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第47話 軸

 遺跡ね、近くまで着いちゃったな。ここまでは大した相手はいなかったよ。魔物も出てきたんだけど苦戦するほどではなかった。一応遺跡周辺には 人の往来をする辺りを中心に警備隊が配置され、簡単な魔物の討伐を行っているらしい。強めの魔物が現れた時は、報告をして、力の伴った討伐隊を派遣するとのことだ。



 …根源を叩けって、俺達はそのトップクラスになるってこと?聞いてないよそんな事。



「遺跡って誰でも入れるのか?」

そういう所にはお宝とか眠ってるんじゃないのか?トレジャーハンターとかに狙われる事とかありそうだと思う。


「一応は柵がされてるんだけど、内側から強いのが現れるとすぐ壊されちゃうんだよ。まあ大体の所は過去に王国の探索隊が見て回ってるしね。今更重要な財宝はほぼ無いと思うよ。」


「そんなのどうでもいいよ。強いのいなかったらまぐ夫のこと怒るから。」

 理不尽だな、今日も。遺跡とマグは何の関係も無いのにな。

 

「でもさ、強くないのが遺跡から溢れる事ができて表に出てきてるんだろ?それじゃあそいつらを遺跡の中で抑えられる強い個体が居ない可能性はあるんじゃないかな?」

 俺は期待を声に出す事にしている。俺の意志はこいつらにハッキリと分からせる為だ。


「ああ、なにかちょっと面倒くさいのがいるかもしれないって言ってたよ。自分達の前に頼んだ討伐隊は瀕死で帰ってきたらしいしね。」

 どうでも良くない事を到着目前で言うんじゃない……どうかディッドに怒られてぶっ飛ばされてくれ。


「期待されてますね、私達!四人力を合わせれば千人力です!アルさん、存分に私達を使い切って下さいね!」

 理由の分からない事を言ってるな、計算が996間違ってるぞ。正解は四人で三人力だ。俺もちょっと間違えてた、997違いだデカブツ。


 目的地まであと少しの所で俺をモヤモヤさせんな、落ち着く間もなく遺跡に着いちまったじゃないかよ。

 件の柵はめちゃくちゃ壊されてる。思ったよりしっかりとした柵だった。これバキバキにするのって、結構強い奴なんじゃないのか………


「じゃあ、いくよ!遅れたら怒るからね!」

 お前は何したって怒る気満々だな。俺が着いて行ける筈ないだろが。


 ディッドが遺跡に飛び込み慌てて俺は追いかける、と思ったのだが……何で入ってすぐにいるんだよ、おおよそ100体以上……いや、真っ暗な奥の方にもまだまだいる気配がする……うめき声を上げながらひしめき合って蠢いている大量の魔物たちが。


「ディッド君、一回下がって!ラック君は今から自分が火柱起こすから、そこに向かってコレをよろしく!」

 マグが機械の砲台から弾を放つ。低い弾道が手前数体を巻き込み炎を垂直に立ち上げた。その火柱にラッキーの一投が当たると、気流が発生し炎を巻き込んだ。


「熱っ!……凄……」

 空気の流れに乗り炎は向きを水平に変え、放射状に魔物を焼き広げていく。その光によって俺には正確なこの空間の大きさが分かった。


「ええと、ここはスポーツで言うところの籠球の競技場の広さと同じくらいですね。」

 俺はスポーツに興味ないからラッキーの言ってることはピンとこなかった。が、ざっと見て300体くらいの魔物がいた。オークとかゴブリンとかトロールとかが雑多に混じり合っている。


「ラッキー!全部!」

 ディッドが燻ぶり始めた炎の後を一気に奥まで駆け抜ける。だから俺は追いつけないと………ん?


「了解です、ディッドさん!」

 ちょっと待て?何で俺を小脇に抱えて持ち上げてんだ?

「アルさん、がんばってください! フンっ。」


 スライムから逃げる時の感覚を思い出してた。お前らにとってはこんな事余裕なんだろうけど普通の人はできないからな、軽々と扱われる俺の気にもなってくんないか?


「ぬあああああああぁぁぁ………嘘だろぉぉぉ!」

 強烈な勢いで顔が歪む。そんな俺を片手で受け止めるバケモノ。そして周囲を囲む悍ましい魔物。意味わかんねえよ、端から順番に倒せばいいだけじゃないのか?何でわざわざ自分達から分断してんだよ!間髪入れず俺を追うようにやってきた物体の形が見えた。


「おりゃぁ!」

 飛んできたソレを舞い踊る様に受け取り、一気に三体の串刺しを作り出した。簡単にできない事を簡単にやってのける。


「ディッド!囲まれと俺はどうしようもないから、先に道を作って壁を背にできる所へ移動してくれぇ!」

 身内のバケモノを誘導しつつ入口の方へ声を掛ける。


「ラッキー!マグ!俺達の反対側の集団を攻撃してくれぇ!なるべく大量に片付けてくれよぉ!」

 必死だよ、俺。絶対ディッドは俺守ってくれそうもないもん。

 

 倒れた屍を踏みにじり次々と魔物が襲ってくる。各種族まとまるでも力を合わすでも無く、一心不乱に俺達を仕留めるべく雪崩かかってくる。


 入口近くのラッキー、マグの方にも魔物は押し寄せているのだが、単発で爆発する弾をラッキーは淡々と投げ続けている。もれなく命中しているのだが、たまに爆発を切り抜けて来る奴がちょこちょこ現れる。そうするとマグが魔物の至近距離で爆弾を握り爆発させる。いや、心臓に悪いから自爆みたいなことはやめてくれ。


 それにしても、マグの服は何でできてんだ?普通はビリビリのボロボロになるはずだろ?まあいいか、真っ裸のマグなんて見たくないしな。


「おりゃ!とりゃ!そりゃ!」

 立て続けに放たれる残りの三本。バーベキュー屋でもやる気なのか?おまえは。俺は竹槍の区別は付かないから四本全部赤柱だ。だってもう、ね、過去一血塗れだろ全部。


 抜いては刺すを繰り返す。刀で切った方が楽じゃないの?絶命しきれてない奴を更に痛めつけるなよ。苦痛に呻く声が魔物とは言え不憫でならない。マジで鬼だよコイツは。






 そういやディッドが全部って言った時、躊躇なく俺投げられたんだけど………ふ〜ん、そうか……デカブツの中でも俺って竹と同じ扱いなんだな。よ〜く理解できたよ。


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