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【エピソード 048】 タイで「掛留」「先行音」を使うと、ショージが「未練のある男」「浮気癖の男」になる。タイは小節を跨って書ける、付点では不可能な長さも可能。

【前書き】


当作品は、楽典をアニメで表現することを目的としています。文字を読んでアニメを想像する手間があります。楽典以外は余談ですので、次々とストーリーが続くジャンルではありません。


なぜ記号だらけの楽譜を見て、音にできるのか?

初心者向け楽譜の謎解きエンターテインメント。


▼ 登場人物

ハル、ミッツ、ステラ、ショージ …… 同じ中学校の生徒。

ヤッ子 …… 理科教師。プライベートでジャズピアノ。


楽譜の読み方「楽典」を、アニメ脚本っぽい形で説明します。


「一方的に教えるのではなく、疑問に応える」「アニメ表現を利用」です。




オリジナル『ガクテン』または『ガクテン♪ソフト版』から、「余計な物語りは不要、要するに音楽の話だけ」の需要に応えた、楽典に特化したものです。


そのため、ドラマチックな「キャラの魅力」「ラブ要素」「ジョーク」は無くなりました。


唐突に音楽の話になる「教育アニメ(エデュテインメント)」となりましたから、ストーリーには違和感があります。


「再放送や、Blu-rayの、長期的な繰り返し需要の視点から、web小説よりも、アニメで説明したい」という気持ちが強いです。




人間ドラマも含めたもの、アニメ化に向けての自由度(情報の取捨選択、話数変更など)は、オリジナル『ガクテン』または『ガクテン♪ソフト版』を、ご覧願います。


ここでは、人間ドラマなどが無く、音楽の情報だけが、連続している。レトロSFの宇宙食のように、味気の無いものです。



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【エピソード 048】 タイで「掛留」「先行音」を使うと、ショージが「未練のある男」「浮気癖の男」になる。タイは小節を跨って書ける、付点では不可能な長さも可能。


ヤッ子「蜜霧君が言ったように、過去の経験は参考になり、実際に演奏して、どう似ているのか、どう違うのか、確認できる」


ミッツ。ハルに教える。「これまでは、1つの音符で音を出し続ける時間を指定して来たけど、タイを使えば、もっと自在になるんだよ」


ハル「いよいよ、本番だな」。


ヤッ子。ハルの後ろで、ニンマリする。


ミッツ「自在なのに、方法は原始的。タイで繋げるだけ」楽譜『月の光』(ドビュッシー)の、1小節目の左手のタイを指す。


ミッツ。楽譜を指しながら、ピアノ。「これを弾いて、次の音符を弾く時刻になっても……」ミッツが指で辿ると、現在時刻に合わせて、楽譜の紙の色が変わってゆく。「……鍵盤は押さえたまま」


ミッツ「タイが無ければ、改めて鍵盤を弾き直す」


ミッツ「こうすれば、付点を使っても不可能な長さを指定できる」黒板に、2分音符と8分音符を、タイで繋げる。


ミッツ「どう? これは、付点を使っても表現できないでしょ」


ハル「付点……っと、ああ、本当だ」


ハル。『月の光』の楽譜を見ながら。「次の小節に続くタイもある」


ミッツ「トレビアン! そうだよ。音符の音価は、足し算して、1小節の中でぴったりだけど、タイを使えば、小節を跨ることもできるの」楽譜を表示する。小節を跨ったタイに、「これも鍵盤を押さえたまま」の差し棒。


