【エピソード 063】 「幹音」が3種類もある。短調の音階に導音の有無。覚えるのが大変だから、覚えていない。
【前書き】
当作品は、楽典をアニメで表現することを目的としています。文字を読んでアニメを想像する手間があります。楽典以外は余談ですので、次々とストーリーが続くジャンルではありません。
なぜ記号だらけの楽譜を見て、音にできるのか?
初心者向け楽譜の謎解きエンターテインメント。
▼ 登場人物
ハル、ミッツ、ステラ、ショージ …… 同じ中学校の生徒。
ヤッ子 …… 理科教師。プライベートでジャズピアノ。
楽譜の読み方「楽典」を、アニメ脚本っぽい形で説明します。
「一方的に教えるのではなく、疑問に応える」「アニメ表現を利用」です。
オリジナル『ガクテン』または『ガクテン♪ソフト版』から、「余計な物語りは不要、要するに音楽の話だけ」の需要に応えた、楽典に特化したものです。
そのため、ドラマチックな「キャラの魅力」「ラブ要素」「ジョーク」は無くなりました。
唐突に音楽の話になる「教育アニメ(エデュテインメント)」となりましたから、ストーリーには違和感があります。
「再放送や、Blu-rayの、長期的な繰り返し需要の視点から、web小説よりも、アニメで説明したい」という気持ちが強いです。
人間ドラマも含めたもの、アニメ化に向けての自由度(情報の取捨選択、話数変更など)は、オリジナル『ガクテン』または『ガクテン♪ソフト版』を、ご覧願います。
ここでは、人間ドラマなどが無く、音楽の情報だけが、連続している。レトロSFの宇宙食のように、味気の無いものです。
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【エピソード 063】 「幹音」が3種類もある。短調の音階に導音の有無。覚えるのが大変だから、覚えていない。
■ 第11話。
放課後。音楽室。
ハル「ヤッ子先生、今日の授業で、時代によって、科学の基準があれこれって言ってましたが、音楽でもそうですか?」
ヤッ子「ああ、そうだな。科学と音楽の、どっちが多いかは、数えてはいないが」
ハル「例えば?」
ヤッ子「そんな、いきなり言われても、思い出せないぞ」
ハル「ですよねー」
ヤッ子「早坂君は、工作が好きなら、レモン電池を作ったりしないのか?」
ハル「本当は、謎が好きなんです、謎解きです。謎解きから派生して、カラクリがわかったら再現する工作や、手品や推理小説、オカルト、あ、それから楽典も」背景に「謎」「謎解き」「派生」「再現」などの文字が、ポンポンと表示。
ヤッ子。ハルの言葉の途中に割り込む。「派生音!」
ハル「え?」
ヤッ子「ああ、済まない。早坂君が「派生して」と言ったもんだから、「派生音」を思い出してな。悪かった」
ハル「派生音って、何ですか?」
ヤッ子「派生音の話題になっていいか?」
ハル「お願いします」
ヤッ子。ピアノの鍵盤をなでる。「これらの鍵盤のうち、主要となるものを「幹音」、それ以外の全部を「派生音」と呼ぶ」
ヤッ子「「幹(かん)」は、「新幹線」「幹線道路」「木の幹」などだな。それを基準に枝分かれしたのが「派生」だ」
ヤッ子「しかし、幹音の基準が、時代によって3種類あるんだ」背景に「幹音」「派生音」と、そのフリガナ。
ハル「3種類も?」
ヤッ子「最初は、ここ」中央ドを鳴らす。「中央ドからの1オクターブの白鍵が幹音だっだ。次に、白鍵を幹音と呼ぶようになった」
ハル「そんな呼び方じゃなく、「白鍵」でいいんじゃないですか?」
ヤッ子「私もそう思う。その後、そうだ、あの音階スライドがあったな。あれで音階に選ばれた音を幹音と呼ぶようになった」
ハル「それだったら、「音階」でいいんじゃないですか?」
ヤッ子「まあ、より相応しい基準を採用したり、これまでに無い言葉を作って、その言葉を知っている者を仲間としたいのか、知っていることを自慢したいのか、そんな人は、昔からいたんだろうな」
ヤッ子「そうそう、音階で選ばれた音だけで作られた和音は、「ダイアトニックコード」と言って、よく使う」黒板に3和音を7つ。
ヤッ子「これは、ハ長調の例だが、調が違えば、つまり、音階スライドを合わせる位置を変えると、こうなる」黒板に、変ホ長調も書く。
ハル「ヤッ子先生は、魔法使いのように、あっという間に楽譜を書けるんですね。訓練したんですか?」
ヤッ子「まあ、なぜなのかは、触れないでおこう」
