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第79話 黒き場

「ぜぇ、ぜぇ、ふーっ。」


「いいね〜、まだまだいけるよ〜♪」


「はぁ、はぁ、ぁ゙〜っ」


「またしても日に日に様になってるじゃないか?アルは見ていてホント飽きないな。」


「ぶはっ、ヒュー、ヒューぅ。」


「しゃしゅがあるしゃん……かっこいいれすぅ〜、(ガクッ)」





「お゙〜ま〜え゙〜ら〜、いい゙かげんにでづだぇ゙~!!」


 マジに死ぬ。幽霊は状態異常攻撃しか無いようで、確かに俺へのダメージは無い。どうやら俺の剣はそういう攻撃すら防いでくれるっぽい。だからといって俺が強くなる訳でも何でもない、本体は体力も含めそのまんまなんだよ?分かってるのか?


 長時間労働、無休、パワーハラスメント………過労死まっしぐらじゃないか、俺。

 離職さえも許されない、ブラック…いやデビルカンパニーから逃がれる方法はなんか無いんだろうか?



 神さま仏さま勇者さま、どうかこの囚われの仔羊を救って下さいませ…………







 いねぇ!いねぇよ!!神も仏も勇者もな!畜生!腹立ってきた。さっさと終わらせてやる!できるだけ体力使わなでチクチクやってりゃその内消えんだろ。

 幽霊が弱った分ラッキーの状態が良くなっている感じだ。病気とかじゃなく呪いみたいなものなのか?今の俺ならもっと強い呪いをオマエ等に掛けられそうだけどな。


 そんな事を考え自分をなんとか奮起していたのだが、幽霊の様子がおかしくなっていた。大きさが5m位縮んでないか?しかも、なんか脚が生えてきている。おまけにほぼ透明に近かった体が普通の人間の血色を帯び始めていた。


「うわっ、なんだ?今攻撃が掠ったぞ!?幽霊じゃねえ、実体持ち始めたぞコイツ!?」

 勝手に生き返ってんじゃねえよ!そんな事有り得ないだろ?


 でも、ならば選手交代しても良いって事だよな。



「おい!オマエ等の出番だぞ!いい加減交代しろ!」


「え〜、なんだよ〜いい感じだったのに〜。そのままやっつけられんじゃないの〜?」

 いいから早く倒せ。何もしなかったら何もしなかったで後でグチグチ文句垂れんだろうが。


「グガァーーッ!」

 巨人の雄叫びが響き渡る。……いや、苦痛の叫び声が正しかった。


「うん、確かに今は炎も冷気も爆発も効いてるな。どうするクソディッド?早くしないと自分が殺っちゃうぞ。」

 変態も隙があったら実験しやがるな。サディストしかいないのか?このパーティーは……


「ダメだ!コッチが殺るに決まってるんだよ!まぐ夫は手ぇ出したら本気で脳天から埋めるからね。」

 どっちでも良いよ、俺が休めるなら。まあ、マグが焚き付けてくれたおかげでバカがヤル気になってくれたから助かったな。


 ん?マグは意図的にそうしてくれたのか?今はそんな性格じゃなかったような………


 いやいや、気のせいだなきっと。衝撃を受けてないのに脳のチャンネルが変わるなんてヤバイ兆候なんじゃないのか?なんか痛みが感じるようになったとか言ってたし………これは要注意継続だな。


「行っくよ〜!奥義!カルテット柱四方固め!!」

 へ〜、そんな技あったんだ。ただ地面に磔にしただけじゃんかよ。センスもへったくれも無いんだから黙って倒してくれりゃいいのに。


「うおぉぉぉ、お゙ぉぉぉぉ…」 

 元幽霊は動きを封じられた後、ただ唸ってるだけになってしまっているのだが、結局コイツは何なんだろうか?

 手足に打ち込まれた竹からは血が一滴も溢れてはいない。生物ではないし、もう霊体でもない。でも幾ら細切れにしても生きていそうで恐ろしい。


「誰か、コイツの正体は一体何か分かるか?」

 まあ、分かっていたら最初から通用する攻撃ができただろう。ただ、しっかり退治しないと報酬は満額貰えないので討伐の証拠を探さなければならなかった。



「あ〜、なんてこった〜。よくもわーのだいだらんちゅを〜。」

 なんだ!?近くの藪の中からフラつきながら人……?生きてるであろう人間が現れた。

 ソイツがヨタヨタ巨人に近づき、軽く手を触れた瞬間に………巨人は跡形もなく消えてしまった。


「なんだ?魔法か?何がどうなってんだ、コレ?」

 俺の経験上では見たことのない現象に思わず声に出して反応してしまった。きちんとした返事が返ってくることも無く言葉が空を切る。


「ふ〜ぅ、魔法なんかでないさ〜、わーの術で呼び出した式神っつうもんさね。だいたい、なんでだいだらんちゅが触ったのにピンピンしてるんさ〜?」

 空を切るはずの言葉にしっかりと答えが返ってきた。多分アホなんだろう、泳がしておいた方が良さそうだな。


 で、何だ?術?魔法と何が違うのか全く分からないがこのちんちくりんが騒動の原因で間違い無いっぽいな。


「オイ、貴様!勝手にコッチの獲物を消してるんじゃない!」

 困ったな、ウチのバカが泳ぎ出したぞ。お願いだから黙っててくれない?コイツの情報探んなきゃならないんだけど……


「この付近での騒ぎはお前の仕業で間違い無いのか?何が目的なんだ!」 

 今までの話の流れなら、この程度の質問をすれば十分だという確信がある。


「こほん、わーはな〜。遥か南方の神霊の国にて、古来より受け継がれし秘法を極めし者で結成された“黎明の鳳凰会”が秘密工作隊、デイトラさ〜。この王国の闇を白日の下に暴き、我が国の脅威を排除する為にこの地に参ったんさ〜!」

 …えっと、この一瞬で分かったこと纏めると、


  ①名前はデイトラ、で、

  ②南方の国、から来て、

  ③魔法とは違う術、を使い、

  ④組織で潜伏、していて、

  ⑤王国と対立、の関係にあり、

  ⑥アホ、

  ⑦黎明の鳳凰会、という旗を掲げている、と。



 以上の事が判明したな、ダメっぷりが半端ない。








 何を思ってこのアホを単独行動させてんだ?その組織は………




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