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第37話 対人戦

「ああ、いますね。結構な人数ですよ。」

 ラッキー、気ぃ抜いてたな。遠くは見えるが隠れてるのを見つけるのは苦手だよな。


「マグ、あいつ等って国民になるのかな?だとしたら殺しちゃったら俺達捕まっちゃうの?」

 俺達(俺を除く)の戦力は兵器レベルだと思う。本気で仕掛けたら陰惨な結果になるだろう。


「正当防衛なら特に問題はないよ。ある程度は自分が揉み消せるしね。でも流石に自分達が過剰に攻撃加えてるのを目撃されちゃうと、王国機関の者として問題になるだろうね。」

 盗賊の目標は俺達ではなく、逆方向から向かってくる集団だった。目撃者いまくりじゃないか。俺達が来た方に何かしらを採りに行くのだろうか、そんなに屈強そうな雰囲気は持っていない。


「ディッド、惨殺するなよ。手加減しても危ないんだからな、お前は。

 ラッキーは手加減できない様なら武器を狙ってくれ。それだけで無力化できるだろう。」

 盗賊は既に集団を襲い始めていた。何人かは攻撃を受けて倒れ込んでいる。


「マグ!薬を用意して怪我人の治療を頼む。何とか俺が盾になるから急いで回り込んでくれ。」

 マグの爆弾は強すぎる。前に使った衝撃弾でも効果が大き過ぎて盗賊以外にも被害が出てしまうだろう。

「分かった。アル君、気を付けて!」


 ディッドが暴れてる方に盗賊が気を取られている。必要以上にいたぶっている感はない。よし、その調子で頼む。


 隙をみて集団を襲っている盗賊に対峙する。振りかぶった瞬間、賊の刀が弾かれる。流石だなラッキー、誰にサポートが必要かよく分かってるじゃん。

 盗賊は何が起こったのか分からず動揺している。その隙に斬りつけ倒す。いいぞ、この連携ならなんとかなる。ラッキーに近づこうとする奴はディッドの餌食になっている。あっちも問題ないな、心配はしてないけど。


 ただの荒くれ者程度だったら俺も対処できるかも知れない。人間相手だったら相手の動き方も感情も予想できるしな。表情どころか顔が無い奴とか相手してたからか、なんか心にも余裕が持てたよ。


「マグ、怪我人は大丈夫か?」

「大丈夫だよ。この方々は……王国の直属の方々だね。紋章入りの装備をしてるので。」

 と、言うことは俺達と同じ様な立場ってことか。治療は終わったらしく命に関わる者もいなさそうだ。


「マグ……さんって、特別上位研究員のマグさんですか?……いや、違う…こんなんじゃ無かったような?あれ?でも見た感じは……ええ、え〜。」

 マグのこと知ってるのか。だけどこの反応はあれだな、嫌われてる変態の方の反応だろう。しょうがない、俺がフォローしといてやろう。


「多分君が知ってるマグで間違いないよ。今は王国の特別任務中だから普段と違って気を張っているからね。こういう一面もあるんだよ。」

 バカに顔面を張られてこうなったんだけどな。


「そうなんですか、大変なんですね……ええと、僕達はこの奥の新しい採掘場所の調査に派遣されたチームなんです。研究所からは僕が選ばれて、後は色々な所から専門家が寄せ集められて来ました。

 でも、まさか盗賊がいたなんて………川のこちら側は生活圏ではないので、どこかから逃げてきて潜伏してたのではないでしょうか。助かりました!ありがとうございます!」

 そうか、王国所属の身内ってことになるのかな?一応。だったら盗賊相手に手加減することは無かったのかもな。俺は全力だったけど。


 戦闘は呆気なく終わった。まあね、相手は碌な装備も持ってない人間だしな。こいつらは過剰戦力だな。だがマグは思う所があるらしい。


「アル君、もしかしたらまだ残党が残ってるかもしてないから、ちょっと同行してあげてもいいかな?」

 こんな大した護衛もいないような集団ということは、渡し船の船着き場から近くに目的地があるんだろうな。用心に越したことは無いだろうし、マグが言うなら時間的にも大丈夫なんだろう。


「確かに、この後別れた後に何かあったら嫌だもんな。俺は特に問題無いよ。」

 俺達の任務もマグがいないとどうせ進まないだろうし反対する理由はなかった。


「えっ!いいんですか!?すいません、僕が見たり聞いたりしてたマグさんがこんな方だとは思ってませんでした!あっ、いや、変な意味ではなくて、こんなに優しい人だと感激してしまって……‥あっ、僕はタクといいます。何でも申し付けて下さい。できることは何でもしますからよろしくお願いします!」

 あの二人は少し暴れたから満足しただろう。決定したことだけ伝えておけばいい。


 実際目的地はそんなに遠くなかった。ここら辺は王国の管理地らしいので警護もろくにつかなかったらしい。動物くらいの撃退グッズしか持ってきてないんだと。考え甘いな。


 崩落しそうな崖の下に調査する洞窟があった。またしても穴か……という事は…


「まぐ夫!あのランタン貸して。面白そうだから行ってくるよ。」

「私も力作業があれば手伝いますので一緒に入ります。」

 分かった、お前ら二人は完全にお子様として扱うからな。ラッキーには幻滅だよ。


「俺とマグは一応外を警戒しとくか。そこそこ人数倒したからもういないと思うんだけどな。」

「自分は後で調査結果を見せて貰おうかな。何かに使えるのがあれば調達したいしね。」

 何かあればあの二人も戻って来るだろうし、俺は今の内休んでおく。今日は柄に無くかなり動き過ぎた。




 ……疲れてたんだろうな、完全に気を抜いていた。爆発音と共に崖が崩れて洞窟が埋まった。

 

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