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第38話 窮地

 ヤバイ、爆弾なんか持ってるのか?それどころか完全に分断された。思った以上に組織だってる奴らだ。気を引き締めろ、まだ何かやってくるかも知れない……何処に何人いるかをしっかり確認しろ。

 気配を消すのが上手い、さっきの奴らは本当に下っ端だったんだな、雰囲気がまるで違う。今までじっくり観察されていたのだろう。マグと背中合わせになり死角を無くす様にと動く。


「マグ、何かいい案あるか?」

 短く質問をする。

「相手の位置が分かれば攻撃する方法はあるのだけど、一度見られたら警戒されてしまうから一発で纏めて終わらしたいんだよね。」

 そうは言ってもこの状況で敵が纏まることは無いだろう。既に完全に包囲されているはずだ。いつ全方位から攻撃されてもおかしくないだろう。あれだけ仲間がやられたのに全く感情的な気配を感じる事が無い。俺達を確実に仕留めようとする殺気だけが静かに、かつ確実に伝わってくる。


 

「どれくらいの範囲の奴なんだ?」

「使えるのは直径10m位の衝撃弾かな。だけどこれは崖の近くで打つと更に崩れてしまうし、火炎弾じゃ下手に燃え広がると逃げ場が無くなる。爆発弾なんてもっての外だしね。」

 暫く膠着状態が続いた。敵も迂闊には動かないでいる。俺達の情報を読み解こうとしている様だった。


「俺が走って惹きつけるから背中越しに撃てるように準備しといてくれ。人数は5人だ、3人は吹き飛ばしたい。」

 何度も目を凝らし確認した。人数は間違い無い。


 「了解。その後敵が見えたら爆弾抱えて突っ込むね。自分は爆発食らっても大丈夫だから気にしないでいいよ。」

 特攻して爆発か、凄え怖いなそれ。小規模な爆発だったらディッドパンチよりダメージ少ないだろうし、確かに大丈夫だろう


「よし、頼むぞ………おおおおぉ!」

 ヤケクソな振りをして突っ込む、そのまま囲まれる様な位置取りまで進む。いいぞ、3人しっかり釣られてくれた。


「ってぇっー!」

 俺が合図を送ると同時に、マグは機械の砲口を定め衝撃弾を飛ばす。目論見通り三人飛ばせた………そう思ったのだが一人仕留め損ねた。くそ!あと三人。


「アル君逃げて!」

 仕留め損ねが俺に向かってくる。それに向かってマグが体当たりをした、と同時に爆発した。


 流石に自爆のインパクトに焦ったのか、別の一人の動きが固まる。隙があったら攻めるしか無いよな。いい装備になると少しは動きと気持ちが変わるもんだ、思った場所に綺麗に剣が刺さる。……あと一人。



「うわっ!?…………まず…い…アル…く…」

 何だ?マグの傍らに……矢が転がっている?……しまった!見落としがいた!?


 離れた所から狙われた、しかもマグが苦しむってことは……毒か! まずい、自爆ができないどころの話ではなく、今は何をされても致命傷になっちまう。


 マグの苦しみ様から毒の強さ、即効性が見て取れる。もしも俺が食らってたらたちどころに死んでいただろう。


「アル……自分…を…た…てに…し…」

 言いたいことは分かる。だけど、幾らマグの耐久力でも致死量はあるだろ?できる訳が無いだろうが!


「いいから何色だ?赤でいいのか?」

 解毒が先だ、サソリの時を思い出す。機械が盾になってるおかげで追撃は免れていた。敵も俺達の得体の知れない力に警戒をしているのだろう。再び膠着状態が続く。解毒薬らしき薬を見せるとマグは軽く頷いたので無理にでも飲ます。


「ダメ…これ‥は…アル…は、かすった…だけ…で…も…」

「少し黙って休んでな。何とか考える。」

 必死にマグが声を出す。意味は、な。要するに俺は解毒剤とか関係なく食らっただけでダメなんだろ?大丈夫だ。分かってる。


 マグの機械は全ての操作がマグの握力ありきで設計されている。なので他の人には扱えることができない。確かに最大の安全装置なんだが、今のマグでは力が入らず作動できないだろう。


 毒矢を放った奴は崩れた崖の上に隠れている。……ダメだ、届く武器がない。 森に隠れている方の敵も俺達の状態を把握しつつ距離を詰めてきている感じがする。コイツさえ止めればマグは助かるな……


「だめだ……やめろ……」

 ちょっと解毒薬が効いてきたな。あと少し時間を稼げば一発くらい機械使えるだろ?

 相手は人間だ。集中すれば動きは読めるはず…一気に間を詰めれば仲間への誤射が怖くて打てないだろう。


 今の装備なら3割増のスピードが出せるぜ。強がったもん勝ちなんだよ!


 

 俺の頭上に鳥の影が重なる。今なら大丈夫だ、そんな確信がある。賊の目の前に最短距離で詰め寄り、体を押し込み相手の体を盾にすべく反転を試みる。

 ぐ…粘りやがる、マズい……狙われる…


 鳥の影が再び俺に重なる……でもな、本当は鳥の影じゃないんだよな。あんな羽もない一直線の鳥なんて世の中にいないんだよ。で、もう一つ影が合わさり一つの影になった。


 俺、人間相手はやめてくれって言ったんだけどな。しょうがないか、特例だぞ。



 頼む、相棒。




 俺に新しい影が伸びる、惨たらしく悍ましいの墓標の影が……



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