【エピソード 033】 シャッフルとスウィングの違い。ジャズに挑戦するミッツには、ジャズの「上級アレンジ」と「簡単アレンジ」の中間を書いてみる。妖怪ヘアーのヤッ子のピアノでハルが汗だく。
【前書き】
なぜ記号だらけの楽譜を見て、音にできるのか?
初心者向け楽譜の謎解きエンターテインメント。
▼ 登場人物
ハル、ミッツ、ステラ、ショージ …… 同じ中学校の生徒。
ヤッ子 …… 理科教師。プライベートでジャズピアノ。
楽譜の読み方「楽典」を、アニメ脚本っぽい形で説明します。
「一方的に教えるのではなく、疑問に応える」「アニメ表現を利用」です。
オリジナル『ガクテン』または『ガクテン♪ソフト版』から、「余計な物語りは不要、要するに音楽の話だけ」の需要に応えた、楽典に特化したものです。
そのため、ドラマチックな「キャラの魅力」「ラブ要素」「ジョーク」は無くなりました。
唐突に音楽の話になる「教育アニメ(エデュテインメント)」となりましたから、ストーリーには違和感があります。
「再放送や、Blu-rayの、長期的な繰り返し需要の視点から、web小説よりも、アニメで説明したい」という気持ちが強いです。
人間ドラマも含めたもの、アニメ化に向けての自由度(情報の取捨選択、話数変更など)は、オリジナル『ガクテン』または『ガクテン♪ソフト版』を、ご覧願います。
ここでは、人間ドラマなどが無く、音楽の情報だけが、連続している。レトロSFの宇宙食のように、味気の無いものです。
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【エピソード 033】 シャッフルとスウィングの違い。ジャズに挑戦するミッツには、ジャズの「上級アレンジ」と「簡単アレンジ」の中間を書いてみる。妖怪ヘアーのヤッ子のピアノでハルが汗だく。
■ 第6話。
理科室の外の廊下。ヤッ子の授業が終わったところ。
ミッツ「ヤッ子先生。ピアノの先生から、ジャズもやってみなさいって言われたんですが、何か、お勧めの曲はありますか?」
ヤッ子「いきなり、そう言われてもな。「ジャズには名演はあるが、名曲は無い」という言葉もあるし」
ミッツ「そうですか。ピアノの先生は、クラシックが専門だから、ヤッ子先生のアドバイスが欲しいって」
ヤッ子「だったら、楽譜店で、ジャズアレンジを探したらどうだろう」
ミッツ「ジャズアレンジですか」
ヤッ子「元々ジャズの曲、流行歌やクラシック曲のジャズアレンジなどがあるから」
ミッツ「あ、そうですね」
ヤッ子「もし、予算が許せば、楽譜集だけでなく、ジャズピアノの教則本もいいな。『ピアノでジャズにトライ』とか『なんとなくジャズ』とか、そんなタイトルのもので」
以上の書名は、架空のものなので、実在していた場合、別な名前にする。
ミッツ「初心者向けですね」
ヤッ子「楽譜集は、初心者向けの簡単アレンジのものと、「こんなの弾けないよ」という難しいものの両方があると良いかも。同じ曲が、2冊でどう違うのかを見比べるとか」
ミッツ「弾けないアレンジは、初心者ですから無理です」
ヤッ子「弾けない楽譜を弾くんじゃなく、弾けるように自分で簡単にアレンジするんだ」
ミッツ「どういうことですか?」
ヤッ子「初心者向けの楽譜は、せっかくの和音の良さが無くなっているものもある。かといって、そこに和音の音符を自分で付け足すのは無理だろう?」
ミッツ「無理無理!」
ヤッ子「だから、既に難しくたくさんの音符が書かれている楽譜を使って、そこから音符を消したりするのなら、できるだろう」
ミッツ「あ、そうですね。2冊の、難しいアレンジと、簡単なアレンジを見て、中間のアレンジの楽譜を、自分で書くんですね」
ヤッ子「クラシック曲に慣れている人には、弾きにくいという部分もあるだろう。弾きやすいように、1オクターブ移動させたり、左手の補佐を右手でするなど、勝手に書き直すだけでも、弾きやすくなることもある」
ミッツ「そんな、勝手に変えてもいいんですか? 著作権の問題とか」
ヤッ子「勝手に書き換えたものを、販売するのなら、まずいだろうな」
ミッツ「ピアノの練習のために書き換えるんですから、大丈夫ですね」
ヤッ子。微笑む。「わからないことがあったら、また聞きにおいで」
ミッツ「ありがとうございます」
▼ 場面変更
次の日。
放課後。
ミッツが来る少し前、音楽室にハルとヤッ子。
ヤッ子「早坂君、私のピアノで、踊ってみないか」
ハル「え? まさか、社交ダンス?」
ヤッ子「それもいいが……」髪を束ねているバンドを外し、長い髪がなびく。「……スウィングを感じてくれ。まずは、脱げ!」
