【エピソード 056】 ダブルシャープとダブルフラットが使われる理由。臨時記号の有効範囲。「全音階的半音」と「半音階的半音」。
【前書き】
当作品は、楽典をアニメで表現することを目的としています。文字を読んでアニメを想像する手間があります。楽典以外は余談ですので、次々とストーリーが続くジャンルではありません。
なぜ記号だらけの楽譜を見て、音にできるのか?
初心者向け楽譜の謎解きエンターテインメント。
▼ 登場人物
ハル、ミッツ、ステラ、ショージ …… 同じ中学校の生徒。
ヤッ子 …… 理科教師。プライベートでジャズピアノ。
楽譜の読み方「楽典」を、アニメ脚本っぽい形で説明します。
「一方的に教えるのではなく、疑問に応える」「アニメ表現を利用」です。
オリジナル『ガクテン』または『ガクテン♪ソフト版』から、「余計な物語りは不要、要するに音楽の話だけ」の需要に応えた、楽典に特化したものです。
そのため、ドラマチックな「キャラの魅力」「ラブ要素」「ジョーク」は無くなりました。
唐突に音楽の話になる「教育アニメ(エデュテインメント)」となりましたから、ストーリーには違和感があります。
「再放送や、Blu-rayの、長期的な繰り返し需要の視点から、web小説よりも、アニメで説明したい」という気持ちが強いです。
人間ドラマも含めたもの、アニメ化に向けての自由度(情報の取捨選択、話数変更など)は、オリジナル『ガクテン』または『ガクテン♪ソフト版』を、ご覧願います。
ここでは、人間ドラマなどが無く、音楽の情報だけが、連続している。レトロSFの宇宙食のように、味気の無いものです。
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【エピソード 056】 ダブルシャープとダブルフラットが使われる理由。臨時記号の有効範囲。「全音階的半音」と「半音階的半音」。
ヤッ子「「ミ♯」の話のついでに言っておくが、臨時記号があるか無いかの違いで、半音は2種類ある」
ミッツ「あ……」
ヤッ子「どうした?」
ミッツ「その話、あたしにさせてください」第2話で、言おうかと迷って、言わずにいた場面と、文字の「半音階的半音」「全音階的半音」が表示される。
ヤッ子「いいぞ」嬉しそうに微笑む。
ミッツ「ハル、音階スライドを持っていたでしょ」
ハル「ああ」
ミッツ「あれは、調号に合わせて、使う鍵盤を選んでいるよね」
ハル「ああ」
ミッツ「音階スライドに選ばれた鍵盤の中で、隣同士の半音があるよね」
ハル「ああ」
ミッツ「音階スライドに選ばれていないところでも、半音の関係があるよね」
ハル「ああ」これまで、知っていることの確認が続いたので、少し苛立っている。
ミッツ「調号に逆らった鍵盤を鳴らすには、音符に♯や♭やナチュラルを付けて、半音の関係にすることがあるよね」
ハル「何が言いたいんだ?」
ミッツ「つまり、音符に臨時記号を付けない半音と、臨時記号を付けた半音は、違うってこと」
ハル。がっかりする。「どっちにしても、半音だろ? 何が違うんだ」
ミッツ「それはぁ……」答えに窮する。
ヤッ子「雰囲気が違う」
ミッツ「そう、雰囲気が違う。音階スライドの鍵盤だけを使ったら、シンプルというか、素直というか、そんなメロディだけど、臨時記号を使ったら、洒落た雰囲気になる」
ハル「そういうことがあるのは、知っている」
ミッツ「洒落た雰囲気にならないこともあるけどね」
ハル「それも知ってる。『森の熊さん』は、「ソ、ファ♯、ソ、ミ」「ミ、レ♯、ミ、ド」があるけど、洒落た雰囲気ではない。むしろ、臨時記号を使わないと、違和感がある」
ヤッ子「その、違和感の有無も含めて、音階スライドで選ばれた鍵盤での半音は「全音階的半音」で、音階スライドで選ばれなかった鍵盤を使えば「半音階的半音」だ」
ミッツ「そう、名前が違う」
ヤッ子「作曲する時に臨時記号を使おうかと判断する選択肢に含めたり、洒落た雰囲気の曲を聞いて「和音を工夫している」と思ったりする」
ハル「ああ、そうですね」
ミッツ「名前を知っていると、会話で役立つこともあるよ」
ヤッ子。ミッツに向かって。「あれこれ、有用なこともあるが、紹介するだけでいいだろう」
ミッツ「そうですね」
ハル「それから、×マークは何ですか? 弾いちゃいけないんですか?」
ヤッ子「どれどれ」ハルが、2種類の×を指す。
ヤッ子「ああ、これか」黒板に、「ラ、ド、ミ」の玉を、2セット書く。左側のセットのドには♯を付ける。左のセットには、コードネーム「A」を書く。右のセットには、コードネーム「A♯」を書く。
