【エピソード 019】 コードの「メジャー」は野球の「大リーグ」。コード表の「共通の間違い探し」で「規則性を見付ける」になる。いつの間にか覚えたら、カラクリも身に付き、便利。
【前書き】
なぜ記号だらけの楽譜を見て、音にできるのか?
初心者向け楽譜の謎解きエンターテインメント。
▼ 登場人物
ハル、ミッツ、ステラ、ショージ …… 同じ中学校の生徒。
ヤッ子 …… 理科教師。プライベートでジャズピアノ。
楽譜の読み方「楽典」を、アニメ脚本っぽい形で説明します。
「一方的に教えるのではなく、疑問に応える」「アニメ表現を利用」です。
オリジナル『ガクテン』または『ガクテン♪ソフト版』から、「余計な物語りは不要、要するに音楽の話だけ」の需要に応えた、楽典に特化したものです。
そのため、ドラマチックな「キャラの魅力」「ラブ要素」「ジョーク」は無くなりました。
唐突に音楽の話になる「教育アニメ(エデュテインメント)」となりましたから、ストーリーには違和感があります。
「再放送や、Blu-rayの、長期的な繰り返し需要の視点から、web小説よりも、アニメで説明したい」という気持ちが強いです。
人間ドラマも含めたもの、アニメ化に向けての自由度(情報の取捨選択、話数変更など)は、オリジナル『ガクテン』または『ガクテン♪ソフト版』を、ご覧願います。
ここでは、人間ドラマなどが無く、音楽の情報だけが、連続している。レトロSFの宇宙食のように、味気の無いものです。
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【エピソード 019】 コードの「メジャー」は野球の「大リーグ」。コード表の「共通の間違い探し」で「規則性を見付ける」になる。いつの間にか覚えたら、カラクリも身に付き、便利。
▼ 場面変更
先生ちゃんの説明が終わり、さっきの続き。
ヤッ子「コードネームは英語でいうことになっていて、長和音は「メジャーコード」、短和音は「マイナーコード」と呼ぶ」
ハル「野球の大リーグ? と、関係あるのかな?」
音楽の先生「正解です。メジャーは「主要」、マイナーは「主要ではない」の意味。そのうち、ドイツ語やフランス語の「ドゥア」と「モール」、これは「硬い」と「軟らかい」の意味ですが、これも使うことになるでしょう」
ヤッ子「外国語では、硬いとかの意味が付いているが、日本語ではそのまま「長い」「短い」の名前だな」
ハル「あ、その、根音からの距離が長いか短いかって意味ですね」
音楽の先生「こんなカラクリがあると、知っておくことは良いでしょう」戸棚から、楽譜雑誌を出す。
音楽の先生「このような雑誌には、ギターとピアノの、両方のコード表があるものです」
ハル「へぇ」
コード表は、見開きの左ページにギター用、右ページにピアノ用がある。どちらも、最上段が見出しで音名が左から右に向かって「C」「C♯/D♭」「D」「D♯/E♭」……となっている。
音楽の先生「表の、上の見出しは「根音」です。表の、左側の見出しは「和音の種類」と「補足の数字」です」
ハル「この「Major」は「メジャー」ですか? 数字が無ければ、補足の数字が無いという意味ですね」
音楽の先生「そうです。スロットマシンの組み合わせを、「行列の2次元」にしたものです。この表は、すぐに見慣れると思います」
ハル。コード表のうちの1つを見て、心の声。「(あ、これは、先週の授業の形だ)」黒板の近くの壁のコード図と見比べる。
ハル「ここには、コードの「C」は、1種類だけ書かれていますよね。さっき……」黒板の、ギターの図に近付く。「……この辺りでも、この辺りでも、指が届けばって言ったうちの1つが、ここに書かれているんですね」
ヤッ子「その通りだ。いくつもある押さえ方の、全部を載せると、情報が多過ぎて困るだろう。「C」の形を1つ、「Am」の形を1つ、という覚え方でいい。カラクリを知らなくても、演奏に参加できるのが目的だからな」
音楽の先生「カラクリをお教えしましたが、カラクリを先に覚える必要はありません。かといって、このコード表の全部を暗記するのも、目的ではありません」
ハル「では、この表は、何の役に立つんですか?」
音楽の先生「好きな曲を、コード表を見ながら鳴らして楽しむのが目的です。そのうち、よく使うコードから、いつの間にか覚えるでしょうし、いつの間にか覚えたら、カラクリも身に付き、便利になりますよ」
音楽の先生「しかし、演奏を目的としてない早坂君にとっては、「よく使うコード」よりも、「共通の間違い探し」で「規則性を見付ける」が、好みに合いそうです」
ハル「間違い探し?」
音楽の先生「ピアノの鍵盤のコード表を、見てみましょう。「C」と「Cm」は、名前が似ています。「D」と「Dm」も、名前が似ています」
