【エピソード 047】 付点とタイ。タイは、弾き直さない。付点も「半分の半分の……」だが、プラス。ショージは、付点と3連符を区別していなかった。
【前書き】
当作品は、楽典をアニメで表現することを目的としています。文字を読んでアニメを想像する手間があります。楽典以外は余談ですので、次々とストーリーが続くジャンルではありません。
なぜ記号だらけの楽譜を見て、音にできるのか?
初心者向け楽譜の謎解きエンターテインメント。
▼ 登場人物
ハル、ミッツ、ステラ、ショージ …… 同じ中学校の生徒。
ヤッ子 …… 理科教師。プライベートでジャズピアノ。
楽譜の読み方「楽典」を、アニメ脚本っぽい形で説明します。
「一方的に教えるのではなく、疑問に応える」「アニメ表現を利用」です。
オリジナル『ガクテン』または『ガクテン♪ソフト版』から、「余計な物語りは不要、要するに音楽の話だけ」の需要に応えた、楽典に特化したものです。
そのため、ドラマチックな「キャラの魅力」「ラブ要素」「ジョーク」は無くなりました。
唐突に音楽の話になる「教育アニメ(エデュテインメント)」となりましたから、ストーリーには違和感があります。
「再放送や、Blu-rayの、長期的な繰り返し需要の視点から、web小説よりも、アニメで説明したい」という気持ちが強いです。
人間ドラマも含めたもの、アニメ化に向けての自由度(情報の取捨選択、話数変更など)は、オリジナル『ガクテン』または『ガクテン♪ソフト版』を、ご覧願います。
ここでは、人間ドラマなどが無く、音楽の情報だけが、連続している。レトロSFの宇宙食のように、味気の無いものです。
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【エピソード 047】 付点とタイ。タイは、弾き直さない。付点も「半分の半分の……」だが、プラス。ショージは、付点と3連符を区別していなかった。
■ 第8話。
放課後の音楽室。ハル、ミッツ、ショージがいる。
ミッツ。『月光(ピアノソナタ)』の第1楽章(ベートーベン)を弾き始める。
ハル「『月の光』!」
ミッツ「残念でした」
ハル「ベートーベンだろ?」
ショージ「ベートーベンの『月光』だろ。『月の光』は、誰だっけ?」
ミッツ「ドビュッシーだよ」
ミッツ。『月の光』(ドビュッシー)を弾く。
ショージ「これが『月の光』。さっきの『月光』とは違う曲だ」
ハル「似たような曲名だから、どっちがどっちだか」
ショージ「それでも、クラシック畑でもないのに、すぐに曲名が言えるのは、大したもんだ」
ハル「そういえば、ずっと長く鳴らす音もあるな」
ミッツ「ペダルを踏んだら、ずっと音が鳴るけど。ピアノのカラクリのひとつで、鍵盤から指を離しても、音が止まらない」
画面上段の、左側に鍵盤と指、右側にペダルと足。画面下段には、ピアノが鳴っている音量をグラフ上に表示し、左側に流れ去る。
ペダルと足の部分には、文字を囲んだ「ペダルを離す」と「ペダルを踏む」が上下に並んでいる。足の状態に合わせ、該当する文字は少し大きく赤色、該当しない文字は少し小さく灰色にする。
ミッツ「鍵盤を、押して、離してを繰り返すから、ペダルを踏んでいるかを見てなさい」
ミッツ。時間の等間隔で、鍵盤を押して離してを繰り返す。鍵盤から手を離す時は、「ビクン」と驚くように、急激に離す。鍵盤を4回押して、ペダルを踏んで、鍵盤を4回押して、ペダルを離してを繰り返す。
ミッツ「わかった?」
ハル「うん、ペダルの用途はわかった。でも、俺が知りたいのは、こういうもの」
ハル。左手で、1つの鍵盤を押したまま、右手でメロディっぽくいくつかの鍵盤を鳴らす。
ミッツ「ああ、タイのことね。タイで繋がっていたら、いくらでも鳴らし続けるの」
ショージ。『月の光』の楽譜を探し出す。「ほれ、『月の光』。ハルが間違えたタイトルの曲」
ミッツ「あ、ありがとう。ああ、結構、書き込みされてるね。先輩達かな」楽譜には、曲想、ト音記号の高い加線の多い音に音名(イタリア語をカタカナで)、「いそがない」などが、手書きされている。
ミッツ「ここ、これがタイ。タイがあれば、鍵盤を改めて弾くことはなく、押さえたまま」
ミッツ「それじゃあ、順番に、音価の話から」黒板に、第2話と同じ、音符の音価の長方形の図。上から下に向かって、全音符から8分音符まで。
後で、付点の音符を書き込むために、全音符と2分音符の間など、それぞれの間に、隙間を用意しておく。
書いている途中に、背景に「音価」の文字と、そのフリガナと、指し棒で「音を鳴らし続ける時間」を添える。
ミッツ「この、音符の種類によって、音を出し続ける時間が決まっているのは、わかるでしょ」
ハル「ああ、覚えている」
