【エピソード 061】 2段の楽譜で、手拍子のタイミング位置が、ずれて書かれている。ポリリズムの種類によっては、2段の楽譜で拍子記号が違う。
【前書き】
当作品は、楽典をアニメで表現することを目的としています。文字を読んでアニメを想像する手間があります。楽典以外は余談ですので、次々とストーリーが続くジャンルではありません。
なぜ記号だらけの楽譜を見て、音にできるのか?
初心者向け楽譜の謎解きエンターテインメント。
▼ 登場人物
ハル、ミッツ、ステラ、ショージ …… 同じ中学校の生徒。
ヤッ子 …… 理科教師。プライベートでジャズピアノ。
楽譜の読み方「楽典」を、アニメ脚本っぽい形で説明します。
「一方的に教えるのではなく、疑問に応える」「アニメ表現を利用」です。
オリジナル『ガクテン』または『ガクテン♪ソフト版』から、「余計な物語りは不要、要するに音楽の話だけ」の需要に応えた、楽典に特化したものです。
そのため、ドラマチックな「キャラの魅力」「ラブ要素」「ジョーク」は無くなりました。
唐突に音楽の話になる「教育アニメ(エデュテインメント)」となりましたから、ストーリーには違和感があります。
「再放送や、Blu-rayの、長期的な繰り返し需要の視点から、web小説よりも、アニメで説明したい」という気持ちが強いです。
人間ドラマも含めたもの、アニメ化に向けての自由度(情報の取捨選択、話数変更など)は、オリジナル『ガクテン』または『ガクテン♪ソフト版』を、ご覧願います。
ここでは、人間ドラマなどが無く、音楽の情報だけが、連続している。レトロSFの宇宙食のように、味気の無いものです。
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【エピソード 061】 2段の楽譜で、手拍子のタイミング位置が、ずれて書かれている。ポリリズムの種類によっては、2段の楽譜で拍子記号が違う。
ヤッ子が入って来る。
ハル「ヤッ子先生に見てほしい楽譜があるんです」ポケットから、コピー1枚の楽譜を出す。
ハル「これって、間違いですか? 父が、中学生の頃に先輩からもらったという楽譜なんですが」
見せた楽譜は、市販の流行歌の楽譜集の1ページ。歌とギター伴奏の2段。タイトルなどは活字だが、楽譜部分は手書き原稿から作成したらしい。
ハル「歌とギターで、タイミングが合っていないんですが」
下段のギターは、8分音符が8つのアルペジオ。上段の歌は、16分音符が8つ、続けて2分音符が1つ。
下段は1小節の横幅を、8等分したような書き方。上段は、16分音符が密集しているので、横幅の半分を超過している。そのため、2分音符の位置が、小節の横幅の半分よりも、右に押されてずれている。
このため、上段の2分音符の位置は、下段と比較し、右にずれている。
ヤッ子「これは、許容しよう。この時代の手書きであり、廉価ということで」
ヤッ子「本来なら、歌とギターに限らず、オーケストラのスコアでも、同時であれば、縦を揃えるのが正しい」
ヤッ子「揃えるのは、手拍子のタイミングだけでなく、音符なら「音が鳴り始める瞬間」、休符なら「音を止め始める瞬間」、どちらにしても、同時であれば、楽譜では縦を揃えて書く。無論、下書きならば、その限りではない」
ヤッ子「合奏では、全員が手拍子を合わせるのが大前提だ。手拍子を合わせるというのは、楽譜では、全員分の楽譜が、同じ進み具合をする。手拍子だけでなく、音符も休符もだ」
ヤッ子。黒板に楽譜を書く。上半分には、ハルが持参したずれた楽譜を模写。下半分には、その楽譜を縦に揃えたもの。縦に揃えた方は、16分音符が密集した部分は横幅がやや広く、2分音符の部分はやや狭い。
黒板の上方と下方の2つの楽譜は、共に1小節だけ。小節の横幅は同じ。
ミッツ。下方の楽譜を指して。「そうなんですよね。1小節の中で、横幅が変わることがあるんですよね」
ハル「横幅が変わる?」
ミッツ。上方の楽譜の下段の、8分音符が8つある箇所を、指でまるく指す。「ハルが持ってきた楽譜では、ここが、小節の横幅を、8等分するようになっているよね」
