【エピソード 046】 テレビのスタジオ収録(7)歌も演奏も下手だが、拍手が欲しい。練習が嫌いになったのは、「エベレスト山頂からの景色を見たい」が嘘ではなくても。作品番号。モーツァルトに一喝。
【前書き】
当作品は、楽典をアニメで表現することを目的としています。文字を読んでアニメを想像する手間があります。楽典以外は余談ですので、次々とストーリーが続くジャンルではありません。
なぜ記号だらけの楽譜を見て、音にできるのか?
初心者向け楽譜の謎解きエンターテインメント。
▼ 登場人物
ハル、ミッツ、ステラ、ショージ …… 同じ中学校の生徒。
ヤッ子 …… 理科教師。プライベートでジャズピアノ。
楽譜の読み方「楽典」を、アニメ脚本っぽい形で説明します。
「一方的に教えるのではなく、疑問に応える」「アニメ表現を利用」です。
オリジナル『ガクテン』または『ガクテン♪ソフト版』から、「余計な物語りは不要、要するに音楽の話だけ」の需要に応えた、楽典に特化したものです。
そのため、ドラマチックな「キャラの魅力」「ラブ要素」「ジョーク」は無くなりました。
唐突に音楽の話になる「教育アニメ(エデュテインメント)」となりましたから、ストーリーには違和感があります。
「再放送や、Blu-rayの、長期的な繰り返し需要の視点から、web小説よりも、アニメで説明したい」という気持ちが強いです。
人間ドラマも含めたもの、アニメ化に向けての自由度(情報の取捨選択、話数変更など)は、オリジナル『ガクテン』または『ガクテン♪ソフト版』を、ご覧願います。
ここでは、人間ドラマなどが無く、音楽の情報だけが、連続している。レトロSFの宇宙食のように、味気の無いものです。
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【エピソード 046】 テレビのスタジオ収録(7)歌も演奏も下手だが、拍手が欲しい。練習が嫌いになったのは、「エベレスト山頂からの景色を見たい」が嘘ではなくても。作品番号。モーツァルトに一喝。
▼ 場面変更
司会(ヤッ子)「ふざけた質問が来たな。「楽器の演奏ができません。歌も下手です。こんな僕でも、コンサートで一番大きな拍手をもらいたい。どうすればいいですか?」」
司会(ヤッ子)「指揮者になれ」
▼ 場面変更
司会(ヤッ子)「次は……、おお、ピアノの先生からだな。「生徒が、ショパンの『英雄ポロネーズ』を弾きたいと言ったので、レッスンしたら、練習嫌いになりました。どうしたらいいんでしょう?」」
司会(ヤッ子)「困ったね」
司会(ヤッ子)「生徒の言葉、その気持ちは、嘘ではないだろう。でも、実際にするのとは違う」
司会(ヤッ子)「譬えれば、ちょっとしたハイキングが趣味の人が、軽い気持ちで「富士山頂からの景色を見たい」「エベレスト山頂からの景色を見たい」と言う」
司会(ヤッ子)「山頂からの景色が見たい気持ちは本当だが、実際に登ろうとは思わない。「見たい」の言葉には「実際に登るのは無理だ」が含まれている」
司会(ヤッ子)「レッスンする前に、大変だぞと確認しておきたかったな」
司会(ヤッ子)「今からなら、「この楽譜を、完璧にというのは大変なのは、わかったでしょう。さあ、どうしようか」と、相談を持ち掛けてはどうだろうか」
司会(ヤッ子)「「続ける」「続けない」の二者択一ではなく、様々な選択肢があるだろう。生徒は、プールの中で首まで水につかりながら、爪先立ちで歩いているような、大変な状態だから、選択の変更にも柔軟に対応していただきたい」
司会(ヤッ子)「考えを変えることは、恥ずかしいことではなく、悪いことでもないと、それとなく生徒に伝わっているのがいいかな」
司会(ヤッ子)「「弾けるようになりたい」「続ける」という言葉の責任は追及しないこと」
音楽の先生。挙手する。
司会(ヤッ子)。驚いて「先生、お心遣い、ありがとうございます」
音楽の先生「譬えれば、好きな外国の歌があり、ちゃんと歌いたいから、発音などを学びたかったとしましょう」
音楽の先生「外国語を話したいのではなく、文法や、単語の意味や由来にはご興味が無い。ただ、その歌を歌いたいだけということも考えられますね」
音楽の先生「もし、ちゃんと弾けるようになるために、練習曲を条件としていらっしゃるなら、その条件は推奨です。必須ではありません」
音楽の先生「練習曲が弾けなければ、『英雄ポロネーズ』を弾く資格が無いということはありません。『英雄ポロネーズ』そのものをなさってはいかがでしょう」
音楽の先生「練習曲という、単純な曲をちゃんと弾けないなら、『英雄ポロネーズ』は無理だというお気持ちはわかります」
