【エピソード 069】 基本形和音、転回形和音、外ベース。転回形じゃないつもり。「3拍子だからワルツ」とは限らない。パワーコードは、3度音が無い和音。転回形和音か、外ベースか。
【前書き】
当作品は、楽典をアニメで表現することを目的としています。文字を読んでアニメを想像する手間があります。楽典以外は余談ですので、次々とストーリーが続くジャンルではありません。
なぜ記号だらけの楽譜を見て、音にできるのか?
初心者向け楽譜の謎解きエンターテインメント。
▼ 登場人物
ハル、ミッツ、ステラ、ショージ …… 同じ中学校の生徒。
ヤッ子 …… 理科教師。プライベートでジャズピアノ。
楽譜の読み方「楽典」を、アニメ脚本っぽい形で説明します。
「一方的に教えるのではなく、疑問に応える」「アニメ表現を利用」です。
オリジナル『ガクテン』または『ガクテン♪ソフト版』から、「余計な物語りは不要、要するに音楽の話だけ」の需要に応えた、楽典に特化したものです。
そのため、ドラマチックな「キャラの魅力」「ラブ要素」「ジョーク」は無くなりました。
唐突に音楽の話になる「教育アニメ(エデュテインメント)」となりましたから、ストーリーには違和感があります。
「再放送や、Blu-rayの、長期的な繰り返し需要の視点から、web小説よりも、アニメで説明したい」という気持ちが強いです。
人間ドラマも含めたもの、アニメ化に向けての自由度(情報の取捨選択、話数変更など)は、オリジナル『ガクテン』または『ガクテン♪ソフト版』を、ご覧願います。
ここでは、人間ドラマなどが無く、音楽の情報だけが、連続している。レトロSFの宇宙食のように、味気の無いものです。
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【エピソード 069】 基本形和音、転回形和音、外ベース。転回形じゃないつもり。「3拍子だからワルツ」とは限らない。パワーコードは、3度音が無い和音。転回形和音か、外ベースか。
父親「根音以外の、どれをベース音にするかには、2種類あるんだ。「和音構成音から選ぶ」と「和音とは無関係な音から選ぶ」だ」
ハル「無関係な音を、ベース音に使っても、いいの?」
楽譜。ト音記号の第2線のソからのソドミを、4つ並べる。基本形和音には、下第1線のドを付加。転回形和音は第1線のミを付加と、下第3間のソを付加。それ以外のベースとして、下第1間のレを付加。
それぞれ、付加した玉には、差し棒で「ベース音」を示す。全部のドには、差し棒で「根音」を示す。
基本形和音には「根音をベース音に使っている」、転回形和音には「根音以外の和音構成音を、ベース音に使っている」と示す。
ハル「転回形?」
父親「そう、和音がコロコロ。ベース以外の音の積み重なりは、どうでもいい。オクターブ違いで、ダブっていてもいい。ベース音が根音なら基本形和音、根音以外の和音構成音なら転回形和音」
ハル「あっ。だから転回形か」
父親「ん?」
ハル。通学用の鞄から、鍵盤ドーナツを出す。
ハル「これ、このドーナツの、「ド、ミ、ソ」を、鳴らすとして、「ド」が根音だから、普通は、根音である「ド」を、ベース音に使う」
ハル「けれど、ドーナツだから、回転できる」鍵盤ドーナツを、縦にして、くるくる回す。
ハル「第3話で、『花のワルツ』(『くるみ割り人形』、チャイコフスキー)の話で、あった。ただし、そこでは、「ベース音」ではなく、「和音構成音だらけ」の話題だったけど」
父親。微笑む。
ハル「和音構成音以外がベース音なら? 名前は?」
父親「和音外音がベース音の和音は、何だと思う?」
ハル「んっ、それは……」
父親「それは……名前は無い」
ハル「無いのっ?」
父親「まあ、名前や定義は、誰かが勝手に設けて、単にそれを知らないだけかもな」
ハル「だったら、このアニメで、定義したら?」
父親「それは……」言い淀むが、ニヤリと笑う。「……面白いな」
ハル「「外ベース(そとベース)」「外ベース(がいベース)」「他ベース(ほかベース)」とか」
父親「ベース音が根音以外の場合で、和音構成音の転回形か、和音外音なのか、曖昧なこともあるな」
楽譜。ト音記号で、下第2間のシ♭、第1線のミ、第2線のソ、第3間のドの和音を、2つ並べる。それぞれの上には「C7/B♭」と「C/B♭」と書く。
