第50話 出目継続
「次行くぞ、まだまだ試すことあるからな。勿体ない時間の使い方すんなよ。ん?あぁ、ぐわわぁ〜。」
忙しいなこの変態。次の部屋にきた瞬間にガッツリ毒食らいやがった。
「おい!ふざけんな、どの解毒剤だ?いい加減にしろ!オマエ握力しかないんだから後衛だろ?なにグイグイ前出てんだよ!?」
性格変わっても身体能力は変わらないんだよ。野性的に回避できる奴らと一緒にいるからって勘違いするな。
「すまない、コレは血液がドロドロになるヤツだから紫ので頼む。回復には少し時間がかかりそうだ。くく、だがやっぱアルは頼りになるよ。」
性格変わっても懐いてくるな鬱陶しい。根本は変わらない所も含めて面倒臭い。
「ふふん、みっともないね〜まぐ夫は。今はマーシーも使えないし握力も無いんでしょ?大変だね~貧弱は。ふふ。」
間近の敵を一掃した後で様子を見に来たのだが、盛大に煽るんなバカディッド。今のマグは変に挑発に乗りやすいんだからよ……毒抜けるまでは大人しくしさせとかなきゃいけないんだからよ。
「そうだな、弱体化してる時も何かできないかは常に考えてるぞ、ほら。」
冷静に対応してるように見えるが、そんな事はないのは明らかだった。ディッドがニヤニヤしながらマグを覗き込む。その瞬間にマグは懐から何かを取り出しディッドに吹きかけた。
「けほっけほっ、何すんだまぐ夫!…………ふひゅ?ふひゅひゅ!ふひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!」
「よお、足手まといになった気分はどうだ?クソディッド。人体には無害だから安心してしばらく笑い転げてな、だはははは!」
………おい、おまえらふざけんな、まだ全然倒しきってないんだぞ?二人で遊んでんじゃないよ!?ラッキーと俺でどうにかできるわけ無いだろ!大ムカデやら大サソリやらが次から次へと押し寄せて来る。幸い俺の剣はちょっと大きい位の虫の甲羅など訳なく切裂いていく。王国の贈り物はやっぱり上物だよな。
って違う違う!これ以上はもう無理だよ!俺は限界一歩手前でアップアップなんだけど!?
「凄いですよ〜アルさん!飛びかかって来るのは私が撃ち落とすので安心して目の前の敵に集中して下さい!このままガンガン行っちゃいましょう〜!!」
なんでコイツも俺が危機なの分からねえんだよ?確かにフォローはしてるけど弾無くなったらどうすんだよ?しかもたまに衝撃弾も投げてきやがる、俺も少し巻き込まれてるんだけど………
「取り敢えずちょっとそこに座ろうか?」
何とか倒し尽くしたけど俺はもう動く余裕か無かった。……無かったのだか言わなきゃならないことがある。
「俺の言いたいことは分かってるか?」
「何だよ〜悪いのはまぐ夫じゃん。コッチは心配で様子を見に来ただけだったじゃん。」
「なあ、アルも見ただろ?あのクソディッドの果てしなくムカつく顔をさあ。心配のしの字もないシャクれ顔してやがったよな。」
お互いの言ってる事は分かる。だが言ってる事は間違ってない上でその後の行動が大間違いなのを俺は言ってんだよ?
「でもさ〜、一人で戦ってるアルもカッコよかったよ〜。思わず魅入っちゃったからね〜。」
「そうなんだよな。追い込まれても全然まだまだイケそうだったよな。無駄に手を出すのも勿体なくてじっくり見させて貰ったよ。」
「そうですよ!良かったですアルさん!アルさんが活躍する姿本当に格好いいんですよ!」
いい加減俺は褒め殺しには騙されないからな。持ち上げられて調子に乗る余裕は今回は全くで無いからな。
「おまえら最後の方だいぶ回復してただろ!遠くからのんびり観戦してんの分かってたんだからな!運動会の親みたいな雰囲気で楽しそうにしてやがっただろ!おま……ふぇら……よぉ…」
頭に血が上った途端、今度は一気に血が引いた。貧血で目の前がチカチカしてへたり込んでしまっていた。
「ほら、疲れてるんだから少し休むよ。頑張ったからね、あんまりカッカすると体にわるいよ。」
誰がそうさせたんだよ、なんか保護者ズラしてるのが更に腹立つ。もう一回笑い爆弾食らわしてえよ、本気で。
「実際自分は助かったよ。なんかこの頃毒を受けすぎたのか、免疫は上がってきてるけど痛みとかダメージとかを身体が感じ続けてるんだよな。無毒の状態でも痛みが少し分かる様になってきたしな。」
おいおいおい、ここでマグの衝撃発言が出たよ。無敵の鎧が剥げかけてんじゃないのか?多分原因は毒じゃない、あの馬鹿力だと思う。きっと良いマグは気を遣ってその事を隠していたのだろう。今後マグに自爆攻撃をさせるのは控えさせたほうが良さそうだ。遺跡を出た後にきちんと話をして悪化を防がないと……
想定外の事が沢山あったからな。踏んだり蹴ったりだよココに入ってから。
「それにしても、報告書と結構違ってんな。
本来なら魔物同志が奥から押し上げられて潰しあいに勝ったのが正面から世界に放たれる訳なんだが……各部屋に大量の魔物が閉じ込められてるなんて事例は今まで無かったはずなんだよな。」
マグ?嫌な考察やめてくれないか?
「なんか誘い込まれてるような感じがするんだよ。まさかと思うが遺跡の意志みたいなものが魔物に乗っ取られたりしてたりな……なーんて、そんな事は聞いたこと無いから危惧するこた無いだろ。」
「そんなんだったら凄い魔物が最後に出てくんじゃない?むふふ〜楽しみだねラッキー!」
「ええ!皆がいれば怖いものなんて何もありません!鬼でも悪魔でもドンと来いです!!」
…勝手なこと言ってるけどもうおまえらだけで後はやってくれ、俺はもう十二分に働いただろ?
最後方から観戦するのは俺の専売特許だから譲る気無いんだからな。