ハル「そうだな。細かいことを言うと、余白があるから、数学の図形としての「正確な8等分」ではなく、等間隔に8分音符が並んでいるな」
ミッツ。下方の楽譜の下段の、8分音符が8つある箇所を、指でまるく指す。「でも、こっちは等間隔じゃないでしょ」
ハル「確かにそうだな。第2話では、音符が多い小節は横幅が広く、音符が少ない小節は横幅が狭いと言っていた。1つの小節の中でも、横幅は自由なのか」
第2話で話していた楽譜の例を表示する。16分音符が16個の小節は横幅が広い。全音符だけの小節は横幅が狭い。
ミッツ「そう。こっち、下の楽譜は、左半分と右半分で、間隔は違うけど、上段と下段、歌とギターでは、同時」
ハル「同時に鳴る音は、縦を揃えて書くのが、大前提か」
ヤッ子「その通りだ。では、進み具合が、どう違うのか、色を付けると、わかりやすい」
何度か、演奏を繰り返す。演奏の音と、楽譜の進み具合を、黒板に書いた五線の小節の長方形の、色が変わる方法で表示。
色が変わりながら、下段のギターのアルペジオの、8分音符の位置を色の変化が通過する時、細い縦線が置かれる。これにより、「時間の等間隔」と「音符のバラバラの間隔」が示される。
ハルが持参した楽譜では、16分音符が密集している上段では色の変わり具合は速いが、8分音符で等分された下段では遅い。これにより、「同時に」が崩れていることを、視覚的に表す。
ヤッ子。何度かの演奏のうち、色の進み具合の違いを説明する。「ホラ、ここ、ここで、進み具合がずれる。わかるか? ここ、今、ここだ」
ハル「ヤッ子先生。ちょっと邪魔です」
ヤッ子。静かになる。その後、繰り返し演奏を何度か行い、演奏を終える。
ハル「僕が持って来た楽譜が、いつの時代のものか、わかりませんが、廉価ということもあって、誤りに気付かなかった振りをします」
ヤッ子「楽器によって拍子が異なる曲もあるから、その楽譜は「おかしい」と思われそうな書き方をしている。しかし、そのような特殊な曲の場合、「同時の音符や休符は、縦を揃えて書く」を、とても気を付けているのだろうと、私は推測する」
ミッツ「拍子が異なるって、『カエルの合唱』が、4拍子だったり、2拍子だったり、いくつもの版があるっていう話ですか?」
ヤッ子「その話ではないんだ。最初から、合奏のAさんは4拍子、Bさんは3拍子で演奏するように、書かれている」
ハル「3連符ではなく?」
ヤッ子「3連符が含まれていても、拍子は同じだ。拍子が違うと、小節線が、AさんとBさんで違うんだ」
ミッツ。大きく驚く。「そんな楽譜は、演奏できないでしょう」
ヤッ子「ジャンルの名前で、「ポリリズム」などを調べると良いだろう」黒板に、「4/4拍子」と「3/4拍子」の2段が、同時に演奏する楽譜を書く。
ヤッ子「ポリリズムだけでも、いくつもの種類がある。定義や名前は、誰かが勝手に決めて、普及するが、知りたくなった時に、知ればいいだろう」
ヤッ子「ほら、小節線がずれているが、同時に鳴らす音符は、縦を揃えているだろう。それから、既に話したが、複数の五線があれば、五線の左端が縦線で繋げられていれば、同時に演奏する」
ヤッ子の書いた2段の楽譜の左端は、カッコでまとめられていない。
ミッツ「本当ですね」
ハル「それって、こんな書き方をしませんか?」黒板に「4/4拍子」の楽譜に、8分音符3つを符桁で纏めたセットを書く。小節を跨る符桁もある。
ヤッ子「そうだ。代表となる拍子を、拍子記号で表して、それ以外の拍子を書くこともある。早坂君の書き方以外には、このような書き方のものもある」
ヤッ子。ハルと同じ楽譜で、符桁の繋げ方が違う、いくつかを書く。
ミッツ「ハルのお父さんも、第7話で言ってたでしょ、「読めるから、まあいっか」って」ここで、第7話のテレビ番組のスタジオ収録の場面を表示しても良い。
次回は …… 【エピソード 062】 クラシック曲の楽譜にも、実は誤りがある。全休符だけは、縦を揃えない書き方。『月の光』のメロディをグラスハープで。「ウンポーコ・モッソ」で、ミッツが大きな失笑。エスパー?
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