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第52話 第二ラウンド

「あの雨はしばらく床に残るんじゃないのか?」

 サイクロプスの体に残った飛沫が飛んできたら俺達にも被害が出るんじゃないのか?ディッドが接近戦なんてできないんじゃないかと思うんだけど。


「問題ない。雨が止めばそこは中和するようになってる。まだ息の根があるサイクロプスは遺跡に吸収されないだろうから良い足場になるだろうよ。」

 ああ、完全に人の心は無いんだな。効率よく余す所なく使い回す気満々だよ。


「んふふ〜、たしかに良い足場だね。狙い所は分かったから今度はコッチのクライマックスだよ♪ いくよラッキー!カルテット柱の出番だよ!」

 溶かした後は串刺しするんだ。どっちが魔物か分かんないな……


「しばらくお二人は休んでいて下さい!ディッドさんと私でできる所まで粘ってみます!」

 嘘つくな、やる気を全然隠しきれてないぞ。多分粘ることになるのはサイクロプスさん達の方だとなるだろうな。


 とろける雨に打たれて生きていながら足場と化した巨人の山を奥から元気な巨人が弾き飛ばしながら迫ってくる。だがそれはこっちの鬼に格好の足掛かりを与えることになる。


「いやっほ〜う!」

 足場を飛び跳ね、動く巨体を駆け上がり巨大な瞳の正面に一息で到達する。


「お願いします!」

 そのタイミングでディッドの手には植物が生えてくる。



 このデカブツ全力でパス出しやがった………いやいや、アレそのまま直撃しても倒せる威力だぞ。俺全く見えなかったし………だけどそれをノールックで受け取った奴がいるんだよな、信じられん。


 瞳孔のド真ん中に竹槍が突き刺さり、頭蓋を貫通させている。半端ない恐怖だろうな、俺だったら耐えられないだろう。ま、即死だけど。


「ディッドさん!次行きます!」

 デカブツもノリノリである。顔面を突き破られ倒れゆく巨体から次の巨体へと飛び移るディットにまたしても最速のパスにて竹槍を送る。


「ふふふふふふっ……あはははははははは!!」

 もう止められないんだろうな。自分の何倍もの質量を誇るサイクロプスをたった一撃で屠ってゆく。確かに自分ができるのならテンションも凄いことになりそうだが……いざそれで狂喜乱舞している悪鬼を見ると萎えてくるもんだな、人として。


 ラッキーは珍しく後衛ではなくディットとのコンビネーションの為に前線に陣取っている。相手の動きが比較的スローモーションな所もあるからだろう、いつもと違う連携を繰り出していた。ディッドは立て続けにサイクロプスを倒したのだが、足場となる肉塊が無くなり地上へ降りてくることになった。と、その真下に離れた場所にいたはずのラッキーが待ち構えていた。


「ヤバイな、ラッキーの本気の脚。腕力ばっか見てたけど、やっぱ全身の機能が桁違いだよな。」

 デカブツが瞬間移動する光景に思わず変態に同意を求めてしまった。


「そうなんだよな、同じ人間とは信じ難い能力にナチュラルな人間の可能性を突き詰めたくなる気持ちも分かって貰えるだろ?」

 でもマグは変態マッドサイエンティストだからな。素直に惚れ込んでる以上に最終目標はデカブツを超える改造人間を作り上げることとかなんじゃないのかな。コイツならやりそうだ。


「どうぞ!」

 ラッキーが両の掌を組みディットの発射台として乗せた足を弾き飛ばす。人間パチンコだな、凄い速度で敵へと向かって行く。


「た〜のしぃ〜♪」

 うん、見れば分かる。弾丸となったディッドが刀を抜きそしてそのままサイクロプスの首を切り落とした。………太くて短くて硬そうな首なんだけどそんなに簡単に切り離せるものなのかい?ボトッと低い音を立てて丸い塊が転がり落ちてきた。








 だから常に刀でいいだろ!?一太刀でケリつけてんじゃん!わざわざ簡単工作の竹使う必要何なんだよ?そんなに恐怖と苦しみを与えたいのか?…………与えたいんだろうなきっと。一体一体駆逐していく度に必ず周りの敵を一瞥すんもんな、不気味な笑顔で。


 その隙にデカブツは顔面から竹が生えている死体から槍を回収してまたパスを送る。パターンを確立した様で効率良く屍を量産する事が可能になっていた。


「酷いね、こんなに簡単にバタバタ倒されちゃうなんてね。」

「全くだな。あの二人を下手に掛け合わすのはあんま良くないよな……………」

 て、誰だ?俺の後ろから話しかけられた!?マグは視界の隣に存在している。それ以前に子供のような甲高い声であり俺達の中にはそんな声の持ち主は存在しない。


「せっかく時間掛けて沢山用意したのにね。おかしいな、そんなに軟な子たちじゃ無いはずなんだけどなぁ。」






 俺とマグは視線を合わせつつ背後へと首を回す。そこには子供の様な声とは似つかない異形の存在が俺達をじっと見つめていた。



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