【エピソード 049】 『月の光』タイが、全音符と同じなのは偶然。AさんとBさんの声部で見やすく。連符はギュウ詰め。ミッツが7等分ができるのは。
【前書き】
当作品は、楽典をアニメで表現することを目的としています。文字を読んでアニメを想像する手間があります。楽典以外は余談ですので、次々とストーリーが続くジャンルではありません。
なぜ記号だらけの楽譜を見て、音にできるのか?
初心者向け楽譜の謎解きエンターテインメント。
▼ 登場人物
ハル、ミッツ、ステラ、ショージ …… 同じ中学校の生徒。
ヤッ子 …… 理科教師。プライベートでジャズピアノ。
楽譜の読み方「楽典」を、アニメ脚本っぽい形で説明します。
「一方的に教えるのではなく、疑問に応える」「アニメ表現を利用」です。
オリジナル『ガクテン』または『ガクテン♪ソフト版』から、「余計な物語りは不要、要するに音楽の話だけ」の需要に応えた、楽典に特化したものです。
そのため、ドラマチックな「キャラの魅力」「ラブ要素」「ジョーク」は無くなりました。
唐突に音楽の話になる「教育アニメ(エデュテインメント)」となりましたから、ストーリーには違和感があります。
「再放送や、Blu-rayの、長期的な繰り返し需要の視点から、web小説よりも、アニメで説明したい」という気持ちが強いです。
人間ドラマも含めたもの、アニメ化に向けての自由度(情報の取捨選択、話数変更など)は、オリジナル『ガクテン』または『ガクテン♪ソフト版』を、ご覧願います。
ここでは、人間ドラマなどが無く、音楽の情報だけが、連続している。レトロSFの宇宙食のように、味気の無いものです。
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【エピソード 049】 『月の光』タイが、全音符と同じなのは偶然。AさんとBさんの声部で見やすく。連符はギュウ詰め。ミッツが7等分ができるのは。
ハル。話が落ち着いたので、改めて楽譜を見る。
ハル「あれ? これって、全音符じゃないのか?」10小節目を指す。
ショージ「全音符?」
ハル「これ、左手の音……価? 4分音符と、付点2分音符を足したら、全音符と同じ時間だよな。全音符の方がシンプルなのに、どうして、わざわざ分けて、タイで繋げるんだ?」
ヤッ子。期待で微笑んでいる。心の声。「(さすが早坂君、よく気付いたな。でも、あれとあれは、気付くかな?)」
ショージ「ステラちゃん、来てごらん。ここ、全音符と同じ音価なのに、どうして分けているの?」
ステラ「え? だって、上に合わせたから?」
ショージ「素晴らしい、エクセレント、ブリリアント、ヘモグロビン」各単語は、不格好な発音で、最後から2番目の文字(または音)にアクセントを付けて、少し伸ばす。「ブリリあーーント」のように。
ピアノの椅子にはミッツ、右隣にはハル。ミッツの左後ろにはショージとステラ。ショージは楽譜に腕を伸ばす。4人で混雑しているので、ヤッ子は楽譜が見えない位置で微笑んでいる。
ヤッ子「そう、この曲は、「9/8拍子」で、手拍子はこうなる」
ヤッ子。手拍子。8分音符が3つずつ、わかりやすいアクセントあり。声で数えながら、「9」まで数えて、2小節分。声で数える時、1から9の数字の表示が、色変わり(1、4、7が別な色)するのも良い。
ショージ。黒板に、手拍子の楽譜を書く。左端には拍子記号も書く。8分音符3つを符桁で繋げたものを、3セット。
第2話と同様に、拍子記号の「8」と「9」を、手拍子の音符と連携する線と、説明の文字も添える。妖精ちゃんが手助けしても良い。
ヤッ子「棒が上向きと下向きで、手拍子の区切りが紛らわしくなるなら、見やすいように書く場合もある」
ミッツ。10小節目を指す。「右手でAさんとBさん、左手でCさんとDさん」楽譜。説明しやすくするため、大譜表の上段(右手の段)と、下段(左手の段)の間隔が広がり、4声を4色で色分け、指し棒で「Aさん」など。
ミッツ「第2話で教えたように、符桁や休符は、見やすいようにするよ。見やすいってのは、手拍子の区切りと合わせる方法もある。ここでは、AさんとBさんが似ているって形になったよ」
ハル「なるほど。全音符ならシンプルだと思ったけど、Aさんが手拍子の区切りに合わせているから、Bさんもそれに合わせたのか」
ヤッ子「作曲する立場から言えば、全音符を分けたのではなく、手拍子に合った音符を書いて、タイで繋げたら、偶然に全音符と同じ音価になったんだ」
ミッツ「両手だけで、4人分の声部を演奏する。4人とも、全員が、音価は1小節にぴったりとなる」背景に「4人分だから「4声部」と言います」の文字と、「声部」には「せいぶ」のフリガナ。
ハル「あれ? Dさんの音価は、足りないんじゃないか? だって、付点2分音符だけじゃ……ホラ、ここと違う」3小節目と比較する。
ミッツ「そんなわけないでしょ。あれ、ホントだ。ヤッ子先生、これって、間違い?」
ヤッ子「そうだ。よく気付いたな。音価を足しても、付点4分音符が1つ分、少ない。この曲の楽譜には、他にも誤りがあるぞ」
