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第67話 開戦

「まぐ夫。煙い。なんとかして。」

 あんだけヤイのヤイの言ってたのに都合の良いとこは使うんだな。まあ、確かに今何とかできるのはマグだろうし。


「分かってるよ。しょうがねえな、空気の流れ作るからその動きに付いて行くようにな。」

 マグは機械から何かしらの弾ををおおよその方向に発砲する。その方向に向かって風が起き、煙の動きと相まって洞窟の出口を導き出しているようだった。


「煙は吸うなよ。一応周囲に息できるように空気の層を作ってもいるけど離れたら意識失って死ぬからな。」

 凄え事をサラッとやりつつ怖え事もサラッと言ってきやがった。普通じゃ無いことをやってるのは分かるが仕組みはちっとも分からない。故に尊敬の念は湧かない、が特に問題は無いだろう。正しく変態だしな。


 視界がほぼ遮られる程の煙幕を避けることも無く悠々と先を進む。きっと表では咽ながら慌てて洞窟から出てくる俺達を待ち構えてるんだろうな。慎重に行かないとマズそうだな。そうこうする内に外の光が薄っすらと見えてきた。


「出た瞬間に襲われるかもしれないから十分気をつ………」

 足元の感覚が急激に失われた。煙から逃げるように早足で前に出過ぎていたのが災いした。何で出口に穴が空いてんだよ?


「アルさん!大丈夫ですか!」

 ナイス、ラッキー助かった。 腕を掴まれて宙吊りになったまま辺りを見渡すと、この穴結構深さがあって落ちたら大怪我間違い無かった。しかし………この穴、自然じゃないぞ………もしかしてドラゴン達がわざわざ俺達を嵌めるために掘ったっていうのか!?


「なんかムカつくね。からかってきてるよね、あの爬虫類。」

 多分な。おちょくるのはお前の得意分野だから理解できるんだろうな。俺達が何事もなく洞窟から出てきたのも、落とし穴に落ちなかったのにも特に動揺する事無く冷静に状況を観察しているようだった。


 偵察をしていただろう個体が目の前の群れと合流してきた。静かに空から降り立つと規則正しい陣形をもって俺達を迎え撃つ形になっていた。


「流石だな、アーミードラゴンとは良く言ったもんだ。」

 ……は? コラ変態、今何て言った?…群龍………軍隊……軍…龍?

 なんだか凄く物々しくなった気がする。ただワーと襲ってくるだけじゃないのか?規律正しく襲って来るのかな?軍隊アリっているじゃん。あれってちっちゃいのに名前だけで怖いじゃん?こいつら俺よか全然大っきいよな。怖さ一万倍だよ。


 落し穴を乗り越えアーミードラゴンの陣営と対峙する。静寂な一瞬を長く感じていた時だった。


「上、来るよ。」

 俺もその雰囲気は分かっていた。ラッキーとマグは空を見上げながら状況を確認した。



 遥か上空より石の雨が降り注ぐ。一個や二個でなく何百もの石礫が重力によって威力をとてつもなく上げて襲ってきた。



「直撃したら骨が折れる所じゃないぞ!?クソッ、量が多過ぎる………」

 これ一発で普通は大体は仕留めてられてしまうだろう。だかこっちも普通じゃ無いからこんな事させられてるんだよ。


「取り敢えず弾き飛ばすが、すり抜けてきたのは個々で対処してくれよ。ラックも追撃頼む。」

 マグが機械から衝撃弾を放つ。ラッキーも次々と弾を投げ付け落下の威力を相殺していた。 



 けど痛いんだよ。防具はちゃんとしてるよ。だけど兜に石が当たると衝撃が脳髄に響いてくるんだよ。 ディッドは………何事も無い様に石の雨の中を歩いていく。ラッキーは軽くステップを刻みながら石を避け衝撃弾を投げている。マグは………不死身の肉体で幾ら食らっても意に介さず、むしろ礫から機械を身を挺して守っている。


 あれ?ダメージ受けてんの俺だけじゃないのか?金属の甲高い衝撃音も鼓膜が破れる程に激しく響いてくる。傍から見ても一人だけフラフラになってしまっている………多分ドラゴン達にもバレてんだろうな、まず狙われるのは俺って事で間違いないだろう。毎度の事だが弱点担当として生きた心地がしない。


「どんだけ降ってくんだよこの石粒!上空のドラゴンって2,3体の気配しかしないのに全然降り止まないじゃんかよ!」

 ただ単に石を抱えて飛んでる様子じゃないな。何かしらの方法で大量に運んで巻き散らかして来やがる。


「このドラゴンは普段から色々な訓練でもしてんだろうな。興味深い、単純じゃないなこの生物。かなり人間に近い感覚で鍛錬積んでんじゃないのかね。」

 マグが素直に感嘆している。研究対象として興味でも持ったのか。不穏だな。


「向こうの攻撃が落ち着いてきたのでこっちからも仕掛けてみますか?取り敢えず空を飛んでるドラゴンの羽でも狙ってみますね。マグさんの更に改良を加えた鉄球、試させて貰います!」

 簡単に狙うと言ってるが俺の目には豆粒にしか見えない。あそこから俺達を狙ってくるのも大概だが、あっさり狙い撃ちを言い切るデカブツの自信も計り知れないな。


「ふんっ!」

 狙ってんのかな……?いや、ちゃんと狙ってんだろうな。余りにも遠くてただ漠然と投げつけてる様にしか見えないんだけどな。


「ギャーォ!?」

 こんなに離れてるのにドラゴンの悲鳴が聞こえると言う事は、意表を突いた攻撃を食らって大絶叫したって事だな。マジかよ、本当に命中させたのかよ!? 翼を持った影が段々と天から降ってくる………翼に穴が空き、揚力を失った様だ。


 俺達の目前に墜落する寸前に陣営の中の一体が負傷したドラゴンを空中で回収し、後衛へと連れ去った。そう簡単には数が減らないって事か………厄介だな。


「くっそ〜!コッチの獲物横取りされた〜!!一匹殺れると思ったのに〜!!」

 魔物より魔物だなコイツ。例え仲間がやられたとしても、助けるより先に報復を選ぶんだろうな。






 優先順位を改めてくれなきゃ困るんだけど、人として。




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