ヤッ子「このうち、ローマ数字の1、4、5が付くものは、特によく使うから「主要三和音」と呼ばれている」ハ長調と変ホ長調で、主要三和音を四角く囲む。
ヤッ子「音階の、音符の玉1つなら、それぞれ「主音」「下属音」「属音」で、それを根音とした和音は「主和音」「下属和音」「属和音」だ」
ハル「第6話で、ロックンロールの、スリーコードの話で教えてくれたものですね」
ヤッ子「そうだ」
ヤッ子「ついでに言えば、主和音は「トニック」、下属和音は「サブドミナント」、属和音は「ドミナント」という呼び方もあるぞ」
ハル「「よく使われる」っていうのは、助かります。ペンタトニックもそうでした」
ヤッ子「そうか。主要三和音は、音階だけと言ったが、短調ではシャープやナチュラルが付く」イ短調の主要三和音。ハ短調の主要三和音。
ハル「本当に、書くのが早いですね」
ヤッ子。素早く書いてくれた妖精ちゃんに向かって。「良かったな、お前たちのお陰だ。ありがとう」
妖精達。喜びの声。
ハル「そっちは、シャープではなく、ナチュラルですか?」
ヤッ子「ああ、そうだな。正しくは、調号の♭を半音上げるから、ナチュラルになったんだ。こうすることで導音になり、属和音には導音を含むってことだ」
背景に「半音」と、そのフリガナと、「ギターでもピアノでも、隣の音」の説明。画像で、ギターの隣のフレット。ピアノでは、「ミ、ファ」と「ソ♯、ラ」に「隣だから、半音の関係」と示す。
ヤッ子「早坂君、第1話の君のアイディアの、鍵盤の手前を隠して、奥側だけが見える状態での、隣の関係が「半音」だ。主音の、半音下の音が、「導音」だ」
背景に、鍵盤の手前側を紙で隠して、白鍵と黒鍵が、白と黒の縞模様に見えるようにする。
ハル「導音って?」
ヤッ子「ああ、実は、音階スライドで選ばれた音には、ひとつひとつに名前があるんだ。「主音」や「属音」だけでなく」
ハル「そうなんですか?! 何だか、覚えるのが多くて、大変だな」
ヤッ子「私もそう思う。だから、覚えていない」
ハル「いえいえ、ヤッ子先生は、覚えているでしょう」
ヤッ子「実は、資料を見て、何度か覚えようとしたが、会話で使うことが無いから、忘れてしまう」
ハル「つまり、覚えていても、得にはならない?」
ヤッ子「これは、私の欠点でもあり、教え方、話し方の特徴だが、早坂君が相手だから、このような順番にしている。まずは驚かせて、続けて「実はこうなんだ」と話す」
ハル「え?」
ヤッ子「つまり、私の音楽活動の中では、会話で使っていないから、忘れるということだ。「万人にとって、無用だ」ということではない」
ハル「はい」
ヤッ子「早坂君にとって、今後、有用になることもある。最初に「覚えていない」と言い、早坂君を驚かせる。早坂君が「なぜだろう?」と、理由の候補を思い付く。そこで、改めて答えを言う。このような順番だ」
ハル「あっ、そうなんですね。納得しました。順番が面白いです」
ヤッ子「そこでだ、音階スライドで選ばれた音のうち、「主音」「属音」「下属音」は、これまで何度も話題になったな。いよいよ「導音」の話だ。私が覚えているのは、これで終わりだ」
ハル「さっき、びっくりして、気が重くなったのに、あっという間に軽くなりました。銭湯の熱いお湯から出て、コーヒー牛乳を飲んだような、心地好さです」
ヤッ子「ハハハ。さて、「導音」だが、これは主音の半音下だ。主音に上がろうとする使い方が多い、主音に導くから、この名になったそうだ」
ヤッ子「音階スライドで、主音の左隣が導音だ。長調なら「ド」の左隣の「シ」が、短調なら「ラ」の左隣の「ソ♯」が導音だな」
ヤッ子「無論、「導音」と名があっても、他の音と同じように、普通にメロディに使うことも多い。しかし、わざわざ「何か、特徴的な」を見付けて、「導音」とした」
ヤッ子「音階スライドを見たまえ。短調の主音のラの、半音下の音は、音階に選ばれていないだろう」
ハル「そうですね」
ヤッ子「だから、音階スライドのソの代わりに、ソ♯なら良さそうだとなった。すると、ファとソ♯が離れてしまうので、ついでに、ファにも♯を付けた」
次回は …… 【エピソード 064】 短調の音階スライド。転調は何が変わるか。「主音の音名が変わる」か「長調と短調が入れ替わる」の、どちらで転調。音階スライドの位置か、短調と長調の音階スライドを交換で転調。
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