【エピソード 037】 フォルテは「ハルくん、好きー!」。「長調」「短調」は、よく使う鍵盤の選び方の名前。教会旋法の『グリーンスリーブス』をニ短調っぽく書く理由。乱暴な「大雑把」の説明。
【前書き】
なぜ記号だらけの楽譜を見て、音にできるのか?
初心者向け楽譜の謎解きエンターテインメント。
▼ 登場人物
ハル、ミッツ、ステラ、ショージ …… 同じ中学校の生徒。
ヤッ子 …… 理科教師。プライベートでジャズピアノ。
楽譜の読み方「楽典」を、アニメ脚本っぽい形で説明します。
「一方的に教えるのではなく、疑問に応える」「アニメ表現を利用」です。
オリジナル『ガクテン』または『ガクテン♪ソフト版』から、「余計な物語りは不要、要するに音楽の話だけ」の需要に応えた、楽典に特化したものです。
そのため、ドラマチックな「キャラの魅力」「ラブ要素」「ジョーク」は無くなりました。
唐突に音楽の話になる「教育アニメ(エデュテインメント)」となりましたから、ストーリーには違和感があります。
「再放送や、Blu-rayの、長期的な繰り返し需要の視点から、web小説よりも、アニメで説明したい」という気持ちが強いです。
人間ドラマも含めたもの、アニメ化に向けての自由度(情報の取捨選択、話数変更など)は、オリジナル『ガクテン』または『ガクテン♪ソフト版』を、ご覧願います。
ここでは、人間ドラマなどが無く、音楽の情報だけが、連続している。レトロSFの宇宙食のように、味気の無いものです。
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【エピソード 037】 フォルテは「ハルくん、好きー!」。「長調」「短調」は、よく使う鍵盤の選び方の名前。教会旋法の『グリーンスリーブス』をニ短調っぽく書く理由。乱暴な「大雑把」の説明。
ショージ。饒舌になる前の、紳士的な立ち居振る舞いで登場。
ショージ「何をしているんだい?」
ハル「ショージさん。今、フォルテとかの話をしていました」
ショージ「フォルテか。フォルテシモもあるな」
ハル「fを2つも3つも書いたものですね。ちょっと、一覧は、ありますか?」
ショージ「これだ」画面左側に、最上段の「fff」から、最下段の「ppp」まで。「mf」「mp」も含めて8つ。
ショージ。セリフに合わせて、画面に説明文が出現。「mfはちょっと強く、fは強く、ffはもっと強く、fffはもっともっと強く」
ここの説明は、「f」を「強く」、「ff」を「強く強く」、「fff」を「強く強く強く」でも良い。
「fff」の読み方は、「フォルテシシモ」と「フォルテフォルテシモ」の2つを書く。「ppp」も同じ。
ハル「弱くの方も、同じように、「ちょっと」から「もっともっと」までですね」画面の弱くの方には、全部が同時に文字が出現する。
ミッツ「前から不思議に思っていたけど、「普通の強さ」って無いのよね」
ハル「テンポを指示する「ゆっくり」とか「歩くような速さで」と似ていて、音の強さも、人によって基準が違うのかな」
ショージ。ここから、調子に乗って饒舌になる。「教えてやろう。fなら……」急にテンションが上がり、ハルを抱きしめ「……ハルくん、好きー! これがフォルテ」
ショージ「続けて、フォルテシモは」
ショージ。ミッツを手招きして、二人で。「ハルくん、好きー!」ミッツは、少し及び腰。
ショージ「フォルテシシモは、ヤッ子先生も一緒に」
三人で。「ハルくん、好きー!」
ヤッ子「お前達は、アニメではなく、漫画の『ドラゴンボール』を知っているか? フォルテは「!」のようなもので、『ドラゴンボール』では、戦っている時のセリフに「!」がいくつも付けられているものがある」
ステラが入って来る。「なんだか、楽しそうですね」
ステラ「ヤッ子先生、長調と短調の話を聞きたいのですが」
ヤッ子「1オクターブの中には、ピアノの白鍵と黒鍵を合わせて、12の音があるのは、知っているな」
ステラ「はい。13番目は、また1番目と同じになるんですよね」
背景に鍵盤を3オクターブくらい表示する。中央当たりの1オクターブに、「1」から「12」を記す。「13」は「1」と同じ、ここから、白鍵と黒鍵の並び方のパターンは、「1」からになると説明。
ヤッ子「「1」から「12」の中から、「よく使う鍵盤」の選び方は、数えきれない程あるな」
ハル「数学では、2の12乗だから、……、たくさん」
ヤッ子「そうだ。数ある「選び方」のうち、最も多く使われている選び方が、「長調」と「短調」だ」
ステラ「「長調」と「短調」って、鍵盤の選び方の名前なんですか?」
ヤッ子「そうだ。選び方の名前なのに、「なになに式」や「なになに型」とは呼ばず、「長調」「短調」と呼ぶのだ」
ヤッ子「どの鍵盤が選ばれたのか、音符を順番に並べると、階段状になるから「音階」だ。長調の音階なら「長音階」で、短調の音階なら「短音階」というわけだ」