ハル「は、はいぃー?」
ヤッ子「今、脱ぐのが嫌なら、踊りながら脱げ」ヤッ子の髪の毛が、静電気で広がる。
ハル「は、はいぃー?」
ヤッ子「さあ、私のピアノで、心のおもむくまま、踊るのだ!」ピアノを弾く。髪の毛が妖怪のように広がり、静電気の放電が、音楽室の全体に広がる。
曲は、ブギウギやラグタイムをシャッフルしたもの。
ヤッ子。弾きながら、髪の毛が顔に付いたり、髪の毛の先が口に入り、ますます怪談の幽霊や妖怪のようになる。
ハル。曲の雰囲気に合わせて踊るが、下手。
踊りが長時間であることを表すために、学校の敷地内の風景などを挿入する。風景の挿入と、ハルの踊る姿を交互にする度に、ハルが薄着に変わる。
ミッツが廊下から、音楽室のドアの窓から中を見る。
手には、1時限目の前に、ヤッ子に見せた、ジャズピアノの教則本を持っている。
ピアノに向かったヤッ子が、ノリの良い曲を演奏。ヤッ子の顔のアップは、髪の毛が広がり、稲妻が光る。いつもの、妖怪っぽい様子。
廊下にいるミッツから見ると、ヤッ子は静電気で髪がボサボサ。
ヤッ子の演奏に合わせて、ハルが踊っている。それなりに、上手になっている。近くの生徒用の机には、脱いだワイシャツが無造作に置かれている。
ヤッ子。ミッツが室内に入って来て、少しの時間、見ていたのを確認し、演奏を終わらせる。
ハルは汗だく。上半身はシャツ(下着)姿になっている。
ミッツ「素敵、かっこいい、ヤッ子先生も、ハルも」
ヤッ子「わかったか、早坂君の踊りがスウィングだ」
ミッツ「え? 踊り?」
ハル「え? 僕?」
ヤッ子「そうだ。シャッフルは3連符で弾む演奏方法のこと。スウィングは、気分のノリってことだ」
ミッツは、ジャズの教則本で「シャッフルとスウィングの違い」を疑問に思い、ヤッ子に朝から尋ねていた。今日のヤッ子は、朝から多忙だったので、ミッツは改めて、放課後の音楽室に来た。
ヤッ子。話しながら、髪を後ろで束ね、短時間でいつもの髪型になる。妖精ちゃんが集まって、櫛で髪を梳くなどの世話をしても良い。
ハル「僕は、ミッツのために、踊らされていたんですね」
ミッツ「あたしのため?」
ハル「それで、暑くて、ワイシャツも脱いだんだ」
ミッツ「スウィングは、気分?」
ヤッ子「そう。3連符でシャッフルしていても、ただ聞くだけの演奏は、こうだ」ノリの無い演奏。
ヤッ子「しかし、聞いていると、自然に体を動かしたくなる演奏は、こうだ」さっきと同じ楽譜のはずなのに、ノリのいい演奏。
ハル「あ、ほんとだ」
ヤッ子「スウィングってのは、こんな風に、聞いている人の体も、自然に動かすもんだ」
ミッツ「だから、スウィングが気分のノリなんですね」
ハル「ヤッ子先生。さっき、何でシャッフルって、言ったんですか? ちょっと聞き取れなくて」
ヤッ子「スウィングのことか?」
ハル「いいえ、それではなく、何か、数字、3? が何か……」
ミッツ「3連符じゃない?」
ハル「そう! それ」
ヤッ子「ああ、済まなかった。初心者がいるのに、うっかり、「まるで一般常識のように」という言い方をしてしまった。気を付けてはいるのだが、申し訳ない」
ハル「いえいえ」
ミッツ「第2話で、音符の音価は、半分の半分の……だけって、言ったでしょ」
ハル「おんか?」
ミッツ「音符の、音を鳴らし続ける時間」
ハル「ああ、あれか。全音符の時間の、2分の1の時間は2分音符、4分の1の時間が4分音符。思い出した」
ミッツ「その時間を、「2分音符の音価」とかって言うの。あの時、ハルが、3分の1の時間は無いのかって聞いたでしょ?」
ハル「聞いたかなあ……」
ミッツ「また、忘れている。その時、あたしが「3分音符は無いから、特別な書き方をする」って、それが3連符」
ハル「ああ。その時のことは覚えていないが、3分の1には興味がある」
ミッツ「ヤッ子先生。演奏をお願いできますか?」
ヤッ子「はははっ。任せておけ」指をパチンの鳴らす。
ヤッ子「左手は、単調に鳴らし続ける。右手は「2分の1」「3分の1」のようにしようか」
ミッツ。ヤッ子に向かって。「お願いします」
ミッツ。ハルに向かって。「今は、シャッフルが主題だから、連符の詳しいことは、第8話まで待ってね、坊や」指を顔にあてるなど、色っぽい表情。
ハル「ヤッ子先生、お願いします」
次回は …… 【エピソード 034】 ロックは岩じゃない。ダイアトニックコードのうち、3つが主要三和音。主要三和音をセブンスコードしたスリーコードは、ロックンロールやブルースで。ヤッ子は理科の先生。
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