【エピソード 062】 クラシック曲の楽譜にも、実は誤りがある。全休符だけは、縦を揃えない書き方。『月の光』のメロディをグラスハープで。「ウンポーコ・モッソ」で、ミッツが大きな失笑。エスパー?
【前書き】
当作品は、楽典をアニメで表現することを目的としています。文字を読んでアニメを想像する手間があります。楽典以外は余談ですので、次々とストーリーが続くジャンルではありません。
なぜ記号だらけの楽譜を見て、音にできるのか?
初心者向け楽譜の謎解きエンターテインメント。
▼ 登場人物
ハル、ミッツ、ステラ、ショージ …… 同じ中学校の生徒。
ヤッ子 …… 理科教師。プライベートでジャズピアノ。
楽譜の読み方「楽典」を、アニメ脚本っぽい形で説明します。
「一方的に教えるのではなく、疑問に応える」「アニメ表現を利用」です。
オリジナル『ガクテン』または『ガクテン♪ソフト版』から、「余計な物語りは不要、要するに音楽の話だけ」の需要に応えた、楽典に特化したものです。
そのため、ドラマチックな「キャラの魅力」「ラブ要素」「ジョーク」は無くなりました。
唐突に音楽の話になる「教育アニメ(エデュテインメント)」となりましたから、ストーリーには違和感があります。
「再放送や、Blu-rayの、長期的な繰り返し需要の視点から、web小説よりも、アニメで説明したい」という気持ちが強いです。
人間ドラマも含めたもの、アニメ化に向けての自由度(情報の取捨選択、話数変更など)は、オリジナル『ガクテン』または『ガクテン♪ソフト版』を、ご覧願います。
ここでは、人間ドラマなどが無く、音楽の情報だけが、連続している。レトロSFの宇宙食のように、味気の無いものです。
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【エピソード 062】 クラシック曲の楽譜にも、実は誤りがある。全休符だけは、縦を揃えない書き方。『月の光』のメロディをグラスハープで。「ウンポーコ・モッソ」で、ミッツが大きな失笑。エスパー?
ヤッ子「同じタイミングで、縦を揃えるのが正しいが、全休符だけは例外だ」
ハル「全休符って、使い方がおかしいですよね」
ヤッ子「全休符がおかしいことに、気付いたか、さすがだな。全休符は、何拍子の小節であっても「この小節の全体が休み」にも使われて、その場合だけは例外的に、小節の横幅の中央に書かれる」
ハル「全休符は、小節の中央に書くのに、全音符は他の楽器と揃えるんですよね」背景に、3段の楽譜。1段目は全休符。2段目は全音符。3段目は4分音符が4つ。全音符は、1拍目の4分音符と縦が揃っているが、全休符は小節の中央にある。
ハル「全休符は除いて、オーケストラの楽譜も、全部の楽器で縦が揃っているんですか?」
ヤッ子「そうなのだ。楽譜浄書に、コンピュータが使われていなかった時代からそうだった」背景に「浄書」と、そのフリガナ。説明で「とてもきれいに楽譜を書くこと」を添える。
ヤッ子「ただし、これは推測だが、流行歌ではなく、クラシックのように販売期間が長いものだからなのだろう」
ハル「じゃあ、クラシック曲の楽譜は、誤りは無いんですか?」
ヤッ子「実は、あるんだ」
ハル「以前、話を聞いた、ドビュッシーの『月の光』の、連符の誤り以外にも、ありますか?」背景に、第8話の、連符のギュウ詰めを思い出すものを表示。
ヤッ子「珍しいと思うか、意外と多いと思うかは、人によるのだろうが、それなりに、見付かる。クラシックの分野で、楽器を続けている人に聞いてみると、参考になるかもな」
ハル「そうですか。例えば、どんな誤りがありますか?」
ヤッ子「例に出したら、出版社に対するクレームになるから、例は出さないでおこう」
ハル「え? 『月の光』は教えてくれたでしょ?」
ヤッ子「『月の光』は、昔からの誤りが引き継がれているから、どの出版社も同じだ。しかし、出版社の個別の誤りもあるから、ここでの紹介は望ましくない」
ハル「個別の誤りですか」
ヤッ子「楽譜の作成は、永く手作業の時代だったから、確認漏れを完全に無くすことは、難しい。出版社も、誤りを認知しておきながら、修正が難しい事情もあるだろうから、アニメで挙げるようなものではないだろう」
ハル「お願い、教えてください」
