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【エピソード 022】 ギターでカポ3でAmを弾くとCmが鳴る。ギターでカポ3で「Em、Am、B7」を演奏すれば「Gm、Cm、D7」が鳴る。AmからC♯mまでは、同じ形。カポタストがあれば。

【前書き】

なぜ記号だらけの楽譜を見て、音にできるのか?

初心者向け楽譜の謎解きエンターテインメント。


▼ 登場人物

ハル、ミッツ、ステラ、ショージ …… 同じ中学校の生徒。

ヤッ子 …… 理科教師。プライベートでジャズピアノ。


楽譜の読み方「楽典」を、アニメ脚本っぽい形で説明します。


「一方的に教えるのではなく、疑問に応える」「アニメ表現を利用」です。




オリジナル『ガクテン』または『ガクテン♪ソフト版』から、「余計な物語りは不要、要するに音楽の話だけ」の需要に応えた、楽典に特化したものです。


そのため、ドラマチックな「キャラの魅力」「ラブ要素」「ジョーク」は無くなりました。


唐突に音楽の話になる「教育アニメ(エデュテインメント)」となりましたから、ストーリーには違和感があります。


「再放送や、Blu-rayの、長期的な繰り返し需要の視点から、web小説よりも、アニメで説明したい」という気持ちが強いです。




人間ドラマも含めたもの、アニメ化に向けての自由度(情報の取捨選択、話数変更など)は、オリジナル『ガクテン』または『ガクテン♪ソフト版』を、ご覧願います。


ここでは、人間ドラマなどが無く、音楽の情報だけが、連続している。レトロSFの宇宙食のように、味気の無いものです。



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【エピソード 022】 ギターでカポ3でAmを弾くとCmが鳴る。ギターでカポ3で「Em、Am、B7」を演奏すれば「Gm、Cm、D7」が鳴る。AmからC♯mまでは、同じ形。カポタストがあれば。


▼ 場面変更


ハルが、父親からギターを譲り受けた翌日。


ハルと、ハルの父親。楽器店に行き、ギターをメンテナンス。待っている間、二人で、いくつかの小物を買う。


メンテナンスが終わり、父親が受け取る。父親の左後ろから、ハルがのぞき込む。


父親。カポタストを3フレットに付ける。


ハル「それは?」


父親「カポタスト、略して「カポ」という道具。6本の弦をまとめて押さえる道具だ」背景に「カポタストは、いくつかの形状があります」の文字と、形状の例を表示する。


父親。カポ3で、コードAmを鳴らす。「さっき買った楽譜雑誌に、ギターのコード表があるだろう」


ハル。コード表のページを開く。コード表は、最上段が見出しで音名が左から右に向かって「C」「C♯/D♭」「D」「D♯/E♭」となっている。


父親。コード表の、AmからCmを指す。「こうして、カポ3でAmを演奏すると、Cmが鳴る。ほら、AmからC♯mまでは、同じ形で、カポ無しからカポ4まで、ずれて行っている」


ハル「あ、本当だ」背景に、音楽の先生から、コード表を見て、間違い探しをする話を思い出す。


父親「同じように、EmからG♯mまでも、カポ無しからカポ4まで、同じ形で移動だ」


父親「ちょっと、これとこれを、見比べてごらん」コード表の、EmからG♯mまでと、EからG♯を指す。


父親「EmからG♯mは、同じ形のまま移動している。でも、EからG♯は、Gだけが違う形だな」


ハル「うん」


父親「同じ形のまま移動してはいけないのかな?」ハルに問いかけ。


ハル「あ、それは知ってる。どっちの押さえ方でも、コードの鳴る音の……成分? 何だっけ」


父親「和音構成音」


ハル「そう、その音の組み合わせが同じ、使っている音が同じ。オクターブ違いは、気にしない」


父親。感心する。「いいねえ、いいねえ。どっちも和音構成音が同じだから、簡単な押さえ方の方がいいだろう。この表を必要とするのは、まだ和音構成音を思い出すのに慣れていない時期だから」


ハル「そうだね」苦笑い。


父親「同じ形のまま移動するのもいいし、コード表に書いてある形でもいいし、どっちにしても「G」は「ソ、シ、レ」が鳴ればいい。ここでもいい、ここでもいい」いくつかの場所でコード「G」を鳴らす。


