【エピソード 068】 『アルルの女』の『メヌエット』が、カノン進行を使わない理由を推測。ベースのメロディ。
【前書き】
当作品は、楽典をアニメで表現することを目的としています。文字を読んでアニメを想像する手間があります。楽典以外は余談ですので、次々とストーリーが続くジャンルではありません。
なぜ記号だらけの楽譜を見て、音にできるのか?
初心者向け楽譜の謎解きエンターテインメント。
▼ 登場人物
ハル、ミッツ、ステラ、ショージ …… 同じ中学校の生徒。
ヤッ子 …… 理科教師。プライベートでジャズピアノ。
楽譜の読み方「楽典」を、アニメ脚本っぽい形で説明します。
「一方的に教えるのではなく、疑問に応える」「アニメ表現を利用」です。
オリジナル『ガクテン』または『ガクテン♪ソフト版』から、「余計な物語りは不要、要するに音楽の話だけ」の需要に応えた、楽典に特化したものです。
そのため、ドラマチックな「キャラの魅力」「ラブ要素」「ジョーク」は無くなりました。
唐突に音楽の話になる「教育アニメ(エデュテインメント)」となりましたから、ストーリーには違和感があります。
「再放送や、Blu-rayの、長期的な繰り返し需要の視点から、web小説よりも、アニメで説明したい」という気持ちが強いです。
人間ドラマも含めたもの、アニメ化に向けての自由度(情報の取捨選択、話数変更など)は、オリジナル『ガクテン』または『ガクテン♪ソフト版』を、ご覧願います。
ここでは、人間ドラマなどが無く、音楽の情報だけが、連続している。レトロSFの宇宙食のように、味気の無いものです。
◆ ご感想を頂けると嬉しく思います。ログイン不要ですので、お気楽に一言をお願いします。
◆ 「評価」はログイン必要ですが、「感想」はログインせずに、どなたでも書けます。
【エピソード 068】 『アルルの女』の『メヌエット』が、カノン進行を使わない理由を推測。ベースのメロディ。
父親「ついでに、『アルルの女』の『メヌエット』も弾いてもらうといい」
ハル「うん、よくわからないけど」
父親。五線ノートに「『アルルの女』の『メヌエット』ビゼー作曲」と書く。
父親。五線ノートに、Aメロを、かなり省略した楽譜を書く。音符の玉が無い。
ハル。笑いながら「これって、かなり省略してて、音符の玉が無いでしょ」
父親「ちゃんとした楽譜なら、多岐ちゃんが持ってるから、これで大丈夫。今は、正確なことがわからないから、こんな書き方をした」
父親「正確な音符を知らないだけでなく、お父さんはヘ音記号が苦手なんだ」
父親「でも、曲によっては「演奏者に任せる」の意味で、これが正式な場合もある」
父親「今は、玉をちゃんと書いてはいないが、和音構成音を同時ではなく、ばらして弾く方法を、アルペジオだ」
ハル「アルペジオ?」
父親「和音を、ジャラーンと演奏したり、ポロンポロンと演奏すること」楽譜の例と演奏例。ジャラーンでは、上向きと下向き。
ハル「あ、これって、アルペジオって呼ぶんだ」
父親「そう。「アルペッジョ」と書いてあったりもする。和音構成音を、同時ではなく、時間差を設けて鳴らすから「分散和音」とも呼ぶ」背景に「分散和音」と、そのフリガナ。
ハル「今まで普通にやってたことに、実は名前もあったりするんだね」
父親「時間差を設けない弾き方は、ストローク」楽譜の例と演奏例。
ハル「テレビでやったね」第7話での、スタジオ収録の場面を思い描く。
父親。第7話のことには触れない。「ストロークでも、アルペジオでも同じだが、よく使うコード進行には名前が付いていて……」
ハル「あ、音楽理論。よく使う手法には、名前が付いている」
父親「おお、すごいな」
父親。『メヌエット』の楽譜の、コード「B♭」の部分の2小節は、左手の伴奏は共にシ♭から始まっているが、レも書き加える。シ♭とレに矢印を付けて「どちらか」と記す。
父親「この曲のコード進行は、普通は「E♭→B♭→Cm」なんだ。ベース音は、根音をそのまま使った「ミ♭→シ♭→ド」だな」
父親「根音をベースに使うのが普通だから、コードネームは「B♭」だけでいい。根音以外をベースに使うなら、コード表記は「B♭/D」とか、ベース音はこれだと明示する」
父親「これを「B♭/D」にすると、ベース音は「ミ♭→レ→ド」となる。根音のシ♭の代わりにレを使う。このコード進行は「カノン進行」と呼ばれている」
ハル「うん」
父親「多岐ちゃんに、弾いてもらいなさい。それぞれ、どんな雰囲気なのか」
ハル「わかった。でも、これでわかるかな?」