ミッツ「タイの最大の利点は、付点を使っても表現できなかった時間だって、タイを使えば自在。しかも、1つの音符では不可能な、隣の小節にまで繋げることができる」


ヤッ子「以上の、蜜霧君の話でわかった通り、タイには、立場によって2種類の意味合いがある」


ハル「2種類?」


ミッツ「演奏方法が変わるんですか?」


ヤッ子「演奏方法は変わらないが、意味合いが2つ、ということだ」


ヤッ子「蜜霧君は、さっき、演奏する立場としては、弾き直さないと言ってくれた。これが、立場の一つだ」


ヤッ子「もう一つは、作曲する立場だ。東海林君、協力してくれないか」


ここから、「掛留」「係留」と、「先行音」「先取音」の話になるが、この用語は、ここでは用いない。


第9話で「Csus4」は「Cの仲間なのに、ミ♯ではなくファなのは、なぜか」の質問への返答で、ここからのショージのポーズの話と共に、用語も教える。


ショージ「はい。え? 何を?」


ヤッ子「ここに立ってくれ」ミッツとステラの、中間位置を示す。黒板の前の、左右の中央位置。


ヤッ子「蜜霧君と、星山君は、もう少し離れてくれ」


ヤッ子「さて、東海林君。恋愛もののミュージカルのように、腕を伸ばして、星山君に愛を告白する格好をしてくれ。説明のポーズだから、余計なことは言わないでくれよ」


ショージ。言われた通りのポーズをする。


ヤッ子「では、蜜霧君の方に、一歩だけ近付く。すると、今度は蜜霧君の方を向いて、同じポーズをしてくれ」


ショージ。言われた通りのポーズをする。


ミッツ。面白くて笑っているが、嬉しくないことを表すように、片頬で笑い、眉は「ハ」の字。


ヤッ子「立っている場所が、星山君と蜜霧君のどちらに近いか、近い方の相手に、そのポーズをすることになっている。一歩ずつ、交互に立ち位置を変えてくれ」


ショージ「はい、わかりました」言われた通り、立ち位置を、ピョンピョンと交互に変えながら、ポーズを繰り返す。


ヤッ子「早坂君。普通は、このように、立ち位置と向きは、明確になっている。音楽に譬えれば、和音、つまりコードの変わり目と、メロディの変わり目が、一致している」


ハル「うーん、そうですね」今一つ、納得できない。


ヤッ子「では、これはどうだ。東海林君、今度は、立ち位置を移動した後、体の向きを変えるのは、体の下の方から上に、順番に、脚、胴体、腕、そして、顔を最後に向きを変えてくれ。顔が最後に向きを変える。ゆっくり、3回くらいでいい」


ショージ。言われた通りにする。


ヤッ子「どうだ、東海林君は、未練がある動きに見えるだろう」


ハル「はい、見えます」


ショージ「見えるのか?!」


ヤッ子「東海林君。今度は、今の動きの逆再生のように、最初は顔から向きを変え、腕、胴体、脚、そして最後に立ち位置の移動をしてくれ」


ショージ。言われた通りにする。


ヤッ子「どうだ、東海林君は、浮気者に見えるだろう」


ハル「はい、見えます」


ショージ「見えるのか?!」


ミッツ。大笑いする。


ヤッ子「これが、振付する立場で、音楽では作曲する立場だ。作曲の時には、このようなことも考慮する」


ヤッ子「これを拡張して、組み合わせのグラデーションにできたりする。作曲の小ネタである音楽理論の、組み合わせのグラデーションは、第12話で、音楽の先生が話すから、楽しみにしてくれ」


ハル「はい。なるほど。コードが変わる区切りを跨るように、タイを使えて、「次のコードになっても、少し音を残す」と、「まだ前のコードのうちから、次の音を始める」という指示ができるんですね。組み合わせですね」


ミッツ「それに従って演奏すると、ショージのように、未練のある男や、浮気癖の男になるんだ」


ショージ。ステラに向かって。「違うよ! 僕はただ、踊らされていただけだ!」


ミッツ「演奏する人も、楽譜を正確に演奏ということもあれば、工夫して楽譜を書き換えることもありますね」


ヤッ子「あるな」


ミッツ「振付師と演者が、はっきりと役割が分かれていなくて、演者が振付を工夫することもありますね」


ヤッ子「そうだ。さっきの私の言い方なら、2種類の意味合いが、互いに不可侵、明確に分かれているように聞こえたと思うが、振付師と演者、作曲者と演奏者、お互いに、相手の感性を持つのも、良いと思う」


次回は …… 【エピソード 049】 『月の光』タイが、全音符と同じなのは偶然。AさんとBさんの声部で見やすく。連符はギュウ詰め。ミッツが7等分ができるのは。



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