ヤッ子「もう、早坂君は、知りたがりだなあ。じゃあ、こっそり教えよう」
ヤッ子。画面に向かって。「早坂君は、余談が好きな性格だから、知りたがっているのだよ」
ハルとヤッ子が、こちらに背を向け、内緒話。
ヤッ子「ここは、和音の流れから、ここは「レ♭」ではなく、「シ♭」が正しい」
ヤッ子「ここの繰り返しの1番かっこは、1小節多い。オーケストラを聞きながら、この楽譜を読むと、この誤りがわかる」
ミッツ。待ちくたびれている。「ねえ、ピアノを弾いていいかなあ」
ハル「あ、ごめん。『月の光』だったよな」
ハル。思い出したように。「そういえば、AさんとBさん」ピアノの譜面台から、『月の光』の楽譜を取る。
ミッツ。不機嫌。
ハル。ヤッ子に向かって、楽譜を指す。「これって、右手だけで、AさんとBさんの演奏ですよね。この「ウンポーコ・モッソ」から」
ミッツ。こらえきれず、大きな笑い声が破裂する。「ぶはっ!」
ヤッ子「どれどれ? ああ、そうだな」
ハル「ここ、BさんがAさんを邪魔しているようですが」
ヤッ子「そうなんだ。Bさんの最後の音と、Aさんの次の音が同じだから、邪魔になるんだな」
画面に楽譜を表示する。右手だけのAさん、左手から右手に渡されるBさん、左手だけのCさんを色分けし、指し棒で「Aさん」「Bさん」「Cさん」を示す。
ヤッ子「しかも、このテンポで、左手がこの跳躍をするのは、ああ、跳躍というのは、遠い距離にジャンプするのを、音楽では跳躍と言うのだが」
ハル「はい」
ヤッ子「この跳躍は無理だから、左手のBさんの最後の音符は、右手で鳴らして、続けてAさんの最初の音も右手だ。右手が同じ鍵盤を連打する演奏になる。これを、演奏で「違う声部だ」と表現するのは難しい」
ミッツ「それって、暗にあたしのピアノが下手だってこと?」
ハル「そう、聞こえたのか」
ヤッ子「この曲は、そんな曲だからって言ってしまえばそれまでだが、工夫することもできるな」
ハル「工夫って?」
ヤッ子「メロディが明確になるように強くする。または、メロディを別な楽器で演奏する」
ミッツ「別な楽器って、ずるい!」
ヤッ子「ずるいって……」
ミッツ「じゃあ、あたしがこれまで頑張って来たのが、無駄っていうこと?」
ヤッ子「そんな風に考えるのは勝手だが、他人の工夫を「ずるい」と言うのは気を付けたいな、芸術なんだから」
ミッツ。静かに「はーい」
ハル「静かな曲だから、静かな笛みたいな音色がいいかな」
ミッツ「笛?」
ハル「なんていうか、こう、ほわほわーんっていう」
ミッツ「コップの縁をこするような」
ハル「コップの縁?」
ミッツ「ほら、ずっと前、ウチでやったじゃない、台所で。コップを洗ってて、ハルがやったじゃない」
ハル「ああ、あれか」
ヤッ子「何の話だ?」
ミッツ「ハルが、コップをおもちゃにして、面白い音を鳴らしたんです。コップを水に浸して、濡れたコップの縁を指で、こう、くるくると」指を動かして表す。
ヤッ子「それは、グラスハープだな。楽器だぞ」
ハル「楽器なんですか?」
ヤッ子「楽器だ。ワイングラスをいくつもテーブルに置いて演奏することもあるし、機械化しているものもある」
ハル「機械化?」
ヤッ子「自転車のベルのようなドーム型のガラスが、大小たくさん重なるように並んで、串刺しになっている。「横向きに積み重なっている」とでも、言おうか。その串が電動で回転して……」思い描く様子。
ヤッ子「うーん、言葉で説明するのが難しいので、絵に描こうか」黒板に向かう。
ミッツ。ヤッ子が描き始めたところで「あ、そんな形ななんだー」
ヤッ子「どうして、私が思い描いた形がわかるんだ! ……」振り返って「……さては貴様、エスパーだな」
ミッツ。ハルがスマホで検索した画像を見ている。
ヤッ子。脱力し、スマホを見て。「エスパーの道具」
ハル「グラスハープって、傾けたりすると、音の高さが変わりました。そんな仕掛けは無いんですか?」
ヤッ子「あるかどうかは知らないな。グラスハープで『月の光』のメロディ担当か。それもいいな」
次回は …… 【エピソード 063】 「幹音」が3種類もある。短調の音階に導音の有無。覚えるのが大変だから、覚えていない。
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