第54話 感謝の気持ち
「うわ、うそ?僕やられちゃったの?」
こんな暗い所にずっといたんだろ?それじゃあキツかっただろマグの閃光弾。一瞬動きが止まったと同時に悪魔の心臓に刀が、脇腹に剣が突き刺さった。血も大量に噴き出してるので致命傷には間違い無いだろう。だがこの反応は………悪魔って痛みに鈍いのかな?まあ、苦しんで泣き喚くってのも想像付かないけどな。
「悪いな、弱点らしい働きできなくって。」
最上級の強がりを言ってみた。俺の手柄なんて全く無いんだけどな。
「失敗したけど最後は面白かったよ。今回は負けて消えるけど、次現れた時は僕が勝つからね。」
えっ?コイツって死なないの?また復活するの?何その悪魔みたいな生態……って、コイツやっぱり本物の悪魔なんだな。二度と現れなくていいよ、お願いだから。
「いひひ〜、アルぅ!良かったよ〜最後メチャメチャ気持ちよかったよ〜!!流石だね〜またやろうね!」
ディッドはご満悦だが俺はやろうと思ってやった訳ではないんだけどな。必死に隙間に滑り込んだだけなんだよホントに。過度な期待はやめてくれ。
「マグ!ありがとう!!良く分かってくれたよな!」
とは言え真面目な話、良く俺の心読んでくれたよ。普段相談とか作戦を練るとかできてないのにな。
「マグさんもやっぱり凄いですね!あの一言で咄嗟に理解して反応するなんて驚きでした!」
あの時は自然とマーシーに弾を込めて直ぐ様発射した。と、同時にその弾に向けて鉄球で狙い撃つラックと目が合った。
「ああ‥……いや、自分を呼んだ声を聞いた瞬間にアルの考えてることがシンクロしたような気がしたんだよな。自分もラックに指示してないのに考えた事やってくれたし。なんだったんだ?あれは………」
「当然じゃないですか!?私達は最高の仲間ですからね、そんな事は当たり前ですよ!」
マグとラッキーも近くに集まってお互いを確認する。一歩間違えば生死に関わったかも知れないが奇跡的にほぼ無傷だった。ヤバイな、王国に隠せないかなこの事実。下手すりゃ一個大隊の活躍だもんな。ん?なんかマグが震えてる。毒はもう抜けきったと思うんだけど……不味いな、脳味噌ルーレットはしばらく禁止にさせよう。マッドな変態だけど我慢しないといけないな。
「これで全部終わりかな?この先に祭壇があればクリアってことなんだよね?」
なんか残念な感じをディッドが出しているが、やめてくれないか?毎度の俺の限界タイムなんだけど。
「魔物どころじゃなく悪魔が出てくるなんて異常だな、中々聞かないんだよ、悪魔と出会うこと自体が。そう考えるとこれ以上はいないだろうな。多分任務完了だ。」
一応このマグもちゃんと任務遂行の道筋をきちんとしてくれるのでこのままで特に問題ないだろう。性格の変化は情緒不安定だからであって俺達が原因ではない様に持ってかないとな。そのうち元に戻るだろ、多分。
「ああ、ありますよ!祭壇みたいなもの。薄っすら光ってる感じがします。ゴールで間違いなさそうですなね。」
何やら神秘的な感じがする祭壇が現れた。結局この遺跡自体はどんな目的があって存在しているのだろう?魔物を生み出して何になるのか皆目見当持つかない。まあ、そこら辺は考古学者にでも任しておこう。今は魔物は根絶したんだしな。
「あれ?奥の方に部屋があるよ。お宝でもあるのかな?行ってみようよ。」
ディッドが警戒することなく奥へと進んで行く。罠とかあったらどうすんだ!と叫びそうになったが、どうせ野生の勘で回避するだろうと思って放っとくことにした。
「おかしいな、そんな部屋があるなんて資料にには載ってないんだがな。だとしたら新発見かも知れない、面白いものがあるかもな。」
ここで何か手に入ってもどうせ王国に献上することになるだろうな。まあ仕方ないか。
「この遺跡自体やっぱり悪魔に乗っ取られてたのかもな。言葉じゃないけど遺跡の意思みたいなものが俺達に感謝してくれてる雰囲気がするんだけど………気のせいかな?」
この後手に入るモノでその感覚は間違いではないと確信した。
「おお〜、なんか凄そうなのがあるよ!」
「確かに素人の私でも息を飲むような威圧を感じます!神々しさが凄いですよ!」
わくわくチルドレンが何かを発見したようだ。罠は無かったようだな、痛い目に遭って大人しくなれば良かったのに。
部屋の奥には台座に載った剣が祀られている様に鎮座していた。尋常ではない気を纏っている上に遺跡と同じ様に意思みたいなものを感じる。いや、遺跡の意思そのものを醸し出してるな。
「マグ、遺跡の中で手に入れたものは王国に献上するんだろ?でも何かこの剣は俺達に連れてけってみたいなプレッシャーを発してんだけどどうすりゃ良いんだ?」
多分ここにいる皆んな同じ様に感じてるだろう。聖剣というオーラを皆んな察していた。
「ああ、持っていって構わないぞ。自分でもこの剣はディッドの手に渡るのを望んでるのが分かるしな。王国には報告するが自分が上手く言っとくから安心していいからな。」
やはりマグも剣や遺跡の意思を感じてるんだな。
「だとよ、良かったなディッド。きっと国宝級の聖剣だぞ。手に入れないと逆に祟られるかも知れないからな。」
ちょっと茶化してしまったが、これで竹槍なんか使わずに正統派の剣士に転向して欲しい。実際さっき見た剣技と聖剣があれば世界に轟く名声を得ることは間違い無いだろう。
「持っていって良いんだ。」
ディッドは手に取り軽く素振りをする。剣自体も喜んでるように感じる。結構重そうなのに軽々と扱いやがる上に、一振りする毎に剣の軌跡が光って見える。様になってるのが尺に触る。ちょっと格好いいと思ってしまった、不本意だけどな。
「はい、アルにあげる。」
投げつけられた剣を受け止めると、俺は重さに耐えきれず尻もちを着いてしまった。




