【エピソード 020】 コードは要するに「だらけ」。規則性のあるコードなのに「違うよ」の答え。楽譜をちゃんと読みなさいと言われないウクレレ。分数の割り算の意味が納得できたのは大人になって。
【前書き】
なぜ記号だらけの楽譜を見て、音にできるのか?
初心者向け楽譜の謎解きエンターテインメント。
▼ 登場人物
ハル、ミッツ、ステラ、ショージ …… 同じ中学校の生徒。
ヤッ子 …… 理科教師。プライベートでジャズピアノ。
楽譜の読み方「楽典」を、アニメ脚本っぽい形で説明します。
「一方的に教えるのではなく、疑問に応える」「アニメ表現を利用」です。
オリジナル『ガクテン』または『ガクテン♪ソフト版』から、「余計な物語りは不要、要するに音楽の話だけ」の需要に応えた、楽典に特化したものです。
そのため、ドラマチックな「キャラの魅力」「ラブ要素」「ジョーク」は無くなりました。
唐突に音楽の話になる「教育アニメ(エデュテインメント)」となりましたから、ストーリーには違和感があります。
「再放送や、Blu-rayの、長期的な繰り返し需要の視点から、web小説よりも、アニメで説明したい」という気持ちが強いです。
人間ドラマも含めたもの、アニメ化に向けての自由度(情報の取捨選択、話数変更など)は、オリジナル『ガクテン』または『ガクテン♪ソフト版』を、ご覧願います。
ここでは、人間ドラマなどが無く、音楽の情報だけが、連続している。レトロSFの宇宙食のように、味気の無いものです。
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【エピソード 020】 コードは要するに「だらけ」。規則性のあるコードなのに「違うよ」の答え。楽譜をちゃんと読みなさいと言われないウクレレ。分数の割り算の意味が納得できたのは大人になって。
アルペジオの部分は、鍵盤だけの絵で、和音構成音の鍵盤、弾いている瞬間の鍵盤は、色を変える。
ミッツ「あ、そう、それ」
ハル「何が?」
ミッツ「これはA7っていうコードで、ラ、ド♯、ミ、ソだらけ。それ以外の音は、本当に珍しいくらい」
楽譜を表示し、和音構成音以外の音符の玉が、赤く点滅。
ヤッ子「コードを教えたり、教わったりすると、なぜか似たような話が起こるようだ」
ハル「似たような?」
ヤッ子「コードを教える側は、「コードは、規則性があるから簡単だ」と言うんだ」
ハル「確かに、スロットマシンで、規則性がわかりやすいですね」
ヤッ子「ところが、少しややこしいコードで、質問すると、大概は「違うよ」の返答なんだ」
ハル「ど、どういうことです?」
ヤッ子「音符が「ド、ミ、ソ」だから、「コードはCですね」と質問する」
ハル「それは絶対、Yesでしょう」ミッツの方を見て、同意を求める。
ミッツ「そうですよ」
ヤッ子「ところが、「違うよ」になることがある」
ハル「ど、どういうことですか?」
ヤッ子「直前に、「ミ、ソ♯、シ、レ」のE7があるから、「Am7の根音省略」が正しいという答えだ」
ミッツ「あっ、そうですね」
ハル「根音省略?」
ヤッ子「ピアノをしている蜜霧君だって、「ソ♯」の場合があるとは、すぐに思い出せなかったんだ。早坂君は今日、教わったばかりだから、意味不明に思うだろう」
ヤッ子「コードの基本は、3つの音を選ぶのだが、工夫して、あれこれと音を増やすことがある。「テンション」と呼んで、根音から数えた数字を、コードネームに加える」
ハル「3度音と5度音のほかに?」
ヤッ子「コードネームのスロットマシンの、「補足の数字」に、「7」や「9」が見えただろう?」
ハル「はい。ちらっと見えただけですが」
ヤッ子「あれは、「加える」「変える」の2つの意味がある。どの数字も根音から数える。根音から「7度音を加える」「5度音を変える」といった使い方をする」
ハル「なるほど」
ヤッ子「7度音でも、「長7度」と「短7度」があるな。この2つを、どんな書き方で区別するのかなど、多様なんだ。補足の数字の書き方は、「同じ意味で違う表記」「同じ表記で違う意味」もある」
ヤッ子「和音構成音が、4つ以上、または、5つ以上なら、それを「テンション」と呼ぶ。テンションに限らず、前後関係も含めて、質問したら「違うよ」の返答になることがある」
音楽の先生「学者ではないので、正確なコードネームとか、そういったことは、誤りがあっても、誰も困りません。質問して、答えを頂きますが、人によって答えが異なることもあるのです」
ヤッ子「まあ、心配するな。早坂君が私に質問する時は、「こうですよね?」ではなく、「これはなぜですか?」だろうからな」