ヤッ子「蜜霧君、度々で悪いが、今度はこれを頼む」左側のセットの「ラ、ド♯、ミ」を指す。
ミッツ。弾く。
ヤッ子「ありがとう。早坂君、今、弾いてくれたのがこれだ。コードの「A」だ。「A」の仲間には、この3つの玉に、♯や♭を、付けたり付けなかったりする」
ヤッ子「では、さっきと同じように、全体を高くする「A♯」というコードでは、どのようにする?」右側のセットを指す。
ハル。ラとミには♯を書く。「ヤッ子先生、ドの、「♯の♯」は、どうするんですか?」
ヤッ子「ここで必要なのが「ダブルシャープ」だ」ダブルシャープを書く。
ハル「あっ、この×は「♯の♯」なんですか。それで、ええーっと、鍵盤ではレですか?」
ヤッ子「その通り、レの鍵盤だが、「ドのダブルシャープ」としたいのだよ」
ミッツ。コードAとA♯を、交互に弾く。ハルが手を見る。
ハル「本当だ、レの鍵盤だ」
ヤッ子「ついでに、ダブルフラットも教えよう。コードの「Gm」と「G♭m」だ」黒板に、コードGmとG♭mの玉と、コードネームを書く。
ミッツ。コードGmとG♭mを、交互に弾く。ハルが手を見る。
ヤッ子「このように、調号で指定した♯や♭に逆らって、特別に玉に付ける♯や♭は、「臨時記号」と呼ぶ」
ハル「臨時記号ですか」
ヤッ子「臨時なので、効果は限定的だ」
▼ 場面変更
先生ちゃん。ガーシュウィン。『ラプソディー・イン・ブルー』を弾きながら登場。
説明用の別世界。背景は無地。
ガーシュウィンの先生が重複しているので、別な人が良さそう。ただし、「ソ♯、レ、ソナチュラル」のような、オクターブ違いで臨時記号の有無が違う曲に縁のある人が良い。
先生「ジャズでも、飾りのために、装飾音符と臨時記号が多いんだな。ショパンと僕、どちらが、装飾音符と臨時記号をたくさん使っているんだか」
先生「臨時記号の有効範囲は、この3種類」
先生「1つ。新しい臨時記号が書かれる直前まで」楽譜を表示する。ソばかり。途中から、ソ♯、ソナチュラル、ソ♭、ソ♯。新しい臨時記号が出るまでという範囲を表す。
先生「2つ。オクターブ違いではない、同じ高さの音符であること」楽譜。ソのオクターブ違いで交互に。下のソの途中からソ♯になる。上のソは♯が無効。
先生「3つ。同じ小節であること。タイで繋がっていたら、弾き直さないから、小節をいくつ跨ってもそのまま有効」楽譜。8分音符で、4つのソ。途中からソ♯になり、次の小節にもソがある。有効範囲を色分け。次の小節は、♯が無効。
楽譜。タイの説明で「タイで繋がっていたら、弾き直さない」を添える。タイで繋がった後ろの方の玉には、♯を書かなくても、♯が付いたままとなる。
先生「と、まあ、こんな具合なんだな」
小節を跨った、♯が付いたタイの説明「小節を跨っても、タイで繋がっていたら弾き直さないから、♯もそのまま有効」「その次のソは、小節を跨った意味になるので無効。必要なら、改めて♯を書く」。
先生「このように言ったら、「臨時記号は、♯か♭の、どちらか」と思われそうだけど、正しくは「調号以外の音を出す」なんだ」
先生「調号で、シに♭が付いていれば、白鍵のシを鳴らすために、臨時記号でナチュラルを使う。白鍵なのに、臨時記号だから、有効範囲のルールは、さっきと同じだよ」
先生「ただし、念のために、余計に臨時記号を書いたり、余計に調号の記号を書くことはあるんだ」楽譜。「ソ♯、レ、ソナチュラル」の和音。
先生「この場合、上のソはナチュラルだから、わざわざ書かなくてもいい。だけど、楽譜を読んだ人が「あ、ここに♯を書き忘れている」と勘違いしないように、念のために書くと親切なんだな」
先生「あ、それから、♯やら♭やら、調号やら臨時記号やら、ごちゃごちゃしているけど、ナチュラルは必ず白鍵なんだな、これが」ガーシュウィンのウインク。
先生が、ショパンでも良い。『小犬のワルツ』では、調号でソ♭。右手はメロディでソナチュラル。同時に鳴る左手は和音でソ♭。
先生が、ヨハン・シュトラウス2世でも良い。『春の声』では、調号でミ♭。右手はメロディでミナチュラル。同時に鳴る左手は和音でミ♭。
できれば、1つの和音だけで臨時記号の有無の違いの例が欲しい。
次回は …… 【エピソード 057】 それを思い出せるのは、ナイスなことだぞ。念のために、余計に臨時記号を書いたり、書かなかったりの、『ワルツ』(作品64-2。ショパン)の例。
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