」
ヤッ子「しかし、ベース音の意味で「D on A」と書いているものもある」
ヤッ子「これら、コードの表記方法は、こだわりを以って「これが正しいに決まっている。なぜなら、あの表記はあんな欠点がある」と言い張る人もいるから、巻き込まれると厄介だぞ」
ヤッ子「楽譜の表現の正しさ、楽譜を読む正しさもあるが、現代は、1つの楽譜だけが資料という時代でもない。曲にもよるが、曲の資料となる媒体はあれこれだろう」
ヤッ子「そもそも楽譜は、実際の演奏や頭の中の演奏を、頑張って紙に表現したものだ。コードネームは、頑張って文字だけにしたものだ」
ヤッ子「伝達手段だから正しさは大切だが、限界があることと、限界があるから表現を工夫していることは、留意しておきたいな」
▼ 場面変更
校内のどこかで、雑談。
教室。
男子生徒「こんな、さくらんぼのような音符があったんだ」棒が下向きの「ド、ミ、ソ」の3つの玉が、さくらんぼのようになっている。「ミ」にアクセントが付いている。
女子生徒。じーっと見る。「これって、普通はこう書くんじゃないの?」簡単な楽譜。「ド、ソ」の棒が下向き。「ミ」の棒だけ上向きで、アクセントが付いている。
男子生徒。言われて当たり前と気付いたように「ぁ、あ。それもそーだね」
女子生徒「こんな楽譜もある」同じ高さの玉が2つ、さくらんぼの形。1つはナチュラル、1つは♯。
女子生徒「ファが2つあって、1つはナチュラル、1つは♯」
女子生徒「これ、別な資料では「ミ」と「ファ♯」だから」簡単な楽譜を書く。
女子生徒「これも、棒を上向きと下向きの書き方にもできるし、ファのナチュラルの代わりに、ミの♯としても同じ」
女子生徒「どうにかして表現しようと苦心してるんでしょ」
男子生徒「もう1つ、聞いてもいいかな?」
女子生徒「答えられることならね」
男子生徒「この2つの表記があるって、覚えているの?」指で表記の違いを指す。
女子生徒。急に恥ずかしがって。「いやっ、そんなこと、答えられなーい」もじもじする。
男子生徒「は?」
女子生徒。素に戻って。「なーんてね。珍しいから、覚えていたの」
男子生徒「ということは、そこまで細かく、楽譜を読んだってことだよな」
女子生徒「そうよ」
男子生徒。心の声。「(恐ろしい奴)」
▼ 場面変更
理科室。さっきの続き。
ハル。音叉を使って、ギターの調律をしている。
ショージ。ステラに説明。「音が合っていないと「ほゎほゎー」が聞こえて、音が合って来るとほゎほゎがゆっくりになって、無くなったら、ぴったりってこと」
ステラ「そうなんだ」
ハル「このほゎほゎを使って、音楽にできないかな」
ヤッ子。にやりと笑う。「あるぞ。テルミンだ」
ミッツ「あ、知ってる」
ヤッ子「テルミンおじさんが発明した楽器がテルミンで、音のモアレ模様を使っている」
ハル「モアレ模様って?」
ヤッ子。窓の外を指す。工事現場で、囲う網を取り付けている、または、囲っている角の部分で、網が2枚重なって見える箇所がある。重なって箇所は、ぼんやりした縞模様が見える。
ヤッ子「網が2枚重なっていると、ぼんやりと、縞模様が見えるだろう。あれが、モアレ模様だ」
ハル「調律で「ほゎほわー」と聞こえるのが、音のモアレ模様ですか? それを楽器に利用したのが、テルミンですか?」
ショージ。妖精ちゃんから渡された、2本のゴムの帯を受け取る。透けているので、重ねて透かして見ることができる。2本とも同じ、細かな縞模様。重ねると、縞模様がぴったり合う。
2本のうち、1本を伸ばすと、モアレ模様が見える。
ミッツ。驚く。「わあ、本当にぼんやりの縞模様が見えますね」
ヤッ子「そう。ゴムの帯の、1つ1つの縞模様は、細かくて見えないが、モアレ模様は認識できるだろう」
次回は …… 【エピソード 072】 変拍子ではない。2拍子と4拍子の違いは、指揮してわかる。不完全小節は、変拍子ではなく、演奏者は小節線が点線の気持ちで。
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