父親「きっと、弾いたことがあるから、これでも伝わるよ」
ハル「そうかなあ」
父親「これで面白いのは、B♭の箇所の雰囲気が変わるのは勿論だが、次のCmの箇所の方が、雰囲気が大きく違う」
ハル「Cmは、変えていないのに?」
父親「そうなんだ。楽譜の通りに演奏すると、Cmのここが、柔らかく、しっとりした雰囲気になる」楽譜の、Cmのメロディの先頭「ミ♭」を、マルで囲む。指し棒で「柔らかく、しっとり」を書く。
父親「もし、カノン進行にすると、この部分が、淡々と曲が進んでいるような雰囲気で」
ハル「へえ、そうなんだ」
父親「不思議だろう? しかーし! ……」ちょっと偉そうに。「……この不思議な話のために、どこかに、ギターは無いかな? ああっ、偶然にも、こんなところにギターがある」
ハル「なんの茶番なのさ」
父親「ギターは、弦を直接弾くから、音色を変えるのは簡単だ。例えば、このように、どこを弾くかで音色が変わる」右手で弦を弾く位置を、ブリッジの近くか、12フレット目の近くかを変える。
ハル「あ、やっぱりそうだったんだ」
父親。ニヤリとする。「それから、爪やピックといった硬い物で弾く場合と、指先の柔らかい部分で弾く場合でも、音色が違う」指先にはめるピックを掲げる。弾き比べる。
父親「ピックでも、あちこち向きを変えて弾くと、それも音色を変える効果がある」
ハル「そうだね」
父親「しかし、ピアノで音色を変えるのは、鍵盤を叩く強さしかない。鍵盤とハンマーを介して、音を鳴らすからな」
ハル「そうなんだよね。まあ、ペダルで変えられるけど」
父親「え? ピアノって、ペダルで音色が変わるのか」
ハル「まあまあ……」話題が変わりそうなので、抑える仕草。
父親「そんなピアノなのに、曲によって音色が違って聞こえるのは、前後関係の工夫があるからだ」
ハル「ああ、なるほど、前後関係か。音符だけでなく、休符も、前後関係で印象が変わるって」
父親「本当か? 音を出しているのなら、違いがあるが、音を出さない休符でも、前後関係があるのか?」
ハル「うん」背景に、第7話での、テレビ番組の収録の場面で、休符の重要性を扱った場面を表示する。収録場面のセリフは、音声を出すか、文字で表示するか、両方にするかは、未定。
父親。気分を変えて。「そう。さっき言った、ベースの進行を「ミ♭→シ♭→ド」と「ミ♭→レ→ド」の、どっちにするかを決めて楽譜に書いたり、演奏の時に強弱をどうするか工夫したり」
ハル「ミッツが言ってた。ショパンを弾くと、下手なのにショパンっぽく聞こえるって」
父親「ショパンは、前後関係の選び方が上手なんだろうな。もちろん、前後関係だけでなく、単体での音の重ね方とか」
ハル「単体で?」
父親「ドミソの和音で、メロディがミの時、メロディ以外はどうするか」メロディとして、第1弦の開放弦を鳴らす。伴奏で、第5弦のドだけを鳴らす方法、第5弦と第2弦を鳴らす方法など、いくつか。
ハル「じゃあ、ショパンの選び方を変えたら、どうなるんだろう?」
父親「ショパンっぽさが減るだろうな。曲を演奏する時、いたずら心で、わざとちょっと変えてみるのも面白いぞ。楽譜の通りが最も良かったり、ちょっと変えた方が面白かったり。さっきの『メヌエット』のように、実験するのもいいな」
ハル「へえ……」
父親「ベースのメロディとして、根音以外に多く使われるのは、Dの時はラ、Cの時はソ、Gの時はレ。わかるか?」
ハル「えーっと、5番目」
父親「そうだ。根音の、完全5度上の音で、ベースで使うから、1オクターブか2オクターブ、低くする。まあ、基本だから、覚えておくと役立つ」
父親「あ、そうそう、忘れてた。ベース音に、根音以外の和音構成音を使うと「転回形和音」と呼ぶんだ」
ハル「根音って、コードネームの最初に書かれている音だよね」
父親「そう」
ハル「Cならそのままドが根音。Amならラが根音、F♯m7ならファ♯が根音」背景に、コードネーム。音名の箇所を強調し、指し棒でイタリア語の音名。
父親「根音以外ってことは、こういうことだ」
父親の説明に合わせ、楽譜。見ながら理解する時間が必要なので、ゆっくり説明。
次回は …… 【エピソード 069】 基本形和音、転回形和音、外ベース。転回形じゃないつもり。「3拍子だからワルツ」とは限らない。パワーコードは、3度音が無い和音。転回形和音か、外ベースか。
◆ ご感想を頂けると嬉しく思います。ログイン不要ですので、お気楽に一言をお願いします。
◆ 「評価」はログイン必要ですが、「感想」はログインせずに、どなたでも書けます。