いつの間にか、周囲に数人の客達が集まっている。熱心に聞いている中高生もいる。


その中には、吹奏楽の先生からウクレレを紹介された生徒もいる。持っている段ボール箱は、ウクレレ。


ハル「コード表って、カポと繋がっているんだね」コード表の、音名の部分を指でトン、トン、トン……。


ハル「この、音名の表も、ピアノの鍵盤の並びと同じで、ギターのフレットの並び順とも同じ」


コード表の、音名の欄だけが残り、他の部分が消える。音名の欄の下にピアノの鍵盤、上にギターのフレット。


コード表の音名の欄は、黒鍵部分が薄墨にすると、鍵盤との関係がわかりやすい。ただし、白鍵よりも文字数が多いので、読みにくくならないように。


父親「G♯mの次のAmは、いきなり形が変わるけど、これまでの続きでもいい」


父親。カポを外す。


父親「Em、Fm、F♯m、Gm、G♯m、Am、B♭m、Bm」言いながら、同じ形のまま、どんどん高くする。


父親目線で、手がどんどん高くなりながら、過去の押えた場所の手は、残像のように薄く残っている。


ハル「ということは、形が似ていなくてもいいんだね」


父親「そう。ある曲で、Gm、Cm、D7というコードが使われていて」コード表の、3つのコードをマルで囲む。


父親「これをカポ3にすると……」3つのマルが分身の術で分かれて、コード表の3フレット分移動。「……Em、Am、B7になる」


ハル「うん」


父親「コード表で、隣の隣のって数えて、端まで行ったら、続きは反対側に繋がっている。ドーナツみたいなものだ」楽譜雑誌のコード表のページを持ち、紙を円筒状に丸める。


ハル「鍵盤ドーナツみたいだね」背景に、ヤッ子から教わった鍵盤ドーナツを表示する。


画面の左側に、鍵盤ドーナツを表示する。画面の右側には、父親が円筒状に丸めたコード表を、ドローンカメラのように、円筒の内側から見るように移動して、音名部分を見る。音名部分が鍵盤ドーナツのように円形になる。


父親「鍵盤ドーナツは知らないが、多分、同じことを説明しているんだろう」


父親「カポ3でEm、Am、B7を演奏すれば、Gm、Cm、D7が鳴るってこと」画面上段にカポ3の形。下段にカポ無しの形。指し棒でGmとEm、CmとAmに「似ている」、D7とB7に「似ていない」。


ハル「へえ。こんなに形が違うのに、和音構成音が同じなんだ」音楽室で、音楽の先生が黒板に書いた「C」の「ド、ミ、ソ」が、どっさり書かれていたことを思い出す。


父親「コードは、ギターだけでなく、ピアノでも同じだし、吹奏楽ではみんなで和音構成音を分担することもできる」


ハル「オーケストラも?」


父親「そうだ、オーケストラだって、和音構成音を分担している。トランペットが3人で「ドミソ」を鳴らして、サックスも3人で「ドミソ」を鳴らす」


ハル「そうだったんだ……」


父親に指し棒。「お父さんは、オーケストラのことを、少しだけ知っていますが、詳しくは知らないので、簡単な説明をしています」


周囲に集まっている中高生は、小声で友達同士でギターの身振りをしながら、教え合っている。


父親「さらに、ギターならではの、衝撃の演奏方法を教えよう」


父親。ギター弾き語りの楽譜を出す。


父親「この歌の、ギター伴奏の所を見ろよ。ここのコードはCだから、ギターでCを押さえて……」楽譜のアルペジオを見る。「……楽譜のドミソミ……は、左手でCの形であれば、そのまま演奏できる」


ハル「え? え? ああっ、本当だ。音符の1つ1つの場所を探さなくても、コードを押さえたら、もう用意されているんだ。うおおお!」身震いする。


父親「音符の玉は個別に読むものだが、和音としてまとめて見たら、読譜は楽になるぞ」背景に「読譜」の文字と、フリガナ。


ハル「あれ? Cなのに、ここはレがある」


父親「そういうこともある。まあ、スパイスみたいなもんだな」


父親「伴奏の中にメロディっぽいこともある。鳴っている音の全部をコードネームに含める必要も無いし、コードネームに無い音を鳴らしてもいい」


ハル「コードって、そんなにいい加減なの?」


父親「いい加減じゃなく、演奏する時には、窮屈な杓子定規ではないってこと」


ハル「気が楽になると思っていいのか、悪いのか」


父親「ついでに言うと、ギターの伴奏で歌ったら、「歌いにくいから、もっと高く」とか「もっと低く」とか、要望があったりするね」


ハル「うん」


父親「ギターなら、カポの位置を変えるだけで、同じ演奏のままでいいよね。これを「キーを上げ下げする」という」


父親「これを、ギター以外の楽器ですると、例えば縦笛ですると、指遣いが大変だ」


次回は …… 【エピソード 023】 音叉のA=440。「A」が「ド」ではないのは、民族音楽と白鍵。『ドレミの歌』が、昔もあった。祖父がキーボードを始める。コードがあれば、わざと間違えても気付かない。



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