父親。左のコードネームを指す。「このコードがC7なら、ベースのシ♭は和音構成音なので、転回形だ」
父親。右のコードネームを指す。「このコードがCなら、ベースのシ♭は和音外音なので、転回形じゃない」
ハル「なるほど。CなのかC7なのか、その違いが大切なんだ」
父親「大切なのかどうかは、わからない」
ハル「え? 転回形か、そうじゃないかって、大切じゃないの?」
父親「コード理論に厳密な人なら、大切なんだろうけど、お父さんは演奏を工夫して楽しむだけだから、理論は「楽しめればいい」ってだけ」
ハル「ははは……」
父親「なんてことを言うと、なぜか勘違いする人がいる。お父さんは「大切じゃない」とか「どうでもいい」なんて、言っていないからな」
父親「大切にしている人もいるだろうが、お父さんには実感が無いから「わからない」と言っているんだ」
ハル「大切にしている人を、蔑ろにはしていないんだ」
父親「これが、「ジャンク音楽」の、お父さんの本音だ」
ハル「ジャンク音楽?」背景に、注意書き「ハルは、両親の出逢いの話を知りません」を表示する。
父親「それから、演奏は転回形和音なのに、転回形じゃないつもりということもある」
ハル「基本形のつもりってこと?」
父親「そうだ。合奏では、ベース音はベーシストに任せて、ギターでは和音構成音が鳴ればいいってこともある」
さっきの、Cの転回形などの楽譜で、ト音記号の第2線のソからのソドミに差し棒で「ギターが担当」、ベース音のド、ミ、ソ、ファの4つに差し棒で「ベーシストに任せる」と記す。
父親。基本形和音を指す。「これは、基本形和音だが、ギターは転回形を演奏している。ギターにとっては転回形でも、全部の楽器を合わせると基本形という状態だな」
ハル「あ、なるほど。コードネームは「ギター用」を書くのか、「合奏の全体」を書くのか」
父親「お父さんが知っているのは、合奏全体のコードネームを書くものだな」
ハル「へえ」
父親「他には、演奏の都合っていうのが、あるな」
父親「ギターでは、左手でちょこっと形を変えると、別なコードにできるけど、ピアノではピョンピョン飛ぶのが大変なことがあるな」
ギターとピアノのコード図。楽譜は1つ。
ギターのコード図で、Cは第5弦から第3弦の「ド、ミ、ソ」、Gは第6弦から第4弦の「ソ、シ、レ」を並べる。鳴っている弦は色を変える。交互に演奏の度に、弦の変色。
ピアノのコード図を並べる。交互に演奏。
ハル「ああ、そう……かな?」
父親。五線ノートに楽譜を書く。左側に「ド、ミ、ソ」と「ソ、シ、レ」のセット、右側に「ド、ミ、ソ」と「シ、レ、ソ」のセット。
父親「ピアノで、左側の和音を交互に連続するのは大変だろ。だから、右側の形で演奏することもある」
父親「こんな風に、演奏の都合で転回形になることもある。こんな場合は、わざわざ「G/B」とは書かないことが多い」
父親「勿論、シをベース音にしてほしければ、わざわざ「G/B」と書く」
ハル「そういうことか」
父親。ギターを抱え、弾き始める。
ハル「ところで、ギターでワルツの曲もあるんだね」
父親「ワルツじゃないぞ」
ハル「でも、3拍子だったし」
父親「ワルツの特徴のひとつが3拍子だが、ワルツ以外でも3拍子の曲はある」
ハル「でも、テレビでは「3拍子だからワルツ」って言ってたよ」
父親「その部分だけを取り出したら誤りだが、前後関係や場面によって、正しいセリフなんだろうな」
ハル「ロックとロックンロールも、違うんでしょ」
父親「そう。ロックはこうだ」ギターで、パワーコードを多用する。
父親「これは「パワーコード」といって、和音のうち、3度音が無いコードなんだ」
ハル「え? そしたら、長和音か短和音か、わからないでしょ」
父親「そうなんだ。和音には「3度音が必要」という音楽理論があるが、音楽理論の種類によっては、別な音楽理論に反することもある」
父親。ロックンロールを弾く。
ハル「あ、これは知ってる。ロックンロールでしょ。主和音なのに、7の和音でしょ」
父親「そうだ。芸術は自由だから、セブンスなら、主和音ではないという規則は無い」
次回は …… 【エピソード 070】 演奏技術と読譜とは、別物だが。根音とベース音の誤解。分数コードの表記あれこれ。
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