ミッツ「そこで、付点。玉の右側に、点が付いていたら、音価が長くなる」背景に「付点」と、そのフリガナ。
ショージ「ちょっとお得な、1.5倍。増量50%」
ミッツ「「1.5倍」というより、「プラス半分」の方が良さそう。なぜなら、音符そのものが、半分の半分のだから」黒板の2分音符の長方形を延ばす。
ミッツ「このように、2分音符に付点が1つなら、2分音符の半分が延びる」
ミッツ。2分音符の上に、付点が1つの2分音符を、更にその上に、付点が2つの2分音符を書き加える。音価の長方形も書く。
ミッツ。4分音符の上に、付点が1つの4分音符を、更にその上に、付点が2つの4分音符を書き加える。音価の長方形も書く。
ミッツ。8分音符の上に、付点が1つの8分音符を、更にその上に、付点が2つの8分音符を書き加える。音価の長方形も書く。
ミッツ「どの音符でも、付点が1つなら、半分長くなる。付点が2つなら、更に、半分の半分長くなる。付点が3つなら、更に、半分の半分の半分長くなる」黒板の長方形を延ばす。
ミッツ「付点があれば、音符が1つだけでも、音価が延びるので、その分は、他の音符の音価を短くする」
黒板に「4/4拍子」の簡単な楽譜。「2分音符が2つ」「付点2分音符と、4分音符」「付点2つの2分音符と、8分音符」「付点3つの2分音符と、16分音符」
ミッツ「どれも、音価を足すと、1小節の時間である、4分の4になる」
ミッツ「付点はもちろん、休符に付けることもできる。音符だろうが、休符だろうが、時間は平等に流れる」
ハル「ツェノンの逆説(ゼノンのパラドックス)みたいだな」
ミッツ「音符を書く手間が減る。ということは、ごちゃごちゃしてないから、楽譜が読みやすい。これと同じ意味を、タイを使って書くと、こうなる」
ミッツ。さっきの「4/4拍子」の簡単な楽譜に並べて、付点の代わりにタイを使った書き方を加える。
ミッツ「タイの意味が、わかった?」
ハル「要するに、繋げるってことだろ」
ミッツ「エグザクトリィ(その通り)。しかし、演奏する側から言うと、鍵盤を弾き直さないってこと」
ミッツ。付点の代わりにタイを使った楽譜に並べて、タイを消した楽譜を書き加える。タイのある楽譜と、タイを消した楽譜の下には、それぞれに、音価を表す長方形。
ミッツ「これを見て。タイが無ければ、音価の長方形の区切りで、鍵盤を弾き直すよ」
ミッツ。長方形の左端から、拍に従って黒板をコツンと叩き、右に進む。同時に、演奏を表すために「ポーン」と歌う。手が右に移動すると共に長方形の色が変わる。
ミッツ。拍に従って、黒板をコツンと叩くが、長方形との区切りでなければ「ポーン」を言い直さない。長方形の区切りだけ「ポーン」を言い直す。
ミッツ「このように、タイが無ければ、鍵盤を弾き直す」
ミッツ「これに対し、タイがあれば、長方形の区切りは、こうなる」タイのある楽譜に添えてある長方形は、長方形の区切りが点線になっている。
ミッツ「それぞれの音符の音価は、長方形で表すけど、タイで繋がっているから、点線で表現したよ。これを演奏すると、こうなる」
ミッツ。同様に、黒板を叩くのと、「ポーン」で表現する。手の移動に合わせて、長方形の色が変わるのも、さっきと同様。
ミッツ「タイは、こうして、鍵盤を弾き直さないっていう記号。タイを使わず、付点を使う曲も多いから、楽譜の見た感じで過去の経験を思い出して、曲調がわかりやすい」
ミッツ。ショージに向かって。「ショージ、頼んだよ」指をパチンと鳴らす。
ショージ「俺は妖精ちゃんか」
ショージ。ピアノで、両手で簡単な演奏。『ハンガリア舞曲第5番』(ブラームス)、『ユーモレスク』(ドボルザーク)。どちらもサンプルで2小節程度。『ユーモレスク』は、だらしない3連符の「ドーレドーレミーソラーソ」の演奏。
この、ショージの「だらしない3連符」は、「付点と3連符の、僅かな違い」の伏線。
ミッツ「そう、そんな感じ」黒板に「4/4拍子」の簡単な楽譜。
ミッツ「この楽譜を見ただけで、「あ、あの曲に似ているのかな」と思い出して参考になる。よくよく楽譜を読んだり、実際に演奏して、どう似ているのか、どう違うのか、確認できる」
ショージ「楽譜を、ぱっと眺めた時、曲調の推測をすることは、よくあるんだ」
ヤッ子。先刻から、廊下で話を聞いていた。ドアを開けて、話に合流する。「そう、実際に演奏して、その「人となり」のような言い方をすれば「曲となり」を知るんだ」
ヤッ子に続いて、ステラも入室。
次回は …… 【エピソード 048】 タイで「掛留」「先行音」を使うと、ショージが「未練のある男」「浮気癖の男」になる。タイは小節を跨って書ける、付点では不可能な長さも可能。
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