第45話 ふと思う
流石に俺が意識を無くしていた時はそれどころでは無かったのであろう。だが、意識が回復してからしばらく安静にしてる期間があった。数日が経って容態も安定してきたし、アイツラも安心し始めていたようだった。
ちょっと不安になってたんだけど、あのバカ二人は王都の例の場所に行こうとしなかったのか?止める者がいないと絶対ヤバイだろ?この前はたまたまマグとの件があったから事なきを得たけど、また同じ事を繰り返さないとは限らない。いや、絶対繰り返す。マグに止めることはできたのだろうか?
「あぁ、それね。自分達4人はカジノ出入り禁止だから大丈夫だよ。もう面は割れてるからもしも隠れて入ったら、即・監獄行きだよ。それでもディッド君は潜入しようとしたから、ラック君と二人で抑えるのに苦労したよ。」
なんだ、監獄ぶち込まれれば面白かったのに。でも、確実に脱獄するから俺達にも何かしら処罰は来るだろうな。
借金増えなかっただけでも儲けもんか。マグも出禁なのはちょっとウケるな、よっぽど嫌われてるんだろう。 う〜ん、ディッドのガス抜きも考えないといけないか………面倒臭えなあのバカは。
大河を優雅に進む。確かに動力が付いてるのは快適だよ、変態のくせにこういうトコは本当に凄いな。ただ今困るのは筋肉団子だ、隙を見ては筋トレを勧めてくる。幾ら俺が筋肉盛ったって限界があるんだからな、バランスが大事なんだよ。切ない顔でこっち見んな。マッチョフレンドには絶対ならないからな。
「もう直ぐ目的地に着くのか、思ったよりか距離あったな……」
一週間かかったのだが、こいつら本当に三日で着いたのか?王都に向かう方が川を遡上するのが多いんだけど………、俺の為にそこまでして貰って申し訳無く思ってしまう。いつか本気で感謝を伝えたい。今言っても絶対調子に乗るだろうから、いつかだな。まだその時じゃない。
「あの調査隊は港町にまだ居るのかな?」
マグは連絡取ってると思うので聞いてみた、俺の安否も魔法の期限の関係があったので、お互いの現状も知らないわけにはいかない筈だったろうしな。
「まだ街にいる筈だよ。結構酷い崖崩れだったらしいから、護衛も含めて人員集めるのに苦労してるんだって。」
洞窟の入口は崩落して完全に塞がってたもんな。安全に穴を掘るにも専門家が必要なはずだ。
「あれだけの人数の賊が潜伏してたんだもんな。確かに警戒しとかないと調査隊の人達も気が気じゃないだろうよ。」
最初の見積もりがガバガバだったな。国が絡んでもそんな事あるのを肝に命じておこう。
「おお〜、港だぁ!この間は来た時の事全然記憶に残って無いよ。こんな風だったんだ〜!へ〜。」
はいはい、分かったよ、感謝してますよ。チラチラ見ないでくれないかな?ディッド君。
「ディッドさん、新鮮でいいじゃないですか。ここにみんなでこんな気持ちで立てるなんて………わだじば〜がんげぎでず〜〜!」
感極まるな暑苦しい。何回繰り返すんだよ。ある意味それも嫌がらせだな、前向きに行くぞ、前向きに!
街の一角に調査隊の事務所兼寄宿舎の様な場所があった。ある程度長期に渡ることになったので急遽あてがわれた所らしい。微かに俺の記憶に残ってる人達が迎えてくれた。
「みなさん!あの時はどうもありがとうございました!ご無事で本当によかったです!」
若い研究員が感極まりながら声を掛けてい
きた。
「えっと、タク君だったよな、心配かけて申し訳ない。何とか戻ってこれたよ。」
うむ、辛うじて覚えてたな。死にかけてたのに大したもんだ。偉いぞ俺。
「あれから色々あって僕達しばらく帰れなくなっちゃいました。ここの拠点は自由が利くのでゆっくりしていって下さい!」
国の命令じゃあしょうがないよな。明日は我が身だよ全く。
「おおっ、無事生還できたようだな!細かい情報はマグ君から受けてたよ。凄いな!正に奇跡だったな!」
年配の人が話しかけてきた。記憶を辿ってもなかなか思い出せない。それを察してマグが紹介してくれた。
「この方が、ほら、あの、なんだ、その処置を施してくれて王都までの時間を稼がして貰ったアレスさんだよ。」
あの?その?って…あれか!マグが言い淀んでいるがあの神秘の、夢の……力の事か!!
「ああぁ〜、ありがとうございました!その節は本当に助かりました!!その素晴らしい所業は皆から伺ってます!!!俺が無事にここに来れたのもアレスさんの覚悟のおかげです!!!!絶対に他言はしません、安心して下さい!!!!!!いつか、その、時間があったらその能力のことお話してもらっても………いや、変な意味じゃなくて俺の興味というか憧れと言うか……ええと、無理にという訳でなく機会があれは色々お話聞かせて頂けますか!?」
「はは、どう致しまして、アルゼ君。君達は我々の命の恩人なんだよ?そんなにかしこまらなくてもいいんだよ。無事でなにより、本当に良かった。お互い任務が落ち着いたらゆっくり会おうじゃないか。約束しよう。」
アレスが落ち着いて言葉を返してくれる。我ながらちょっと興奮しすぎたかも……お恥ずかしい。
「フン、済まなかったなアルが浮足立ってしまって。だが、確かに感謝する。貴殿の力と我々の力を合わせ困難を乗り切ることができた。一つ一つが偶然を越えて繋がった感じだな。アルには運に感謝するようによく言っておく。」
「アレスさん、ありがとうございました!あなたの能力と私達の血と肉でアルさんはこんなに回復できました!マグさんの機械も素晴らしい活躍してくれましたし、国からも支援頂いて皆さんに感謝をしてもしきれない思いです!」
「自分は何度か連絡を取ってましたけど、改めてお世話になり、有難うございました。貴方の力で自分達も冷静になることができました。各々の能力を存分に活用してアル君を助けることができ、ここに来れたことを喜びに感じてます。」
おい、何だおまえら?俺の事をまるで俺がおまえら見るような目で見んじゃねえよ?それと、魔法に対しての偏見と対抗心をやめてくんないか?
素直に感謝だけしてくれればいいんだよ!いい加減大人になってくれよな!