音楽の先生「弾けないことを叱るのではなく、丁寧にお教えするよう、よろしくお願いいたします」
音楽の先生「先程、外国の歌を歌いたいの譬えでは、正確な発音の前に、カタカナや、漢字の当て字を用いる方法もあります」
音楽の先生「ベートーベンの『第9』に、日本語の語呂合わせ「風呂出で 詩へ寝る 月輝る 粉健」を用いることがあります」
音楽の先生「それに似た意味で、「なんちゃって英雄ポロネーズ」みたいに、細かな表現は後回しにして、「大雑把でもいいから、丁寧に」という練習は、いかがでしょうか」
音楽の先生「生徒には、いきなり豪華で素晴らしいことは無理だけど、着実に近付いている実感が持てれば、「練習」と「成果」が紐付く気持ちになると思いますよ」
ステラ。挙手する。
司会(ヤッ子)「おや、あそこでも手が上がりました。どうぞ」
ステラ「えーっと、あたしも楽器を練習中なんですけど、ピアノじゃなくトロンボーンなんですけど、個人レッスンではなく部活、吹奏楽部ですけど、先輩に教わっているんですけど、なかなか上手にならないんですけど、えーっと、家で練習する時は、先輩に褒めてもらおうと思って、練習しています」
司会(ヤッ子)「褒められることを、想像しながらですね」
ステラ「そうです。次に先輩に会う時に、上手になったねと褒められたくて、練習していますっ!」
司会(ヤッ子)「ありがとうございます」
音楽の先生「教える側としては、「上手になったね」も含め、「よく練習したね」「丁寧さが増したね」など、何か褒めることを探したいと思います」
音楽の先生「教わる方は、下手だから教わっているので、前回よりも下手になることもあります。そんな時は、叱るよりも、「あれもこれもって、全部が上手になるなんて、難しいよね」と、生徒の大変さに同意するような言い方を心掛けたいと思います」
▼ 場面変更
司会(ヤッ子)「質問です。「「Op.(オーピー)」「Kv.(ケーブイ)」と書いてあるのですが、曲想の指定か何かですか?」このご質問には、少し快活なモーツァルトさん」
モーツァルト。くすくす笑っている。
司会(ヤッ子)「モーツァルトさん、何を笑っていらっしゃるんですか?」
モーツァルト。笑いながら、小声から段々と大きな声になる。「ウンポコ、快活に。フフフッ、ウンポコ、もそもそ。アッハッハッハ」
司会(ヤッ子)「ちゃんと答えないと、お仕置きですよっ!」
モーツァルト「はいっ!」
テレビスタッフの心の声。「(すげえ、モーツァルトに一喝しちゃったよ)」
この、ヤッ子の「お仕置きですよっ!」と、モーツァルトの「はいっ!」の間に、「バシッ!」という効果音があっても良い。
モーツァルト「「Op.(オーパス)」「Kv.(ケッヘル)」は、ズバリ、作品番号です。以上!」
司会(ヤッ子)「作品番号ということは、世界中の楽曲の、通し番号ですか?」
モーツァルト「ズバリ、作者それぞれの通し番号です。以上!」
司会(ヤッ子)「作曲者の、生まれてからの通し番号でしょうか、発表順でしょうか?」
モーツァルト「ああ、もう面倒だなあ。どっちだっていいだろう!」
モーツァルト「「Op.」は「オーパス」、日本語では「作品番号」の意味だよ。研究者が、何かの年代順を調べて、通し番号を付けたのさ」
モーツァルト「「Kv.」は「ケッヘル」で、ケッヘルっていう名前の人が、僕の作品に付けた通し番号さ。つまり、ケッヘルは、僕専用の番号さ」
モーツァルト「番号を付けた後、新しい曲が発見されたり、順番が違うと発覚すると、枝番で対応することがある」背景に、作品番号が変わった例をいくつか表示する。変わる前と後の番号に、タイトルを添える。
モーツァルト「曲想の指定ではないけど、僕らの作曲の遍歴や、人生の遍歴を知る手掛かりになるから、曲想に役立ててくれ」背景に「曲想」の文字とフリガナ。解説文「曲の雰囲気」を添える。
モーツァルト「同じ人の、別な作品で、よく似た手法が見付かることがあるよ。そしたらね、「気に入ったから使い回し」だったり、「先に実験的にやって、成功したから、後で作る曲で本番」ってこともあるよ」
司会(ヤッ子)「ありがとうございます」
司会(ヤッ子)「クラシック曲では、同じタイトルの曲もあるので、作品番号があれば、それで区別できます」
モーツァルト「そ、そうだね。それを言い忘れていました」
次回は …… 【エピソード 047】 付点とタイ。タイは、弾き直さない。付点も「半分の半分の……」だが、プラス。ショージは、付点と3連符を区別していなかった。
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