ハル「例えば?」
ヤッ子「「ド、ミ、ソ」なのに、「Am7」と書いてあるのはなぜかと思うだろう?」
ハル「そうですよ。「C」ですよね?」
音楽の先生「早坂君でしたら、Cではない理由は、なぜなのかを知りたいから、ご質問なさるでしょう」
音楽の先生「先程「学者ではないので」と言いましたが、それは、「一般の人には、猫に小判だ」という意味ではありません」
音楽の先生「より、しっかりした理論を踏まえたうえでというのは、慣れていない現在では無理なことです。しっかりと理論を理解できる頃には、慣れているでしょう」
ハル「つまり、理論が必要な頃には、慣れている。慣れていない頃なら、理論は理解できない。理解できる範囲で楽しめばいい。無理すれば楽しくない。ということですね」
音楽の先生「譬えれば、言葉を話し始めた幼児に、正しい文法や語源を理解させるのは、荷が重いでしょう。正しい文法や語源を知りたくなるのは、言葉に慣れてからの時期です」
▼ 場面変更
吹奏楽部の練習が終わり、先生が廊下に出ると、一般の生徒がいた。
女子生徒2人連れ。先生に用があるのは1人。もう1人は付き添い。先生との会話の中で、女子生徒同士で目を合わせることもある。
先生に用がある1人は、今回の話で再登場(楽器店の場面と、祖父との場面)するので、明確な特徴があること。
生徒「何か、簡単にできる楽器って、ありますか?」
吹奏楽の先生「ちゃんと自分で演奏できて、専門の先生に就かなくても楽しめて、「楽譜をちゃんと読みなさい」と言われない楽器では、ウクレレがあります」
生徒「ウクレレ? ウクレレって、ギターの小さい、あれですか?」
生徒「ウクレレには、楽譜って無いんですか?」
吹奏楽の先生「楽譜はあるけれど、コード弾きで十分でしょう。ただし、調律は自分でしましょうね」
生徒「調律って、チューニングですか?」
吹奏楽の先生「コード理論とかではなく、最初は教則本に載っている曲を弾くんだよ。「楽譜をちゃんと読む」ではなく、弾いていて何か変だと感じたら、コードの絵を確認すればいい」
吹奏楽の先生「理屈はどうでもいいよ。「なんだか、わからないけど、D7とAM7って、似てる」って思ったりね」背景に、2つのコード図を表示し、「似てる」を添える。
吹奏楽の先生「とりあえず弾けて、慣れたら理屈の意味がわかるってのは、分数もそうだよね、分数の割り算って、意味が分かりませんよね?」
吹奏楽の先生「でも、計算の仕方も教わったので、その通りにやれば正解になるから、まあいいかって」
生徒「そうそう、そうなんです、まあいいかって」
吹奏楽の先生「実は僕も、分数の割り算の意味が納得できたのは、大人になってからですよ」
▼ 場面変更
音楽室。さっきの続き。
コードネームと、和音構成音の話。
ハル「ちょっと気になったんですが、音程は「短」「長」「完全」だけなんですか? 3度の長と短がありますが、完全3度はありますか?」
音楽の先生「良いところに気付きましたね。実は、「短」「長」を使う場合と、「完全」を使う場合は、はっきりと分かれているんです」
ハル「はい」
音楽の先生「「完全音程」は、響きが良すぎて、味気無いのです」
ハル「あ、やっぱり、そうですか」
音楽の先生「実際に音を出して、確かめましたね。その通りです」
ハル「そこで、鍵盤モノサシに書いてくださった「長6度」などを確認すると、1オクターブの距離で、半音が6つ分の距離だけが無かったんです」
音楽の先生「丁寧ですね」
ヤッ子「早坂君は、このように丁寧な確認をするんです」
音楽の先生「そうですか。大切な長所ですね」
ヤッ子。ハルが持っている鍵盤モノサシの紙を横取りし、裏返す。そこには、書きかけの、表形式の音程があった。
ヤッ子「このように、きちんと……って、きちんとしていないじゃないか」
ハル「あ、それは、どんな形の表にしたらいいのか、試行錯誤の途中です。出来上がりはこっち」ポケットから、折り畳んだ紙を出して、広げる。
音楽の先生とヤッ子。見て感心する。
ヤッ子「カラクリを理解しようとして、結果的に、虱潰しの空白が見付かったんだな」
ハル「そうです」
音楽の先生。黒板に向かって歩きながら。「小さなことでも、丁寧に行うのも、謎解きでは大切ですね」
次回は …… 【エピソード 021】 鍵盤モノサシで音程の確認。完全系と長短系。鍵盤ドーナツは、時計の文字盤に似ている。ハルが父親からギターをもらい、明日は楽器店でメンテナンス。
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