ステラ「先輩から。「長調」と「短調」の、どっちなのか、二者択一で聞かれるんですが」
ヤッ子「たくさんの選択肢なら、回答が難しいだろう。先輩が星山君に聞くということは、学びの促しなのだろう。だから、選択肢を少なくしたのだろう」
背景に、音階の名が、いくつか飛び交う。「ブルーノート」「教会旋法」「全音音階」「五音音階(ペンタトニック)」「琉球音階」「都節」などなど。
ステラ「なるほど」
ヤッ子「ただし、乱暴な分類をすれば、「長調」と「短調」以外の曲も、「長調」と「短調」のどちらかに集約できそうだが」
ステラ「そうなんですか?」
ヤッ子「乱暴な分類だからな。例えば、『グリーンスリーブス』は、ニ短調の曲で、調号で、シに♭があるのに、わざわざ臨時記号でナチュラルにしているな」
ハル「そうでしたっけ」
ヤッ子「この曲は、実は、長調でもなく、短調でもない。教会旋法のうちの、「ドリア調」なんだ」
ミッツ「教会旋法って、白鍵だけを使うものですか?」
ヤッ子「よく知っているな。教会旋法は馴染みが少ない人も多いから、こうして例を出すと、納得できるだろう」
ヤッ子「鍵盤の「D」が主音の短調である、「Dマイナー」「ニ短調」で楽譜を書くと、シに♭を付けることになる。「ドリア調」と「ニ短調」は、別なものだが、このように長調や短調の調号を使うと、わかりやすい」
ヤッ子「わかりやすいから、「ドリア調」と「ニ短調」が似ているから、「ニ短調の仲間」という印象で、「長調」と「短調」のどちらかに集約という、乱暴な言い方をした」
ドリア調とニ短調の違いは、第10話で「音階は、どこから始まるか」と似ている。
ヤッ子「「長調」と「短調」は、別なものだが、早坂君の、今の状態は、音楽の研究ではなく、楽典の謎解きをしているから、長調や短調の調号を使った方が、わかりやすい。その例が、『グリーンスリーブス』なんだ」
ヤッ子「性別の話にすると、何かの、記入する書類で、性別は男女のどちらかを選択するものは、今もあるだろう。「その他」や「回答しない」の選択肢が用意されることもあるが。しかし、トイレは男女の二者択一が多い」
ヤッ子「性別と同様、音楽も「長調」と「短調」のどちらかとすることはあるだろう」
ステラ「それは、乱暴ですね」
ヤッ子「乱暴ではあっても、自分や、自分の周囲で、実害が無ければ、気付かないこともある。世の中の「知っておくべきこと」のうちの、ひとつであり、あらゆる「知っておくべきこと」を知っている人は、いないんじゃないかな」
ステラ「そう言われたら、そうですね」
ヤッ子「ライオンは、オスにたてがみがある。鹿は、オスに角(つの)がある」
ステラ「はい」
ヤッ子「小さな子供には、簡単に教えると、理解しやすい。だから、動物はオスとメスに分けられて、人間もそうだと教える」
ヤッ子「大雑把に分類することで、わかりやすく、馴染みやすい。動物に限らず、音楽でも、曲には長調と短調の2種類があるという、大雑把な分類なら、馴染みやすい」
ステラ「動物の雌雄は、見た目で見分けたり、行動で見分けたりします。曲にもあるって聞いたので」背景に「動物の雌雄」の「雌雄」にフリガナ「しゆう」。「雌雄」の「雌」に差し棒で「メス」、「雄」に差し棒で「オス」を添える。
ヤッ子「まずは、大雑把な分類で理解をしながら、「そうとは限らない場合もある」という知識も添えておく。これで、「この分類だけ」の誤解を避けられる」
ハル「それって、ショージさんの好きな余談が、後々、重要ということですね」
ヤッ子「曲は、色々な終わり方があるな。「ああ、終わった」という感じで終わったり、「なになに……なんだけど」と、含みを持たせた終わり方。空中に放り投げたような終わり方」
ステラ「はい」
ヤッ子「西洋音楽で、「ああ、終わった」という感じがするのは、「完全終止」と名前があり、完全終止には2種類ある。それが、長調の終わり方と、短調の終わり方だ」
ヤッ子「いくつかの条件というか、特徴というか、わかりやすく目立つことでは、メロディが「ド」で終わる長調と、「ラ」で終わる短調の、2種類なんだ」
ハル「え? 「♪さくらー、さくらー」って、ミで終わりますよね」
ヤッ子「おおっ、よく知っているな」
ハル「はい、何となく」
ヤッ子「そうなんだが、日本の音楽は、西洋音楽とはジャンルが違うから、『さくら』を「完全終始ではない」とは言えないな」
ステラ「じゃあ、今は気付かなかったふりをします」
ヤッ子「そうだな。学んでいる最中だから、まずはシンプルな例で、納得しておこう」
次回は …… 【エピソード 038】 長調と短調の説明は、宇宙人に地球人の男女を説明するように、乱暴だが大雑把に。「ド」「ラ」の音と、「長調」「短調」って単語が、繋がらない。
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