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第66話 宣戦

 バカコンビ、洞窟大好きだよな。冒険心がくすぐられるとかそんな可愛いもんじゃない。ただ単に巣穴を突っつきたいだけなんだろう。何が出るかのギャンブルだもんな………どうしようもねえよこの二匹は。ここで静かに暮らしてた人食い大蛇に申し訳ない事したな。相手が悪かったと思って成仏しておくれ。斬って、掻っ捌いて、竹で串刺しか………そのまま焼いたら蒲焼の出来上がり〜♪ って………フザケてんだろオマエ等、バチが当たるぞ。取り敢えず上手に焼けてるので腹ごしらえだな。




 散々文句言ってたのに食うのかよ!って当たり前だろ、飯食ってる時間は回復に専念できるんだからな。腹ペコって訳じゃ無いんだよ、俺は。一応こんな秘境じゃ人間なんかいないだろうから人食い大蛇もただの蛇として食えるだろうし。まあ、流石に胃袋から人が出てきたらその蛇は食べる事はないけどな。


「………と、あのドラゴン達は今までの奴よか遥かに頭が良さそうだから、俺達がバラバラに闘ってたら駄目だって感じたんだよ。」

 期せずとも作戦会議の時間が取れる事になったので、この好機を無駄にはしたくなかった。俺をしっかり護れるフォーメーションを叩き込むいい機会だからな。


「なんで?」

 いや、特にお前だよ。この間みたいにセルフ分断されちゃ堪ったもんじゃないんだよ。


「あの硬さ見てただろ?生半可な攻撃は全部弾かれちまうんだぞ。体勢立て直す暇もなくやられちまうだろ。距離取って確実にダメージ与えていかないとあっという間に疲弊しちまうよ。」

 当たり前で基本的な事をなぜ今言わなきゃならない………何回も言ってるはずなのは気のせいかな?


「アルが全部止め刺せばいいじゃん。」

 バカが馬鹿みたいな意見を大真面目に放ってきやがった。


「ああ、それは素晴らしい提案です!私達が隙を作ってアルさんに道を繋げればさっきみたいに一発で仕留めて頂けるとの事ですね!」

 こんな日中に夢でも見てたのか?デカブツ。俺は何にも仕留めてない。偶然構えた先に勝手にぶっ刺さってきただけの話だ。


「今現在、有効なのはアルの剣ぐらいのもんか。後は自分の新兵器が通用するか試してみたい所だな。流石のディッドでもドラゴン相手じゃどうしようもないか?だははははっ。」

 煽るな変態。売られた喧嘩は必ず買うぞこのバカは。


「あ?そんな剣が無くっても前にコッチはドラゴン殺してるんだよ?まぐ夫の爆弾なんてただの花火だろ?コッチの勝利の祝砲として準備しとけばいいよ。」

 商談成立したな。売った喧嘩をしっかり買い取ったよ。


「んだと?じゃあどうやって倒したんだよ?たまたま運良く急所に当たっただけじゃねえのか?」

 そうだったな、あのときは三人だったんだっけ。あれも悍ましかったな………デカブツがカイブツに変わったのもその時だったっけな。


「ああ!あの時は本当に最っ高でしたね!!私達の連携で遥かに強大な敵を倒す!それまでなく胸が熱くなりました!龍の口の中にディッドさんの必殺の青柱の一撃!思い出す度に身震いがしてしまいますよ!!」


「ラッキーだめだよ!まぐ夫なんかに情報渡しちゃ!!」

 いや、駄目じゃないだろ?仲間内の作戦会議中だぞ、情報は共有して然るべきものなんだけど………


「なるほどね〜、口の中ね。そこならディッド“如き”でも勝てるんだな。ほほ〜ぉ。」

 マグ、いい加減にしないと息の根止められるぞ。そうなっても俺は止められないからな。


「いい加減にしろ!これから相手をするのはドラゴンの大群の予定だろ?勝手なことやってっとこっちがやられちまうからな!」

 特に俺がだ!この剣のせいで下手に攻撃の数に入れられている。本当に呪いの武器になり始めてるんだけど………


「チッ、弱点教えてあげたんだから一匹位は倒してよね。アホまぐ夫。」


「今回も、“偶然”でも倒せると良いよな、クソディッド。」

  終わってるなコイツ等。デカブツは間でオロオロしてるだけだしな。使えねえよ、相変わらず。


「はい!おしまい!おしまい!!あの感じだと洞窟出たら確実に待ち構えてると思うしな。多分戻っても見張られてるだろうし………行くも地獄帰るも地獄だからな。()()なんだからちゃんと協力しろよ!」

 今まで以上の地獄ってあるのかな?………まだまだ世界は広いな、冥界の。


 先に進んだら俺は最前線に立たなきゃいけないのか………嫌だな、怖いな………







「ぐっ……分かったよ、アル。難敵である事は確かだからな、悪ふざけもこれぐらいにしといとくよ。」

 何だか分からないがマグにとって“仲間”って言葉がキラーワードっぽいな。あまり多用して効果がなくなると困るから月一位の頻度に抑えておこう。


「仲間の連携楽しみです!我々の仲間パワー、ドラゴン達に見せつけて人間の仲間の素晴らしさを心に刻み込んでやりましょう!!」

 バカ団子!一瞬で3ヶ月分を浪費してんじゃない! あ〜あ、マグも目を輝かせて同意してるよ………自信満々に仲間として胸張り出しちゃったじゃないかよ。キラーワード・キラー、恐るべし。もう効果はイマイチに成り下がっただろう。 


「どっちにしろ地面に転がったのはアルがやっつけるのは決定だから、コッチ側はどれだけ地べたに這いつくばらせられるかの勝負だね。勝負にならないと思うけど。」

 決定って何? 甘く見過ぎなのはやめてくれないかな、いくら鱗が斬れたからって肉だって硬い筋肉だよ?骨なんてもしかしたら鱗より硬くて太いよ?どう足掻いても俺の力で致命傷を与えるのは絶望的なんだけど………… 何故コイツ等は過度な期待をしたがるんだろう?やはり嫌がらせ以外の何物でもないんだろうな。





「そういや、なんかこの洞窟暑くない?」

 焚き火をしていたから暑いのは当然と思ってたのだが、それにしては温度上昇が激し過ぎる。辺りには煙が充満し始めていた。

 …………煙?……目の前の焚き火からは然程立ち上がってはいない………じゃあどこから……


「おい!ヤバイぞコレ!蒸し焼きになっちまうぞ!」

 もしこれがドラゴンの仕業なら、ただの獣相手とは訳が違ってくる。炙り出されるとするなら……


「ドラゴンが意図的にコレをしてるなら洞窟出た所でも何が仕掛けてあるかも知れないと思う。急いで出口に向かうのは当然だけど絶対気を抜くなよ!」

 完全にこれは殺しに来てるよな。捕食じゃなくて報復、つまり目的は俺達の惨殺だろうね。







 勝手に仕掛けてきて勝手に恨んでんなよ、俺は純粋に被害者なんだけど…………そういう理不尽さは普段からあるような………







 俺の隣にいる顔を見てなんか腹立ってきた。

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