ミッツ。一人で楽譜を手に取り、探す。「見つからないよ」
ヤッ子。ニヤニヤする。「東海林君。連符の話をしてくれないか」
ショージ「連符は、ギュウ詰め!」
ハル「ギュウ詰め?」
ショージ「3等分、5等分するのに使う。6等分とか、7等分とか、自由に時間を等分する」
ハル。ショージに向かって。驚いて尋ねる。「7等分なんて、できるんですか? ややこしそう」
ショージ。ミッツに向かって。わざとらしく尋ねる。「7等分なんて、できるんですか? ややこしそう」
ミッツ。急に尋ねられて、驚く、誤魔化すように答える。「え? 7等分? もちろん、うん、できるよ」言っている途中から、目を、斜め上に逸らす。
ヤッ子「7等分は、ショパンの『雨だれのプレリュード』に、あるだろう」背景に、『前奏曲 変ニ長調 雨だれ Op.28-15』(ショパン)の、4小節目を表示する。
ミッツ。急に偉そうな態度になる。「できるよ。当たり前でしょ!」立ち上がり、偉ぶった仁王立ちをする。
ミッツ。黒板に向かう。「音符は、半分の半分の……だけしかないから、3分の1を指示するために、連符がある」黒板に2分音符。
ミッツ「全音符の2分の1の時間は、2分音符。全音符の半分の半分、つまり4分の1時間は4分音符。その中間の、3分の1の音符が無いから、2分音符を3つ書いて、「3」を添えれば、3連符のできあがり」
ミッツのセリフに沿って、画面には図形が書き加えられる。画面が室内に戻った時には、同じ図が黒板に描かれている。
ハル「4分音符じゃだめなのか?」
ミッツ「4分音符なら、足りないから、ギュウ詰めにならない」
ハル「5連符は?」
ミッツ「2分音符が5つなら、ギュウ詰め過ぎる。8分音符が5つなら足りない。4分音符が5つならちょうどいいギュウ詰め。だから、4分音符に「5」を添えて、5連符にする」
ミッツ「どの連符でも、「ギュウ詰め過ぎない」「足りなくない」の音符を使う」
ショージ「つまり、「ギュウ詰め」が良くて、「ギュウギュウ詰め」は駄目ってことだな」
ステラ。わかりやすいショージの言葉に、驚いて目を丸くして、笑う。
ハル「ふうん」『月の光』(ドビュッシー)で3連符を探す。3小節目を指す。「あれ? ここ、「2」とあるけど、2連符の意味?」
ミッツ「そう、2連符。音価を半分にするから、付点16分音符を使ってもいいけれど、気分で2連符にしたかったのかな?」背景に「付点16分音符」の吹き出しが出る。後でショージの指摘まで、この噴き出しは表示されたまま。
ハル。ちょっと考え込む。不安そうに「ここって、8分音符が3つ分だよね。市販されている楽譜だから、間違いは無いと思うけど」
ミッツ「間違いなんて無いでしょう」
ショージ。出しゃばる。「楽典の初心者のハル君と、まだまだ楽典に未熟なミッツ君に、僕が教えてあげよう」黒板に8分音符3つと、音価を表す長方形3つを書く。
まだ、さっきのミッツの「付点16分音符」の吹き出しが出たまま。
ショージ「これを、連符じゃなく2分割するなら」中央の長方形の真ん中を、点線で区切る。
ショージ「ミッツ君、さっき君は「付点16分音符」と言ったね。しかし、本当は付点8分音符だ。わかったかい、ミッツ君」
ショージ。ミッツを指す。「犯人は、君だ!」
ミッツ。呆れたように「はいはい、わかりました、付点8分音符でしたね」
ヤッ子。微笑んでいる。
ショージ「そして、ギュウ詰めだから、この3つの長方形に2つの音符をギュウ詰めするなら……、あれ? ギュウ詰めだから……、おかしい、そんなバカな、バんなそカな」
ヤッ子「そう、この楽譜は、誤っている。ギュウ詰めなら、4分音符で2連符にするべきだ」音楽室に落雷。シルエットになったヤッ子を、竜巻が包み、後ろの髪を吸い上げる。
ショージ。くずおれる。「市販の楽譜なのに……」
ヤッ子、嵐が速やかに消える。「……という解釈もあるが、あれこれ資料を見ると、明確に誤りだとか、明確に正しいだとか、よくわからないんだ。このような話を決着させるのは、私にはできない、荷が重い」
ヤッ子「どの段階で、この表記が始まったのかは知らないが、複数の出版社で、この表記だ」書棚から、別な出版社の『月の光』を出し、ステラに渡す。
ヤッ子「ネットでこの曲の楽譜を探すと、古そうな楽譜でも、その形で書いてある。私の興味は、ここまでだ」
ヤッ子「もしかすると、視聴者からも、正しさの考察がブログなどで出て来るかも知れないな。予測だが、その考察でも、複数の正しさがあるだろう」
背景に、予測されるブログの例をいくつか表示する。「気付かなかった」や「それは、これが結論とされている」など。
ショージ「畜生! こうなったら、ハルの恥ずかし話をしてやる!」
ハル「なんでですか」
次回は …… 【エピソード 050】 タイ、スラー、レガートが似ている。タイとレガートの区別は、玉を繋げるか音符を繋げるか。フレーズで「弱強弱」「強弱強」の雰囲気。
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