音楽の先生「ここで、「どのように似ているか」を見付けて、「m」があるのと無いのとで、共通して変わっているのは何かを探します。これが「共通の間違い探し」で、変わり方の「規則性を見つける」です」
音楽の先生「「C」の仲間と、「D」の仲間での共通を見つけたら、「E」の仲間や、「F♯」の仲間でも、同じ規則性があるかを確認できます」
ハル「では、ピアノのコード表があれば、ギターのコード表は、いらないんですね」
音楽の先生「いえいえ、実は、ギターのコード表も、重要ですよ。ギターのコード表は、「m」の仲間、「7」の仲間で規則性を探します」
ハル「そうなんですか? ピアノのコード表があれば、ギターのコード表は不要だと思うんですが」
音楽の先生「ギターでは、ポジションの都合があります」
ハル「ポジションの都合? ですか」
音楽の先生「そうです」
ハル「もしかして、指が届くかですか」
音楽の先生「その通り。指が届くかの都合です」
ハル。ヤッ子に向かって、小さなガッツポーズ。
ヤッ子。ハルのガッツポーズに対して、表情で褒める。
音楽の先生「ポジションの都合には、もうひとつの理由があります」
ハル「え?」ヤッ子を見る。
ヤッ子。表情で「挑戦してみろ」を表現する。口をしっかり結んで、口角を上げる。眉は、怒ったように眉尻を上げて、上下する。
ハル。少し考える。
ヤッ子「ヒントだ。ピアノでは、1つの音の担当は、1つの鍵盤だけだ」
ハル。心の声。「(当たり前のことだ。でも、今はギターの話。ミスリードで、わざとピアノの話をしたが、ギターで考えよう)」
ハル「わかりました。ギターでは、同じ高さでも、違う弦で鳴らすことができる……ですか?」
音楽の先生「正解です」
ヤッ子。音が出ないように、拍手する。
音楽の先生「ピアノでは、1つの音に1つの鍵盤があります。けれど、ギターの弦は6本だけです。ということは……」ギターの第1弦で、「ファ」と「ソ」を示す。「……このファとソを、同時に鳴らすことはできません」
ハル「勿論、わかります。ええーっと、それが、ポジションの都合ですか?」
音楽の先生「そうなんです。あるコードでは、ファとソの、両方を使いたい、でも、この第1弦では、どちらか片方しか使えない」
音楽の先生「ということは、第1弦がファを担当したら、どこか別な弦がソを担当する必要がある。といった、どの弦が、何を担当するかといった工夫が必要な楽器なのです」
ハル「うーん、難しい」難しいことを喜ぶように、眉と目は怒ったように、口は不二家のペコちゃんのように舌を出す。
音楽の先生「しかも、指の都合もあるので、担当する弦の選び方は、もっと難しくなります」
ハル「そ、それを先に知る必要が、あ、あるんですか」
音楽の先生「いいえ。ここでは、コードの形を考案するのではなく、表に書かれている「m」の仲間の違いの、規則性を発見するのが目的です」
ハル「でしたら、ポジションの都合って、知らなくても良さそうですが」
音楽の先生「知っているべきです。というのは、「どんな都合があるのか」ではなく、規則性から逸脱しているように思えるものがあった時に、気分が楽になります。「きっと、ポジションの都合だろう」と」
音楽の先生「そこで、「規則性が壊れている」は勘違いで、「規則性が壊れているように見えるのは、ポジションの都合だ」と思ってほしいのです。ポジションの都合で、形が異なっていても、和音構成音は揃っている、だから、これでいいと」
ハル「あっ、そういうことですね。ポジションの都合があると知っていれば、僕が迷走しないでいられます」
ミッツが入って来る。
ハル。少し鷹揚な態度で。「いいところに来た。俺は今、コードを習ったんだ。コードネームはスロットマシンなんだ。知ってたか?」
ミッツ「コードネームは、よくわからないけど、Cだったらドミソでしょ?」
ハル「なんだ、知ってたのか」
ミッツ「クラシックピアノの楽譜に、コードネームは書かれていないけど、何となくでもいいから知っていたら、役に立つよって、ピアノの先生が言ってた」
ミッツ「クラシックピアノの楽譜には、コードネームが書かれていないものが多いけど、コードは役に立つよ」
ミッツ「コードのCはドミソだから、「この小節は、ドミソだらけ」って思えば、覚えやすい。あたしのピアノの先生は、クラシックが専門だから、詳しいことは知らないけどって、言ってた」
ヤッ子。ピアノで『花のワルツ』(『くるみ割り人形』、チャイコフスキー)の、イントロの数小節を弾く。イントロの16小節目からの「カデンツァ・アドリブ」の部分を弾く。
次回は …… 【エピソード 020】 コードは要するに「だらけ」。規則性のあるコードなのに「違うよ」の答え。楽譜をちゃんと読みなさいと言われないウクレレ。分数の割り算の意味が納得できたのは大人になって。
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